堀口恭司、格闘家のSNS発信は「すごい大事」 強さだけでは生きていけない「人気商売」
格闘技イベント「湘南美容クリニック presents RIZIN.40」(ABEMA PPVで全試合を完全生中継)は大みそかにさいたまスーパーアリーナで開催される。「Bellator」との対抗戦など格闘技ファン垂ぜんのカードがそろった今大会。ENCOUNTでは注目への出場選手へのインタビューを実施した。今回は扇久保博正(パラエストラ松戸)と3度目の対戦をする堀口恭司(アメリカントップチーム)。自身の試合についてや日本格闘技界、格闘家とSNSについて話を聞いた。
フライ級転向は「前向きな変更」
格闘技イベント「湘南美容クリニック presents RIZIN.40」(ABEMA PPVで全試合を完全生中継)は大みそかにさいたまスーパーアリーナで開催される。「Bellator」との対抗戦など格闘技ファン垂ぜんのカードがそろった今大会。ENCOUNTでは注目への出場選手へのインタビューを実施した。今回は扇久保博正(パラエストラ松戸)と3度目の対戦をする堀口恭司(アメリカントップチーム)。自身の試合についてや日本格闘技界、格闘家とSNSについて話を聞いた。(取材・構成=島田将斗)
――3度目の対戦。実際はどんな心境なのでしょうか。
「前回、前々回戦った時よりはもう本当に別人みたいな武器とか持っています。だから全然なめていないというか、でもここでしっかりともうやりたくないと思わせるような戦いをしたいですね」
――扇久保選手の“別人と思える武器”とは何なのでしょうか。
「(RIZINトーナメント優勝などもあり)やっぱり強いなと思っていましたね。元々、グラップリングが強くて、打撃は『まぁできてはいる』っていう感じだった。でも今はボクシングの練習もしているので、フォームとか見ててもすごくうまい。バランスが良くなってきたんじゃないかなって思いますね」
――「フライ級ならUFCも獲れる」という意見もありました。階級を下げると何が変わるのでしょうか。
「そこって気持ちの問題とかもあると思うんですよね。そこまで大きくは影響しないかなと思うんですけど、似たような身長とかになってくれば、リーチ差というのはなくなってくるんじゃないかなと思います。自分は気にしていないのですが、体格差とか周りに言われるんですよ(笑)。
トップを獲りに行く上で自分の体格だったら(フライ級が)ベストかなと思ったのでチャレンジしようと。(バンタム級で)勝てないから下げようとかではなくて、前向きな変更です。みんなマイナスに受け取るからそういうのは嫌だ(笑)。でもそれは証明しないといけないなとも思っていますね。世界のトップを狙いたいですね」
――RIZINでもフライ級GPを開催するという案も出ました。
「アジア圏でフライの選手は多いので、どんどん盛り上がってきているなと思います。そこまで自分はこの選手と戦いたいというのはないんですけれど、強いて言えば自分が負け越している選手ですよね。階級が違うんですけれど2戦前のパトリック・ミックスですかね。フライ級で『戦いたい』という選手はいないですね」
――フライ級の魅力は何なのでしょうか。
「止まらない、スタミナ切れがあまりない。展開が終わらない、速い。大半の選手は“軽い”から試合を決められないと思うんですよね。そこで自分はしっかりと決めていける選手なので、そこが魅力だと思います」
――世界的に見ると“軽い”階級の注目度は重い階級に比べると低い現状があります。何を思いますか。
「自分を筆頭にもっと見せられる選手がどんどんこのフライ級を盛り上げていきたいなと思っていますよね。UFCでもフライ級って盛り上がってきているので良いタイミングかなと思います」
――総合格闘技界のメジャーリーガーというのはどういう感覚なのでしょうか。
「周りが言うことであって、自分はメジャーリーガーとは思っていないです(笑)。俺が日本を代表するという気持ちではありますけれど、あんまりピンとは来ていないですね」
――堀口選手が海外で試合をしていた間に日本格闘技界のレベルは上がったと思いますか。
「まぁ上がってきてんじゃないですかね。RIZINさんがあって若い選手が出てきてるんで、すごい上がってると思いますよね。自分がいたときはあまりメジャーな団体が日本にはなかった。やっとここ最近でできてきたので、すごい上がってきたと思いますね」
――2022年、“対世界”という構図で日本人選手が負け越す現状もありました。その差はなぜ出てくるのでしょうか。
「技術力だったり、仕事になりきっていないというのはデカいのかなと思いますね。やっぱりお金の部分で日本はあまり稼げない。海外では、トップに行ったら結構な額がもらえる。ただそこじゃないですかね」
――その部分が上がれば格闘技のレベルは上がるということですか。
「そうですね。はっきり言って、コーチがコーチ業だけで食っていけないって、やっぱりなかなか難しいじゃないですか。そこじゃないかなと思います」
――それはどうやったら変わっていくと思いますか。
「選手自身もやっぱり盛り上げる使い方だったり。発信をいっぱいしていかなきゃいけないのかなとは思います。でも自分はそこがすごい下手なので、なんとも言えない(笑)。やっぱり人気商売ですから、人をどれだけ集められるかなので、すごい大事ですよね」
――とある海外の団体のCEOは日本人選手のレベルが下がってきている現状を嘆いていました。何を思いますか。
「やっぱり悔しいですよね。同じ日本人があまり勝てていない現状。自分ももう少しいろいろなことにチャレンジしていきたいなと思っています。自分も格闘技を続けながら育成だったりしていきたいなと思いますね」
――“喧嘩自慢”が今年流行しました。堀口選手はどう見ていましたか。
「ライト層は入ってくるので良いことなのじゃないかなと思います。それ(喧嘩自慢)があって本物があると思っています。入り口が広がらないと集客ができないと思うので、いいんじゃないですかね」