映画出演続く19歳・吉田美月喜の背中を押した母の言葉 平手友梨奈との共演で受けた刺激

映画の主演、出演が相次いでいるのが、吉田美月喜(19)だ。映画「メイヘムガールズ」(11月25日公開)ではコロナ禍で突如、超能力が覚せいするヒロインを務めた。高校の最後の1年をコロナ禍で過ごした吉田が感じたことは?

映画「メイヘムガールズ」でヒロインを演じた吉田美月喜【写真:山口比佐夫】
映画「メイヘムガールズ」でヒロインを演じた吉田美月喜【写真:山口比佐夫】

女優業への覚悟を決めた高3のコロナ禍

 映画の主演、出演が相次いでいるのが、吉田美月喜(19)だ。映画「メイヘムガールズ」(11月25日公開)ではコロナ禍で突如、超能力が覚せいするヒロインを務めた。高校の最後の1年をコロナ禍で過ごした吉田が感じたことは?(取材・文=平辻哲也)

 中3だった2017年秋にスカウトされ、芸能界に入り、今年で5年目。本作だけでなく、来年1月には常盤貴子とW主演の「あつい胸さわぎ」、来秋にはアイヌ文化と大雪山文化を伝える「カムイのうた」が公開予定。今、注目を集める19歳だ。

「現場がすごく好きなんです。現場を経験したいから、オーディションを頑張っています。でも、現場では全然慣れなくて、緊張してしまいます。主演なのに周りの方にすごく助けられています」

 本作はコロナ禍で女子高生たちが突如、超能力を持ってしまうサイキックエンターテインメント。演じたのは、その超能力を、元家庭教師の男性に使おうとするヒロイン山崎(※正式表記はたつさき)瑞穂。高3の1年間をコロナ禍で過ごしたこともあって、登場人物にシンパシーを感じたという。

「(20年春の緊急事態宣言時は)学校側も態勢ができていなくて、登校できない状態。ずっと家で課題をやって、送るということを繰り返していました。修学旅行はなかったし、文化祭もできなかったんです。全部大人が悪いわけではないけれど、高校生からしたら、大人はしっかりしてくれないんだ、なんでわかってくれないんだという気持ちがありました」

 幼少期からバレエを習い、部活ではテニス、バスケットボールに夢中だったスポーツ少女。こんなに長い期間、家で過ごしたのは初めてだった。オーディションの数も激減し、自身の芸能活動も止まってしまった。

「家でオーディション用の動画を撮ったりもしましたが、みなさんの前で演技できることや学校に行って、友達に会えることが、どれだけありがたいことなんだと思いました。勉強をしながらも、今まで見てこなかったアニメや映画を見たりしながら、意外と性に合っているなとも感じました。一番よかったのは母親とゆっくり話す時間があったことですね」。

 母親は一番の理解者。高3という時期もあって、将来のことを真剣に話し合った。

「迷いもあったんですが、母が背中を押してくれました。母は『この仕事は頑張ったから報われる世界でもない、運もある。でも、この年で、自分のやりたいことを見つけられたのは、なかなかないこと。絶対に人生の経験になるので、1回全力でやってみなさい。ただ、やるからには絶対、中途半端なことはしないでね』って。それがうれしくて……」と振り返る。

目指す人物像は「芯の強い人」と力を込めた【写真:山口比佐夫】
目指す人物像は「芯の強い人」と力を込めた【写真:山口比佐夫】

「ドラゴン桜」では平手友梨奈との共演で刺激を受ける

 その後はTBS系人気ドラマ「ドラゴン桜」(21年)に出演。平手友梨奈(21)とコンビを組むバドミントン部員を演じた。

「平手さんと2か月間、一緒に練習をしていなかったら、そんなに仲良くなれなかったかもしれない。私も平手さんもバドミントンをやったことなかったので、一から練習でしたが、いい作品を届けたいという思いも強かったですし、平手さんの役ヘの熱さ、向き合い方もすごい、かっこいいなと思っています。今でも連絡を取っていて、刺激をいただいています」

 そのドラマの撮影では、スタッフから「もっと自己チュウになれ」と言われた言葉も印象に残っている。「『役として、よく見られたいからと考えると、絶対に心に響く芝居はできない。自己チュウでいれば、お客さんも感じるから』と言われ、すごく納得したんです。今回の瑞穂役も、そんなふうに演じました」と明かす。

 今年4月には鴻上尚史演出の「エゴ・サーチ」で舞台にも初挑戦した。

「自分の中では、オーディションが今までで一番できなかったと感じたんです。そのときに鴻上さんからは『反省しちゃ駄目だよ。演じているときは、自分は最高と思って演じなきゃ。反省は終わった後に全力でしなさい』と。自分の中で大切にしたい言葉だと思いました。2か月丸々、同じ人とほぼ毎日会って、毎日お芝居するっていう経験は初めて。カンパニーの皆さんが一番年下の私をすごく助けてくれたんです。良いカンパニーに恵まれ、毎日本当に楽しかった。鴻上さんはほぼ毎公演後にアドバイスをくれたので、初めと最後は全然違ったかなと思います。リアルタイムで演じたものをそのまま反応をもらえたのは貴重な経験で、達成感もありました」

 今後も映画の公開ラッシュだが、どんな女優を目指しているのか。「この役は吉田にしかできないよねって言ってもらえるようになるのが夢です。いろんなことを経験し、いろんな役をやってみたい。その中で、超能力を持つ役というのはすごくいい経験だったなって思っています。女性としては芯の強い人になりたい。母のような人ですね。母とはよくけんかもするし、むかつくこともいっぱいあるんですけど(笑)、本当に強い女性で、かっこいいんです。思っていることはしっかり口にする。自分の信念を絶対崩さない」。次作「あつい胸さわぎ」では事務所の先輩、常盤貴子と母娘を演じる。ますます目が離せない。

□吉田美月喜(よしだ・みつき)2003年3月10日、東京都出身。17年にスカウトされ芸能界に入る。かんぽ生命保険の企業広告「人生は、夢だらけ。」シリーズで注目を浴び、19年にはBSフジ「僕たちは泳がない」でドラマ初主演を果たす。その後、20年Netflixドラマ「今際の国のアリス」、映画「鬼ガール!!」などに出演する。さらに映画主演作として、2023年「あつい胸さわぎ」、「カムイのうた」、ヒロインを務める映画「パラダイス/半島」が公開予定。

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