韓国ドラマ人気を支えるスター脚本家 ギャラはケタ違いの5000万円「俳優も日本の倍以上」

Netflixなどグルーバル配信サービスで人気を得ている韓国ドラマ。昨年から今年にかけて『愛の不時着』『梨泰院クラス』『今、私たちの学校は…』『シスターズ』『ナルコの神』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『還魂』『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』などがNetflix日本ドラマTOP10に次々とランクインしている。グローバル非英語TOP10でも韓国ドラマは常連となっており、韓国ドラマのコンテンツ力はさらに勢いを増しているようだ。俳優の圧倒的な演技力や奇抜で中毒性のあるストーリー、ドラマを盛り上げる挿入歌などが韓国ドラマの魅力だが、忘れてならないのはそれらの作品を生み出す脚本家の力だ。

今週のNetflix日本ドラマ1位になった『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』【写真:(C)Netflix】
今週のNetflix日本ドラマ1位になった『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』【写真:(C)Netflix】

グローバル配信会社との関係強化で潤沢な資金流入

 Netflixなどグルーバル配信サービスで人気を得ている韓国ドラマ。昨年から今年にかけて『愛の不時着』『梨泰院クラス』『今、私たちの学校は…』『シスターズ』『ナルコの神』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『還魂』『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』などがNetflix日本ドラマTOP10に次々とランクインしている。グローバル非英語TOP10でも韓国ドラマは常連となっており、韓国ドラマのコンテンツ力はさらに勢いを増しているようだ。俳優の圧倒的な演技力や奇抜で中毒性のあるストーリー、ドラマを盛り上げる挿入歌などが韓国ドラマの魅力だが、忘れてならないのはそれらの作品を生み出す脚本家の力だ。

 例えば、『愛の不時着』の脚本を手掛けたパク・ジウン氏は76年生まれ。光州広域市出身で全南大学国語国文学科卒業後、世宗大学大学院映画芸術学科修了。97年から作家活動を開始し、『星から来たあなた』(13年)、『青い海の伝説』(16年)などの代表作がある。実際の事件をモチーフに美しいストーリーと各話に登場する脇役キャラクターをしっかり描いていることで定評がある。

 また、Netflix日本ドラマTOP10で今週1位、同グローバル非英語3位(16~22日集計)となっているソン・ヘギョ主演の『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』は幼少期に暴力を受けた1人の女性が、ち密で徹底的な復讐に乗り出す物語でセンセーショナルな反響を呼んでいる。脚本を担当したキム・ウンスク氏は73年生まれ、江原道江陵市出身。ソウル芸術専門大学文芸創作科卒業。高視聴率を記録した『パリの恋人』(04年)で一躍スター作家になり、『シークレットガーデン』(10年)、『太陽の末裔』(16年)、『トッケビ』(同)、『ミスター・サンシャイン』(18年)、『ザ・キング:永遠の君主』(20年)などの脚本を担当するなど韓国を代表する脚本家として知られる。

 では、脚本家に支払われるギャラは一体どれほどなのか。韓国の大手エンタメ企業SIDUS(サイダス)やCJエンターテインメントで多数の映画のプロデュース・配給に携わった映像・出版プロデューサーの尹勝鏞(ユン・スンヨン)氏がこう明かす。「日本の映画の場合、製作費は1本あたり平均2億5000万円ほどで、脚本料は300万円から500万円です。韓国の場合、映画1本あたりの製作費は平均5億円。売れっ子脚本家に発注するとギャラは3000万円を超えます。ドラマの場合は全16本とすると5000万円を超えます。日本とはケタ違いと言えるでしょう。このように莫大な予算をつぎ込めるようになったのはやはりNetflixなどグローバル配信会社との関係強化が大きな要因です」。

 Netflixは16年から20年の間に総額約730億円を韓国に投資し約80本のオリジナル作品を全世界に配信した。21年2月には投資額を一気に引き上げ、同社としてはアジア最大規模の年間約5億ドル(当時約520億円)を韓国に投資すると発表した。同社はアジア作品の最優先投資先を韓国とみなしている。脚本に関わるのは売れっ子作家ばかりではなく、新人作家、アシスタント作家もおりギャラに大きな差が出るが、グローバルな人気作を次々と送り出す韓国発のコンテンツ業界には潤沢な資金注ぎ込まれており、新人作家が活躍する場も広がっている。

「脚本家ばかりではなく俳優の出演料も日本の倍以上ですから、ドラマ出演が決まると俳優は他のテレビ番組やCMへの出演はほとんどしません。そのドラマに集中するので演技にも力が入るわけです。さらに言うと、日本の撮影現場では予算や俳優のスケジュールなど時間の関係で納得できないシーンとなってしまっても監督は仕方なくOKを出してしまう。でも、韓国では監督が望む演技ができるまで何度でもテイクを重ねます。俳優も今の作品に全力を傾けるので、質の高いドラマができ上がるのです」(尹氏)

 最近は日本のドラマも地上波放送とほぼ同時にNetflixなどで配信されるようになり、グローバルランキングに食い込む作品も出てきた。韓国のように良い循環が生まれることを期待したい。

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