年末年始に定着、ドラマ再放送の是非 キー局社員は悲観「テレビ局のパワーが収縮」

正月の名物番組と言えば、2日と3日に日本テレビ系で放送される『箱根駅伝』。毎年、驚異的な視聴率を記録するなか、裏番組にはドラマの再放送が目立つ。1年前の年末年始も番組表には「一挙放送」の文字が躍ったが、この年末年始も再放送ラッシュとなった。

再放送ラッシュとなった年末年始(写真はイメージ)【写真:写真AC】
再放送ラッシュとなった年末年始(写真はイメージ)【写真:写真AC】

収益化とコストカットの一石二鳥 テレビ離れを食い止める苦肉の策

 正月の名物番組と言えば、2日と3日に日本テレビ系で放送される『箱根駅伝』。毎年、驚異的な視聴率を記録するなか、裏番組にはドラマの再放送が目立つ。1年前の年末年始も番組表には「一挙放送」の文字が躍ったが、この年末年始も再放送ラッシュとなった。

 箱根駅伝往路が中継された2日の番組表によると、各局のドラマ再放送は次のようになっていた。

【TBS】吉高由里子主演のミステリーサスペンス『最愛』→上白石萌音と佐藤健共演のラブストーリー『恋はつづくよどこまでも』→鈴木亮平主演の医療ドラマ『TOKYO MER』

【フジテレビ】長澤まさみ主演のエンタメコメディードラマ『コンフィデンスマンJP』

 同復路が中継される3日はさらに増えている。

【テレビ朝日】沢村一樹主演の人気医療ドラマ『傑作選 DOCTORS~最強の名医~』→水谷豊主演の刑事ドラマシリーズ『相棒』

【TBS】『最愛』→『TOKYO MER』

【テレビ東京】中村梅雀主演の刑事ドラマ『今野敏サスペンス 機捜235』

【フジテレビ】『コンフィデンスマンJP』

 2日に再放送されたTBSの『恋はつづくよどこまでも』は、佐藤健と井上真央が共演する13日スタートの新ドラマ『100万回 言えばよかった』に誘い込む役割があり、『TOKYO MER』は4月28日に公開される『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』の宣伝を兼ねている。フジの『コンフィデンスマンJP』は3日午後9時から地上波初放送される映画最新作『コンフィデンスマンJP 英雄編』、テレビ朝日の『DOCTORS』は同日午後9時からの『新春ドラマスペシャル DOCTORS~最強の名医~ファイナル』、テレビ東京の『機捜235』は27日スタートの『今野敏サスペンス 機捜235×強行犯係 樋口顕』とそれぞれ連動している。

 他にも話題作となった『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ)、『silent』(フジ)、『Dr.コトー診療所』(同)、『天皇の料理番』(TBS)、『マイファミリー』(同)、『リバース』(同)、『勇者ヨシヒコ」season1』(テレビ東京)、『孤独のグルメ』(同)などが年末から続々と再放送された。

 ドラマ再放送ラッシュについてネットでは「民放テレビのやる気の無さ」「手抜きできて視聴者も喜ぶ一石二鳥」「新年の朝の放送ってこんな再放送だらけだったっけ?」と批判的な声が上がっているが、一方で「今年の正月のテレビは理想的。いい番組の再放送してくれたら何回でも見る」「年末年始、『孤独のグルメ』再放送だらけ。ダラダラ見るのにちょうどいい」「相棒シリーズでも名作の一つ『バベルの塔』があります」「ちょっと目にするとテレビの前から離れられない」など肯定的に受け止めている視聴者も目立つ。

 賛否両論がある中、「この時期にテレビ地上波再放送だらけなの面白い」「ドラマの再放送だらけで年末感出てきた」「テレビが再放送だらけになって年末だなって実感する」など、ドラマ再放送を年末年始の“風物詩”として受け入れている視聴者も目立った。

 テレビ局関係者がこう話す。「ネットで“一石二鳥”という声が上がっていたように、連続ドラマから映画化という流れはテレビ局にとって収益の柱となります。また連ドラの再放送はスペシャルや新ドラマの宣伝になると同時に人件費や制作費などのコストカットも図れますから局幹部も“苦肉の策”と分かっていながらも反対はできません。一気見はNetflixなど配信ドラマの視聴習慣として広がっていますし、面白くない番組を並べると視聴者は配信ドラマの方に流れてしまいます。そんな視聴者をテレビに引き付けておく狙いもあります」。

 ドラマ再放送ラッシュは年末年始の“風物詩”として定着したかのように見えるが、民放キー局社員はこう打ち明ける。「テレビ局のパワーが収縮している現状がはっきり現れていると思います。私もNetflixのドラマが好きでよく見ていますし。テレビの将来について悲観せざるを得ません」。

※番組編成は関東ローカルによる

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