【猪木祭り】格闘技ファン垂涎、無敗の元ベラトール王者も参戦決定 見えてきた出場者の全容

25日の午前11時から対戦カード発表会見が行われる、格闘技イベント「INOKI BOM-BA-YE×巌流島 in 両国(猪木祭り)」(12月28日)。10月に亡くなった、アントニオ猪木さんの“遺言”として開催される。当初は復活をテーマに実施される予定だったものの、結果的に追悼イベントになってしまうのは、関係者としても心苦しい限りだろう。

令和のカルガリーハリケーンズ誕生! 現地のマフィアと抗争し銃で撃たれた宇佐美秀メイソンも猪木軍入り
令和のカルガリーハリケーンズ誕生! 現地のマフィアと抗争し銃で撃たれた宇佐美秀メイソンも猪木軍入り

猪木軍には定番から柔術日本一、リアル不良も

 25日の午前11時から対戦カード発表会見が行われる、格闘技イベント「INOKI BOM-BA-YE×巌流島 in 両国(猪木祭り)」(12月28日)。10月に亡くなった、アントニオ猪木さんの“遺言”として開催される。当初は復活をテーマに実施される予定だったものの、結果的に追悼イベントになってしまうのは、関係者としても心苦しい限りだろう。

 さて、今回は会見を前に、ここまで公になっている参戦選手を改めて整理していきたい。

 最初に発表されたのは、“青い目のケンシロウ”ことジョシュ・バーネットと、“柔術ニンジャ”イゴール・タナベだった。ジョシュは過去に猪木さんが主催したIGFにも常連として参戦し、元UFCヘビー級王者としてもその実力は折り紙つきだが、面白いのは「今回は巌流島ルールで闘いたい」と伝えてきている点。既存のMMAはやり尽くしたと思っているのか、新たな挑戦を視野に入れているのは、まさに猪木イズムといっていい。

“柔術ニンジャ”イゴール・タナベはその実力を生前の猪木さんが高く評価していたという逸材。猪木さんと同じく、ブラジルのサンパウロで幼少期を過ごしている日系ブラジル4世にあたる。その実力は8年連続柔術日本一を見ても明らかだが、プロとしての戦績はMMAルールの1戦1勝のみだけに、今回の試合が本格的なデビュー戦となる。

 続いて発表されたのは、銃で撃たれたこともあるという、物騒な経験を持つ宇佐美秀メイソン。メイソンは、今年RIZIN博多大会のデビュー戦で華々しく勝利を飾った宇佐美正パトリックの実弟で若干21歳。兄パトリック同様、関係者の間では「10年に一人の逸材」と評価されるほどの選手になる。

 日本人の父親とカナダ人の母親を持つハーフで、少年時代は新極真全日本ドリームカップ優勝、新空手全日本大会優勝をはじめ、フルコン空手のタイトルを総ナメ。さらにキックボクシングでも覇王キックボクシング大会優勝を含め、「天才空手キッズ」の称号をほしいままにした。

 しかし、多感な思春期になると、天賦の才能はストリートファイトで発揮されるようになった結果、何度も警察の世話になるように。手を焼いた父親は環境を変えようと離婚した母親が住むカナダのカルガリーに留学させたが、今度はカナダでも現地の不良や本物のマフィアを相手に悪さを働き、こともあろうにカナダのマフィアでも屈指の大物を相手に仲間15人の内、8人が殺される大事件の当事者となったという。

 結果、本人も腕を銃で撃たれて、一命を落としそうになったことも。たしかに最近は不良がキーワードの大会も多々存在するが、実際に殺し合ったり銃で撃たれるなんて物騒な話はあまり聞いたことがない。もちろんメイソンは少年院にも刑務所にも入ったという武勇伝には事欠かないが、このままだと更生の道は難しいと懸念した父親の発案で、日本での生活を選択させ、その才能をリング上で生かそうと、プロ格闘家の道を歩むことに相なった。

 そして今回の猪木軍入り。となれば、かつてプロレス界に風穴を空けるべく結成されたカリガリーハリケーンズの令和版の誕生だ。なんといっても21歳という若さと、その勢いで格闘技界に新風を巻き込んでもらいたい。

カポエラ、シュレック、ミスターX、さらに未知の大物が!

 他には、アントニオ猪木の第2の故郷ブラジルから、“カポエイラ・マスター”マーカス・レロ・アウレリオの「猪木軍」入りも確定している。カポエイラといえば、柔術以上にブラジルで歴史を持つ、奴隷の間で育まれてきた格闘技。両手を縛られたままでも、脚を自在に振り回して相手をKOする超ド派手な格闘技として、今や世界に知られている。

 そのカポエイラの技を実戦の格闘技の試合でも見事に使いこなすのが、“カポエイラ・マスター”レロになる。レロは過去に「巌流島」でもその旋風脚で相手を苦しめてきた実績を持つ。ブラジル出身というのも、猪木さんとの縁を感じるが、今回は「猪木軍」として世界の強豪に立ち向かうという。

 さらにプロレスラーであり柔術家の関根“シュレック”秀樹も名乗りをあげている。しかも今回は、猪木さんが体験した“熊殺し”ウイリー・ウイリアムスとの「格闘技世界一決定戦」(82年2月27日、蔵前国技館)を意識して、「やるならウイリー戦だ」と対極真カラテを希望しているという。猪木さんの格闘技戦のなかでも、伝説となっているウイリー戦が再現されるとなれば、話題を呼ぶことは間違いない。

 また、今回の「猪木祭り」では、猪木さんの行った「格闘技世界一決定戦」のなかでも、最も奇妙な相手として知られる、ミスターXも復活する。当時、「週刊少年マガジン」で連載されていた「四角いジャングル」とのメディアミックスで誕生したミスターX。ルール無視のあまりにも荒っぽい試合ぶりで全米プロ空手協会から追放処分されていた、とされる経歴だったが、蓋を開けてみれば、なんとも滑稽な一戦となってしまったミスターXを、なぜ今回の「猪木祭り」で復活させるのか。

 そんな謎解きも含め、「猪木祭り」の隠し味になることを願うが、そんな話題作りに思われてしまう選手が参戦するかと思いきや、格オタ大興奮のまさかの大物も来日する。

 その名はラファエル・ロバト・ジュニア(米国)。MMA無敗の世界王者で、1983年生まれの39歳。191センチ、88キロという恵まれた体格を持ち、ブラジリアン柔術の大会ではホーレス・グレイシーにチョークで一本勝ちし、黒帯の世界大会では何度も優勝している経歴の持ち主だ。

 MMAは10戦無敗で「ベラトール」のミドル級という激戦区では、日本でもなじみ深い強豪ゲガール・ムサシを破ってチャンピオンに輝いたが、2020年に海綿状血管腫と診断され、王座を返上。

 今は後進の指導に当たっている伝説的な大物中の大物であり、日本人にとってはまだ見ぬ強豪。関係者もどんな相手を当てればいいのかと、うれしい悲鳴をあげており、SNSを通じて、広く対戦相手を募っている状態にある。

 ここまで書いただけでも、異色の顔ぶればかりだが、ここに令和猪木軍の総監督として“暴走柔道王”でバルセロナ五輪柔道銀メダリストの実績を持つ小川直也氏が加わると、どんな化学反応を起こすのか。

 とにかくこのメンツだけでも多岐に渡りすぎて、どこを目指しているのかとの疑念も感じてしまうが、裏を返せば、それがアントニオ猪木という多面体を現しているともいえる。

 いずれにしろ25日の会見では何が明かされるのか。2016年以降の年末格闘技はRIZINの独壇場の感が強かったが、今年は「猪木祭り」の復活で色合いが変化しつつある。これが格闘技界の次なるフェーズになっていく気配もあるが果たしてどうなるか。ともあれ、ついに全貌を現す「猪木祭り」に目が離せない。

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