「東京出たことを激しく後悔」 小池氏の少子化対策がもたらす波紋 “自治体格差”訴える声も

東京都の小池百合子知事が手厚い子育て世代支援策を打ち出したことが他の道府県に大きな衝撃を与えている。なかでも神奈川や埼玉など、近隣の子育て世代からは、「都内から引っ越してきたはいいが、まさかこんなことになるとは」と引っ越しを嘆く声も。当事者を取材をした。

小池百合子都知事【写真:ENCOUNT編集部】
小池百合子都知事【写真:ENCOUNT編集部】

「東京に家買えば良かった… さいたま市の保育料はえげつない」

 東京都の小池百合子知事が手厚い子育て世代支援策を打ち出したことが他の道府県に大きな衝撃を与えている。なかでも神奈川や埼玉など、近隣の子育て世代からは、「都内から引っ越してきたはいいが、まさかこんなことになるとは」と引っ越しを嘆く声も。当事者を取材をした。

 岸田政権が「異次元の少子化対策」を掲げる中、そのはるか上をいくスピード感で具体策を出したのが小池氏だ。「18歳以下の子どもに月5000円を一律給付」に続き、所得制限をもうけない「0~2歳の第2子の保育料の完全無償化」を発表すると、SNS上は子を持つ親の歓喜の声に包まれた。

 物価の高騰が家計を直撃する中、特に第2子保育料の完全無償化は今後、恩恵を得る世帯が多いとされる。

 保育園を考える親の会が発行する「100都市保育力充実度チェック 2022年度版」によると、東京23区の0~2歳児の月額保育料で最も高額なのは墨田区と中野区の3万2500円(計算は中間額による=所得控除前の年収が夫533万4202円、妻108万9924円、夫の社会保険料額を74万6789円、子ども1人とした、第1子保育料)。逆に最も安いのは渋谷区の8850円となっている。第2子はほとんどの区が半額となっているが、これが無償となれば、年間を通してかなりの節約となる。

 一方で、東京以外の他県の子育て世代からは大胆な政策をうらやむ声も見られた。

「東京出たことを激しく後悔」「都内→川崎に引っ越してきたはいいが、まさかこんなことになるとは」「東京に家買えば良かった… さいたま市の保育料はえげつない」

 ENCOUNTは横浜市に住み、1歳児を育てながら第2子を妊娠中の30代の女性に話を聞いた。2年前にマンションを購入した女性は小池氏の発言を受け、東京への引っ越しを検討していることを明かした。「自治体によって支援に差があると感じた」とし、胸中は揺れているという。

 横浜市の子育てサポートについては、「保育料が高額、待機児童が多い、中学校の給食がない」と、課題を指摘する。横浜市の対応がこのままならば、保育料の支払いは都民のほうに大きなメリットが生まれる。また、今回の小池氏の政策とは直接関係ないものの、横浜市の公立中学校の給食は選択制で、完全給食には至らないままだ。一方で、東京の完全給食実施校は義務教育の全公立学校のうち、1871校(99.6%)と高水準となっている。

 女性は妊娠中の引っ越しや逆に都内の保育園の利用者が増加することも懸念しており、「待機児童が増えて保育園に入れない(結局状況が同じ)と意味がない」と、頭を悩ませている。

 少子化対策への実際の効果は動き出してみないと分からないものの、ネット上の反響を見る限りはインパクト大。今後、危機感を感じた他の自治体が追従することも考えられるが、コロナ禍で地方に人口が流出していた東京にとって大きなターニングポイントとなる可能性を秘めている。

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