大宮駅前の火災はなぜ起きた? 段ボールが自然発火の可能性、専門機関は注意喚起
27日朝、さいたま市のJR大宮駅前で火災が発生し、建物あわせて3棟が全焼した。警察によると「ビルの外の室外機の上にある段ボールが燃えている」と119番通報があったといい、ネット上ではエアコンの室外機の熱で段ボールが自然発火した可能性もささやかれている。はたして本当にそんなことが起こり得るのか。製品事故に関する情報を調査、分析する独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の製品安全センターに話を聞いた。
「ビルの外の室外機の上にある段ボールが燃えている」と119番通報
27日朝、さいたま市のJR大宮駅前で火災が発生し、建物あわせて3棟が全焼した。警察によると「ビルの外の室外機の上にある段ボールが燃えている」と119番通報があったといい、ネット上ではエアコンの室外機の熱で段ボールが自然発火した可能性もささやかれている。はたして本当にそんなことが起こり得るのか。製品事故に関する情報を調査、分析する独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の製品安全センターに話を聞いた。
報道によると、27日午前6時半ごろ、JR大宮駅前で「室外機の上にある段ボールが燃えている」と通行人の男性から119番通報があり、消防車など24台が出動。火はドラッグストアとその隣のファストフード店などに燃え広がり、およそ12時間半後に消し止められたが、ビル3棟が全焼した。この火災によるけが人はおらず、警察が原因を調べている。
ネット上では火災が起こる前に撮られた現場の写真から、原因を究明する動きも起こっている。投稿された写真には、ドラッグストアとラーメン店の隙間の狭い空間に設置された室外機と、その上に山積みとなった段ボール、さらにその上からラーメン店のダクトが伸びている様子が収められており、「ダクトの油が段ボールに滴って、空気も乾燥してるし、タバコのポイ捨てかな…」「食用油って布とかに染み込んだ状態で風通しの悪い場所に放置すると自然発火する場合があるんですよ。なのでひょっとすると勝手に燃えた可能性も……」「発火の条件揃い過ぎ」と自然発火を疑う声もある。
本当にそんなことが起こり得るのか。電化製品をはじめとする製品事故の情報を調査、分析する製品評価技術基盤機構製品安全センターの担当者は、エアコン室外機の適切な設置場所について、「消防法、条例などを遵守できるところ」「指定されたスペースが確保できるところ」「雨や直射日光が当たりにくく、風通しがよいところ」「吹出口からの熱風・冷風が周囲の迷惑にならない、動植物に当たらないところ」「腐食性のガス、油、油煙、蒸気が発生しないところ」「積雪により吸込口、吹出口がふさがれないところ」など、10項目もの条件を掲示する。今回のケースに関して言えば、室外機の設置場所としては極めて不適切だったことは明白だ。
油のしみこんだ段ボールの自然発火の可能性については、「NITEには事故報告がなく、再現実験での確認も行っておりませんので、回答致しかねます。なお、室外機近くに置かれた可燃物が発火する事故としては、タバコの吸い殻が原因になったものや、ペットボトルの収れん(水が入ったペットボトルがレンズのように作用して、太陽光が一点に集まり、可燃物が発火すること)による事故などが発生しており、弊機構でも注意喚起を行っているところです」との説明を寄せた。
この他、エアコンの内部洗浄の不備や室外機の中に虫や小動物が入り込むことでも火事になる可能性があるという。思わぬ事故を防ぐためにも、製品の説明書をよく読んだ上で正しい使い方をしたいところだ。