小栗旬が明かす「鎌倉殿13人」への思い 義時を演じて「役者冥利に尽きる」ワケ

俳優の小栗旬が主人公・北条義時を演じるNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(毎週日曜、午後8時)。ダークヒーローとして輝きを放っている義時を中心に、最終回に向けて物語は大きく動き出している。本日20日の第44回からは、クライマックスの序曲となる「実朝暗殺」を描く。ツイッターを中心に結末を予想する書き込みも多く、大きな話題を集め続けるドラマとなっている。

主人公・北条義時を演じる小栗旬【写真:(C)NHK】
主人公・北条義時を演じる小栗旬【写真:(C)NHK】

「鎌倉殿の13人」クランクアップ、最終回に向けての思い

 俳優の小栗旬が主人公・北条義時を演じるNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(毎週日曜、午後8時)。ダークヒーローとして輝きを放っている義時を中心に、最終回に向けて物語は大きく動き出している。本日20日の第44回からは、クライマックスの序曲となる「実朝暗殺」を描く。ツイッターを中心に結末を予想する書き込みも多く、大きな話題を集め続けるドラマとなっている。

 今回、これまで主演として作品を引っ張り続けてきた小栗にインタビューを行い、最終回へ向けた意気込みを聞いた。

 これまで、長い期間にわたって撮影を続けてきた小栗は、インタビュー時点ですでにクランクアップをしていた。

「クランクアップの日にすべてを置いてきたので、いまはすっかり日常に戻りました。まだ演技を続けていたいという気持ちもあるし、やっと終わったんだなという安心感もあり、なんとも表現しづらい気持ちです」

 今回タッグを組むことになった脚本家の三谷幸喜。小栗は、三谷との撮影中のエピソードを明かしてくれた。

「クランクアップの前日になんだかソワソワしてしまい、三谷さんに『眠れません』ってメールを送りました。すると、『安心して演じてください。前日に言う事じゃないかもしれないけれど、これまで完璧な演技だったから明日も頑張ってください』と返信がありました。僕も、『素敵なメッセージですね』と送り返したら、『寝起きにしては気の利いたこと書いたでしょ』と返事が来ました(笑)」
 そんな三谷脚本の面白さについて、小栗はリスペクトを込めて解説してくれた。

「こんなに説明のセリフが少ない脚本も珍しいと思います。一人の登場人物が、長台詞をしゃべるシーンがほとんどなく、感情にそぐわないセリフが無くて俳優としてはありがたいなと感じていました。偉そうですが、今回の作品は神がかっていたと思うくらいに、毎話読むのが楽しかったです。しかも、最終回を『ああいう形』で描くところもすごいですし、やっぱり大河ドラマを心から愛している方だと伝わってきました。僕は、三谷さんの脚本で大河をできたことが本当にありがたかったです」

 自身が演じ続けてきた義時については、新たな魅力を感じながらの演技になっていたという。

「義時については、僕は名前も知らなかったですし、歴史に詳しい人でも『承久の乱』ぐらいでしか見たことがなかったと思います。悪者として描かれてきましたが、この大河を通して孤独な男だったというイメージを受け取ってもらえたと思っています。そのためにも、前半部分では明るい性格の義時を見てもらい、後半では本人は変わっていないつもりでも、『執権』という立場でたち振る舞わなければいけない矛盾と向き合う姿を表現しました」

 座長として、撮影を続けてきた今回の「鎌倉殿の13人」。現場の雰囲気はどうだったのだろうか?

「現場の雰囲気というのは、結局はスタッフのみんなで作ったものなんです。今回で言えば、間違いなく演出の吉田照幸監督の空気感が撮影以外の場所でも浸透していて、非常に風通しが良く変な緊張感がありませんでした。俳優陣もスタッフも、みんなが発言できる環境があったので僕が何かをしないと現場が回らないということもなく、楽しく撮影をさせていただきました」

大河ドラマを通して成長できたと話す小栗旬【写真:(C)NHK】
大河ドラマを通して成長できたと話す小栗旬【写真:(C)NHK】

現場でネットでの反響が話題になることも

 そんな小栗は、今回の大河ドラマを通して、俳優として成長できたと話す。

「一人の人間を若いときから晩年まで演じるためには、深く読みとることが重要だと思いました。義時を演じた中で、なぜこのセリフを言うことになったのだろうと考えることが多かったんです。だからこそ、自分の役やほかの人の役を通して視聴者のみなさんに楽しんでもらえるんだと思います。これから俳優として作品に取り組む際に、そういったグラデーションを付けられるようになったんじゃないかなと思います」

 今回のドラマでは、ツイッターを中心としたネットで大きな盛り上がりを見せたが、現場スタッフの間で話題になることも多かったという。

「義時を演じている僕に対して、不快な思いや怒りを感じる方が多いほど役者冥利に尽きるというか、そういう人物を演じられて良かったと思います。いろいろなボタンの掛け違いやプレッシャーが、どんどん積み重なっていって今の義時になってしまったんです。じわじわと彼を蝕んでいったものが作品では丁寧に描かれているので、一時期ネットで話題になった『大泉のせい』から『小栗のせい』に変わっていったことは非常に痛快でした。あとはツイッターのトレンドワードに義時のセリフとなる『おなごは、大体キノコが大好き』がいつか乗らないかなっていうのは考えています(笑)」

 ここまで、話題となった「鎌倉殿の13人」の人気を、小栗はチーム全体で作り上げた結果だと話す。

「自分たちが見ても面白いと思いますし、受け取った脚本がいつも演じることに対してすごく前向きにしてくれました。それに応えるべく演出、美術などスタッフが一生懸命良いものを作ろうとしたことが相乗効果になっていると思います」

 最後に、今後の俳優としての展望も明かしてくれた。

「この後に舞台があるのですが、それが終わったら今後を考える時間を作ろうと思います。すごく興味をそそられるお話を何本かいただいてる状況なので、どういった形で役者として生きていくかを決めなければいけないと考えています。あとは、大河ドラマの主演は、またいつか本当にやりたいと思っています。どんなにしんどかったとしても、いまの環境では1年以上ノンストップで一人の人物を演じることはなかなかできませんから。ただ、できれば今回と同じように、あまりみなさんにとって先入観のない人物を演じられる機会があるとうれしいです」

 壮大な物語が、ついに終焉の時を迎えようとしている「鎌倉殿の13人」。小栗を中心にチームで作り上げた作品を、しっかりと最後まで堪能したい。

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