YouTuberでタレントの宮迫博之は昨年、長男でお笑いコンビ・フライドポテトの藤井陸との“共演”をYouTube上で果たした。これまで、頑なに長男から拒否されていたが親子共演。ようやく実現した今、宮迫は息子に対してどのような思いを抱いているのだろうか。本人に話を聞いた。（取材・文＝中村彰洋）

　昨年末にYouTubeやインスタグラムで長男との2ショットを公開し、ネットニュースなどで大きな話題となったが、“親子共演”の経緯について、「20歳の約束」があったと説明した。

「宮古島のお店に泡盛を置かせてもらっていて、小学校の頃から『お前が20歳になったら飲みに来るぞ』と約束していました。河島英五さんの『野風増』の歌詞の中に、『お前が20才になったら～』って歌詞があって、それをどうしてもやってみたかったんです。OKは出してくれていたんですけど、芸人になったことで、僕の力は借りたくないというのが息子の中にはありました。『YouTubeには絶対出ない、どうせ撮るやろ？』って。でも、20歳も超えて21歳になったし、『そろそろ頼むわ』とお願いして実現にこぎ着けました」

　10年以上前からの長年の夢がついに実現。「ようやく一緒に飲めた。感慨深かったですね」としみじみと振り返った。

　長男が芸人として活動を始めたのは中学校の頃だった。「早かったですね。中学校入ってすぐぐらいで今の相方ともうコンビを組んでました」。息子が自分と同じ芸人の道を進むことについては好意的に捉えていた。

「好きなこと、やりたいことをやってくれればいいと思っていたんですけど、芸人を選んでくれたのは、すごくうれしさもありました。でも、いかに大変かを知っているんです。そんな簡単に売れることのできる世界ではないですし、特に二世タレントとなったとき、華々しく成功してる人って、すごく一握。より狭くなってる気がするんです。そこを勝ち上がるには、相当な努力と運も必要ですよね」

　中学生時代には、学校行事などでネタを披露していた長男に対して“指導”することもあったが、現在は一切口を挟むことはなくなった。

「ネタを見て、『ここをこうした方がいい、こういうボケに変えろ』とか言いながら、教えたりもしていましたね。ちょこちょこ大人に混ざって大会に出場して、優勝したりもしていました。あるときに、『お父さん、もうネタ見んのやめてほしい』って言われました。そのときは、『なんでや！　俺めちゃめちゃ腕あるぞ』って思いましたね（笑）。そしたら、『俺らのネタじゃない！』って言われてしまって、それを言われたときにハッとしました。そこからは一切見ないようにしています」

　どのような活動をしているのかには触れないようにしてはいるものの、息子の成長を肌で感じている。

「『使えるものはなんでも使えや』とは言うてたんですけどね。『自力で頑張る』って言いながら、ライブで僕のことをイジってるらしいので、『使っとるやないか！』って（笑）」

　笑いながら息子について語る宮迫の表情はどこか誇らしげだった。

「息子が頑張ってテレビに出られるようになった頃には、もしかしたら、僕もテレビに出させてもらえるようになってるかもしれないので、いつかテレビで“親子共演”ができたらいいなと思っています」

□宮迫博之（みやさこ・ひろゆき）1970年3月31日、大阪府出身。89年、蛍原徹とお笑いコンビ・雨上がり決死隊を結成。98年に現在の妻と結婚。2001年に長男が誕生。19年に吉本興業を退社しフリーとなり、20年1月、YouTubeチャンネルを開設。21年8月には雨上がり決死隊解散を発表。23年1月25日にカバーアルバム『セカンドプロポーズ』をリリース。

○カバーアルバム『セカンドプロポーズ』
2023年1月25日発売、3000円（税込み）

収録楽曲（かっこ内はオリジナル歌唱アーティスト）
1.シングルベッド（シャ乱Ｑ）
2.ひまわりの約束（秦基博）
3.オワリはじまり（かりゆし58）
4.哀 戦士（井上大輔）
5.TRUE LOVE（藤井フミヤ）
6.Missing（久保田利伸）
7.GLORIA（ZIGGY）
8.道化師のソネット（さだまさし）
9.LOVE LOVE LOVE（DREAMS COME TRUE）
10.雨あがりの夜空に（RCサクセション）
11.セカンドプロポーズ（オリジナル曲／ボーナストラック）