安くてワイン80万円に度肝…モナコで暮らす女性社長が明かした“世界の富豪と仲良くなるコツ”

日本人の知らない“海外セレブの世界”とはどんなものなのか? 夫の死や大病など何度も見舞われた悲劇から立ち上がってきた女性経営者のエミチカ(62)は、世界のセレブが集まるモナコ公国を生活拠点に置いている。モナコのパレスエリア(王宮前)で暮らす唯一の日本人というから驚きだ。そして、世界の富豪と仲良くなるコツは、なんと「1人でポツンといること」だという。一体、どういうことなのか。直撃した。

モナコでセレブたちとの人脈を築いているというエミチカ【写真:本人提供】
モナコでセレブたちとの人脈を築いているというエミチカ【写真:本人提供】

夫の死、病魔を乗り越えた不屈の女性経営者 2018年からモナコ公国に移住

 日本人の知らない“海外セレブの世界”とはどんなものなのか? 夫の死や大病など何度も見舞われた悲劇から立ち上がってきた女性経営者のエミチカ(62)は、世界のセレブが集まるモナコ公国を生活拠点に置いている。モナコのパレスエリア(王宮前)で暮らす唯一の日本人というから驚きだ。そして、世界の富豪と仲良くなるコツは、なんと「1人でポツンといること」だという。一体、どういうことなのか。直撃した。(取材・文=吉原知也)

「稼げる美しい女性になる」をモットーにするエミチカの人生は波瀾万丈そのものだ。16歳で父親を亡くし、眼科開業医の夫と結婚。2児の子育てをしながら「普通の幸せな暮らし」を送っていたが、51歳の時に不慮の事故で夫が他界。そこから、“主婦から経営者”に。一念発起して美容ビジネスに邁進(まいしん)するが、57歳の時に病魔に襲われる。

 甲状腺や顔の神経の病気を患い、放射線治療やステロイド治療、そして8度に及んだ手術…。闘病を経て再起を果たし、現在は、女性向けのビジネス教育サービスを展開している。2018年からモナコにも生活拠点を置いている。

 大病を克服した後に、思い切った“モナコ移住”。モナコと言えば、世界からお金持ちが集まる、タックスヘイブン(租税回避地)、ゴージャスで華やか…。そんなイメージだ。

 なぜ、モナコに住もうと思ったのか。亡き夫と生前に旅行で訪れた、縁が深い場所であるという。

「私には『好きを基準に動く』という行動指針があるんです。まず、(モナコ公国の公妃になった)グレース・ケリーが大好きだったということ。それからもう一つ。私は三重県出身なのですが、伊勢の二見興玉神社に景色や雰囲気が似ているからです。とても清らかで、エネルギーを感じると言いますか。他の人が見たら『全然似ていないよ』と言われるのですが、私にとってはすごく似ているんです」

 周囲からは「何で行くの」「大変な目に遭うだけ」と反対された。それでも、「好き」とワクワク感が背中を押した。

「モナコの歴史を見ると、貧困にあえいだ時期があるそうで、農作物も取れないし、どうするのかとなって、一か八かで世界中の人がびっくりする仕掛けをしたんです。カジノをやるんだとなって、それからみんながひっくり返るぐらいのホテルを作っちゃって。その勢いやパワーが気に入っているんです」

 世界を襲った新型コロナウイルス禍。健康管理や感染防止に気を払いながら、モナコを行き来している。コロナ禍になってからも「飛行機のフライトは、地球6週ぐらいしているんです」と明かす。

 コロナ禍や昨今の世界情勢の影響で、モナコは物価が高騰化。ホテルやサービス施設の人員削減も見受けられるという。それでも、世界のセレブの心意気を実感することがある。

「欧州の経済人はすごいなと思ったのは、ギブする、与えるという精神です。働いている人たちに対して、チップを1.5倍にして、『ありがとうね、これからもお互いに頑張っていこうね』と言葉をかけながら渡すんです。肩をポンポンとたたいて手渡して。セレブの人たちは、ただお金を使って豪遊しているのではありません。そんなセレブたちのさりげない行動から、心が通っているような光景を見ることができます」

 モナコの公用語は、フランス語だ。それでも、気後れすることなく、自分の話せるレベルの英語で積極的に会話をしているという。「お金持ちの皆さんはイタリア語やフランス語を話す人たちも多く、実はそんなにすごく英語ができるわけではないんですよ。私自身、最初に来た頃は『全然ダメだな、よく聞き取れないな』と思っていたのですが、皆さん結構英語が間違っていて(笑)。臆することなくしゃべっていると、なんとかなりますよ」と笑う。

舞踏会で「クリスチャン・ルブタン、ジャネット・ジャクソンと一緒のテーブルだったことがあります」

 それでは、セレブの人脈はどう築いているのか。意外な手法を明かしてくれた。

「セレブの皆さんは、チャリティーイベントによく来ます。私の過去の経験で言うと、舞踏会でクリスチャン・ルブタン、ジャネット・ジャクソンと一緒のテーブルだったことがあります。一緒に踊りました。

 でも、実は、大きな集まりやパーティーにはあまり現れないんです。日本の感覚だと、100人規模のパーティーで名刺交換をするとご縁ができるものだと思うかもしれませんが、逆にそんなところには来ない。そもそも皆さん、名刺を持ち歩いていません。もし見つけても、『友達になってください!』とその場に上がり込むようなことはできません」

 レストランが“秘密のポイント”になるそうだ。

「1つ面白いエピソードがあります。ある時、お昼にレストランに入ってワインリストを開いたら、最高で1本500万円、一番安くても80万円と書いてあってびっくりしたんです。やばいなと思って、『今ドクターストップがかかっているからお水にする』なんて言い訳をしようかなと考えていたんです。そうしたら、明らかにドギマギしている私を見て、隣のテーブルのご夫妻がニコニコしながら、『よかったら一杯どうですか?』と言ってくださったんです。それで1杯いただきました。お金持ちはそういった気配りの行動が当たり前なんです。

 どこでセレブと出会うか。その意味では、例えば、そこで感謝の気持ちを伝えて、少し会話をしてみるんです。その場の邪魔にならないようなコミュニケーションが大事です。そうすると、『今度どこどこに行くから、遊びに来ない?』と誘っていただけるんです。

 レストランを紹介されて、一緒にお食事をする機会をもらえます。セレブの皆さんには“常連の店”があって、そこのお店のマネジャーが、『実はこの方はこんなすごい方なんだよ』と教えてくれるんです。セレブの方々が帰る際に、マネジャーから『もし何かあればここに連絡しなさい、と名刺を置いてくれたよ』と渡してくれたりするんです」

 極め付きは、1人でいることだ。

「なんとなく、レストランでアジアの女性が1人でポツンといると、どうもセレブの皆さんは気になるわけなんです。『この人はどういった人だろう』みたいな。セレブの皆さんは、何人もぞろぞろと引き連れるようなスタイルは好きではないですし、そういった集団に話しかけることはしません。わいわいしゃべっているのではなく、1人でいることによって、セレブの皆さんの目に留まり、お店のマネジャーが気配りをしてくれるようになる。ここから世界が広がっていくんですよ」。優雅な語り口で、“エミチカ流”の極意を教えてくれた。

□エミチカ、女性経営者/起業家プロデューサー/美容家/EMICHIKA Co.Ltd代表取締役。国際的な講演プログラム「TEDx」で、2022年7月に公開された英語のスピーチ動画が公式サイトと公式YouTubeで合計200万回以上の再生数を記録。近著は『結局、「手ぶらで生きる女」がうまくいく。モナコの大富豪に学んだ、自由に生きる57のヒント』(PHP研究所)。

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