今年の大みそかも聖地・後楽園ホールが盛り上がる 「年越しプロレス」の魅力に迫った
今年も大みそか恒例の「年越しプロレス」(12月31日、東京・後楽園ホール)が開催される。今回は「年忘れ! シャッフル・6人タッグトーナメント」となった。
毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.124】
今年も大みそか恒例の「年越しプロレス」(12月31日、東京・後楽園ホール)が開催される。今回は「年忘れ! シャッフル・6人タッグトーナメント」となった。
「年越しプロレス」とはいうものの、長引くコロナ禍で2022年も年をまたがず年内に終了予定。それでも毎年、大みそかを楽しみにしているファンは多い。
DDT、大日本プロレス、他団体やフリー選手の年末ドリーム枠、という3つのグループから8選手ずつ出場。各グループから1人が選出されトリオが結成された。
ファンの抽選によってチームが決定するという方式は人気が高く、今年の公開抽選会では立ち見も出るほどの盛況ぶり。組み合わせが決まるたびに、マスク越しではあるが小さな歓声やどよめきが起こっていた。
注目出場チームは、全日本プロレスから唯一参戦の青柳優馬が上野勇希(DDT)、橋本大地(大日本)と組む「ゼロヒャク」。個々の実力はあるものの「何の接点もない。0か100」ということで「ゼロヒャク」と命名された。
抽選会を欠席した青柳は、全日本の最強タッグ戦ではジェイク・リーと組み参戦していた。「月とすっぽんタッグ。すっぽん担当の青柳優馬です」などと自虐していたが、ジェイクの全日本年内退団によって来年以降の期待がいよいよ高まっている。
青柳を巡る話題のひとつがキャプチャー・リアルブラッドの野村直矢との絡み。12月26日のキャプチャー神奈川・川崎ポスト・ディ・アミスタッド大会で、復活するタッグが注目されている。その前の全日本12月21日、東京・新木場1stRING大会でも抽選の結果次第で、直矢とのタッグもありえる。かつて全日本で注目を集めたノムヤギコンビとあって見逃せない。
もとより青柳は陰湿発言やコミカルな言動を繰り返し、振り幅が大きい。普段は対戦や組むことの少ない選手が揃っている年越しプロレスで、どんな戦いを見せるのか。新たな一面を披露してくれそうだ。
6人タッグは4人タッグとは違った面白さ
直矢は参戦が期待されていた最強タッグ戦にはエントリーされなかったが、全日本の年末の2大会と新春ジャイアントシリーズには全戦参加する。それだけに、青柳にとっては気の抜けない日々が続く。
MAO(DDT)&青木優也(大日本)&宮本裕向(666)は、趣味がバイクという共通点があり「怒羅威伐亜洲卍敗(ドライバーズハイ)」。抽選で決まった途端に大喜びだったがチームワークはバッチリ、戦力的にもバランスが取れている。
HARASHIMA(DDT)&石川勇希(大日本)&竹田誠志(フリー)は、スマイルとデスマッチファイターとシングルファーザーで「笑父血(わらちちち)」という摩訶不思議な名前となった。
チームリーダーのHARASHIMAは「強力なチームだと思う。これはもう優勝しかない。僕はデスマッチはしないけど、デスマッチに負けない激しい闘いをしているからね。毎年、組む相手は違うけど僕は2連覇している。3年連続優勝目指してガッチリ頑張ります!」とさわやかな笑顔だが、気の強さと自信をのぞかせた。
正田壮史(DDT)&野村卓矢(大日本)&田中将斗(ZERO1)の「チーム関西」は、栃木出身の卓矢が怪しげな関西弁を使って名乗り。卓矢は全日本・最強タッグで3冠王者・宮原健斗と優勝を果たしたばかり。全日本の新春後楽園2連戦で、世界タッグ王座挑戦(1・2)、3冠王座挑戦(1・3)と、一気に全日本制圧のチャンスを控え、勢いに乗っている。
弾丸戦士・田中と同様、体格的な不利をものともしない戦闘的なファイトスタイルで暴れまくる。「ちいかわ」と評されるが、リングに上がればタッグパートナーさえも平然とビンタで張り飛ばす。宮原いわく「半笑いで打撃を繰り出す姿は不気味」と冷血ぶりでも定評がある。
「童顔の暗殺者」という既存のキャッチフレーズはこのご時世、物議をかもしかねない。「童顔のエゴイスト」はいかがだろうか。歴戦のツワモノ・ベテラン田中に新星・正田との合体は、とんでもない化学反応を引き起こしそうだ。
「自分の中で、今年はもう終わったので」という、本音なのかケムに巻いたのかわからない関本大介の発言によって「チーム2023」となった、クリス・ブルックス(DDT)&関本(大日本)&木高イサミ(BASARA)。イサミの切り込み殺法から何かをしでかしそうだ。来年に向け優勝を飾りたいところ。
納谷幸男(DDT)&神谷英慶(大日本)&菊タロー(フリー)の「ビッグ・ボンバーズ」は納谷、神谷の重量感のあるブルファイトに菊タローが加わり、パワーだけではない面白さのあるチームとなった。台風に目になりそうだ。
KO‐D王者・樋口和貞(DDT)、BJW認定ジュニアヘビー級王者・関札皓太(大日本)、前東北ジュニアヘビー級王者・MUSASHI(みちのく)の「スーパーJカップス」。関札に「王者、王者、前王者。今年こそ優勝します。樋口選手には当日に限りジュニアの体重で」と提案された樋口は、戸惑いの表情だが、DDTの頂点を極めた今年を気持ちよく締めくくり「最高の年越し」にしたいと意気込む。それぞれの個性が融合すれば魅力的なチームになるだろう。
遠藤哲哉(DDT)&中之上靖文(大日本)&バラモンケイ(フリー)withバラモンシュウの「バラ之上インザスカイwithダイヤモンド」には、チーム名に負けないファイトを期待する。
6人タッグは4人のタッグとは、また違った面白さがある。そして「年越しプロレス」のすごいところは、大みそかのお祭り的なイベントプロレスではなく、試合でキッチリ魅せるところだ。「事情が許せば、自分も年越しプロレスに出てみたい」と希望している選手も、実は何人もいる。
トーナメント以外でもDDTとAEWのダブル所属となった竹下幸之介と、怪我から復帰した岡林裕二とのタッグ対決など、見どころは満載となった大みそか決戦。
重く暗いニュースも多かった2022年だが「終わり良ければすべて良し」という言葉もある。
激しく楽しい年越しプロレスを見て、明るい気持ちで新しい年を迎えたい。