eスポーツ選手・岩渕大空が目指す日本一 後輩・佐々木朗希から受けた衝撃と刺激
日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント共催のプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALLプロスピAリーグ」(通称:スピリーグ)」の2022シーズンで、奮闘している選手がいる。東北楽天ゴールデンイーグルスの代表として戦う岩渕大空選手は、小学4年生のときに東日本大震災で被災し、楽天球団から少年野球を続けるための支援を受けた経験を持つ。「球団に恩返ししたい」という思いを胸に、eスポーツの舞台で楽天球団の看板を背負って活動を続けている。
野球支援した楽天への思いを胸にeスポーツで恩返し
日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント共催のプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALLプロスピAリーグ」(通称:スピリーグ)」の2022シーズンで、奮闘している選手がいる。東北楽天ゴールデンイーグルスの代表として戦う岩渕大空選手は、小学4年生のときに東日本大震災で被災し、楽天球団から少年野球を続けるための支援を受けた経験を持つ。「球団に恩返ししたい」という思いを胸に、eスポーツの舞台で楽天球団の看板を背負って活動を続けている。
スピリーグは“球団愛”が1つのテーマ。岩手県出身の岩渕選手は楽天球団に対して特別な思いを抱いている。岩渕選手が小学4年生だった2011年に東日本大震災が発生。岩渕選手は地元のスポーツ少年団で野球をしていたが、校庭には仮設住宅が建ち、練習場所の確保が困難に。他のグラウンドで開催される練習試合や大会には出場することができたが、練習環境を失ったチームは実戦で苦しんだ。そんな中、楽天が行っていた野球教室の支援を受けることに。
「そこでティーバッティングや、キャッチボールの基礎を習いました。基礎中の基礎の練習ができる環境がなかった自分たちにとって、プロの舞台で戦っている方から直接指導を受けることができるのはとても大きな経験でしたし、技術の向上につながりました。近くで見るプロ野球選手は大きく感じました。とある選手から『素振り、すごくいいね』と言われたのがすごく印象に残っていて……。自分の中でも大きなモチベーションになりました。
そういった支援のおかげで、小学6年生のときには初めて県大会に行くことができて、勝つ喜びを得ることができました。やっぱり、何事も勝つことが1番楽しいです。勝ちにつながる楽しさを見出すことができたのはすごく大きかったです」
進学先の大船渡高校では野球部に所属し、投手として練習に励んだ。2年生に進級すると、1学年下にのちの“令和の怪物”佐々木朗希投手(現・千葉ロッテマリーンズ)が入部。衝撃を受けた。
「最初彼が入ってきたときは鳴り物入りというわけではなく、『すごいやつがいるらしい』くらいだったんです。実際見てみたら球の速さはもちろんですが、その強心臓ぶりに驚きました」
1年生の夏に147キロを記録し、一躍全国にその名をとどろかせた佐々木朗だが、岩渕選手はそのメンタルの強さにも感銘を受けたそうだ。
「3年生にとって“最後の夏”がかかった公式戦の初戦で、一打逆転のピンチで1年生だった彼が公式戦に初登板して、自分のピッチングで切り抜けたんです。技術だけではなく、メンタルもその当時からすごかったです。いくら実力があっても、メンタル面が弱くて自分の投球ができないと勝てない。でも、そういった場で結果を残していて『彼はなにか違うものがあるな』と感じていました」
同じ部で過ごすうちに、「プロになる人はこういう人なのかな」と感じるようになったという岩渕選手。eスポーツのプロ選手として活動するようになった今、その目撃体験は自身の戦い方にも影響を与えたという。
「やっぱり、受け身になったときにイージーミスが出る。事前準備はできていると思いますが、その事前のイメージと実際のプレーの整合性を取るためには、やっぱり心の安定がすごく大事だと感じています」
この日行われた第3節は惜しくも白星とはならなかったが、「自分の出せるものは出せた」と胸を張る。「千賀投手(滉大・福岡ソフトバンクホークス)は相手にとっても一番いい投手。割り切って切り替えて、悲観的にならずに次につながるようにしたい」と次節を見据えた。
「勝つために楽しみたいと思っています。プロスピAを始めたときは『まず楽しもう』という気持ちが先行していましたし、勝ち負けよりも『とにかく楽しんでやろう』という考えが、試合で勝つために一番必要なことだと痛感しています。自分がいつも同じ心理状態でプレーすることができれば、勝てる道はまだまだあると思っています。最後の試合で、メンバー全員が笑って終われるように頑張りたいと思います」
□「eBASEBALLプロスピAリーグ」(通称:スピリーグ)とは
モバイルゲーム「プロ野球スピリッツA」を使用した、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント共催のプロ野球eスポーツリーグ。プロ野球12球団を代表する各球団3名、計36名のプロプレイヤーがセ・リーグとパ・リーグのeペナントレースを戦い抜き、日本一を目指す。
今後の日程や、スペシャルサポーターの出演予定は公式ウェブサイト(https://e-baseball.konami.net/prospi_a_league/)に記載。