【ズバリ!近況】元フジアナウンサーの田中大貴さんがフジ辞めたワケとコロナの“前向き”影響語る

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪をはじめ野球やサッカーなど大きなスポーツイベントも自粛の波に襲われている。スポーツを仕事とするすべての人が大きな影響を受けている。かつてフジテレビのアナウンサーとして、「すぽると!」などのスポーツニュース番組やスポーツ実況で活躍した田中大貴さん(39)もその1人だろう。フジテレビを退社し、現在はフリーで活動する田中さんに近況を聞いた。

配信事業の可能性に強くひかれている田中大貴さん【写真:山田隆】
配信事業の可能性に強くひかれている田中大貴さん【写真:山田隆】

スポーツ中継の実況は様子見、MC番組は工夫して番組作り

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪をはじめ野球やサッカーなど大きなスポーツイベントも自粛の波に襲われている。スポーツを仕事とするすべての人が大きな影響を受けている。かつてフジテレビのアナウンサーとして、「すぽると!」などのスポーツニュース番組やスポーツ実況で活躍した田中大貴さん(39)もその1人だろう。フジテレビを退社し、現在はフリーで活動する田中さんに近況を聞いた。

 2018年5月にフジテレビを退社しました。もうすぐ丸2年になりますね。フジテレビにいたらできない、やりたいことがいろいろあって退社したのですが、僕にとってライフワークといっていい位置づけのスポーツ番組の司会やスポーツ中継の実況は、新型コロナの影響で2月頃からいったん様子見状態です。いつまで続くかわかりませんが、実況できないぶん、雑誌「週刊ベースボール」(ベースボール・マガジン)やウェブメディアの「Number Web」などでスポーツコラムを連載させていただいています。

 本来なら、千葉ロッテマリーンズや福岡ソフトバンクホークスの野球中継、野球以外ではK-1やeスポーツの実況などを予定していました。BS12の「水曜バスケ!」や、ヤフーのスポーツ総合サイト「スポーツナビ」などで生配信している「B.LEAGUE EVERYWHERE ~スポナビ×Bリーグ スペシャル番組~」とかはMCなので継続していますが、Bリーグが中止になったなかでどう見せていくのか。地上波のテレビは今、コロナ関連がほとんどなので、スポーツファンのなかには窮屈に感じ、フラストレーションを溜めている人もいると思います。選手の顔を見たい、声を聞きたい、スポーツの情報に触れたい、と思っている人のために、工夫しながら番組作りをしています。

今は新型コロナ収束後を見すえて準備をするとき

 配信事業者は既存のメディアに比べ、フットワーク軽く番組作りができます。インターネットでつないで選手にインタビューしたり、制作もスタッフ同士がネットを使ってコミュニケーションをとったりしながらできる。コロナが収束したとき、新しいスポーツ番組の見方が生まれ、イノベーションが起きると僕は思っているので、今はメディアも、スポーツチームも、スポーツ競技団体も、そのときに向けてシステムを見直し、準備する時間だと思っています。

 フジテレビでは幸せなことに、マス(大衆)に向けたお仕事をさせていただいていましたが、2015年頃から配信事業者が「DAZN」や「スポーツナビ」「AbemaTV」などでスポーツ中継を始め、配信媒体の可能性を強く感じて興味を持ち始めました。それがフジテレビを退社した大きな理由のひとつです。既存の大きなメディアと新しい配信事業者をコラボレーションさせてシナジーを生み出せないか、と思い描くようになったんです。新しいことにチャレンジするのは勇気がいったし、会社を辞めることについては周囲から「もったいない!」とすごく反対されました。でも、ボクシングの世界チャンピオンの村田諒太選手が「誰も行ったことのない道を行くのは怖いけど、一歩踏み出すと怖さはそぎ落とされていくもんだ」とインタビューで話すのを聞いて、背中を押されました。

フジテレビを辞めた理由は…

 それに、僕の中では「こうなったらどうしよう」という怖さよりも「あれもできる」「これもできる」という気持ちのほうが先行していました。フジテレビでは40歳が近くなると管理職になっていくので、現場に行ける機会は減っていきます。会いたい人がいても、取材したいところがあっても、それはある程度、後輩に託さなくてはいけなくなっていく。いつもホットな情報の最前線に立って現場の空気に刺激を受けたい僕は、まだまだ現場に行きたかったんです。

 フジテレビにいてもスポーツ中継の実況はできますが、たとえば、僕は中高大学と野球をやってきたので、高校野球や大学野球の実況とかもやってみたいとずっと思っていました。でも、フジテレビのアナウンサーだと、当たり前ですが、フジテレビが中継ライセンスをもっているものの実況しかできず、高校野球や大学野球の実況はできません。フリーになれば、できるかもしれない、と思ったんです。

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