「歩ける人は階段使って」はわがまま? 車いす利用者の投稿が話題、真意を聞いた
「車椅子はエレベーターしか手段ない。歩ける人は階段もエレベーターも手段としてある。そっち使ってほしいなぁ。って言うのはわがままなのかな?」。10月下旬、一人の車いす利用者の投稿がネット上で大きな話題を呼んだ。投稿を行ったのは脊髄損傷で車いす生活を送る登録者数10万人のYouTuber、渋谷真子さん。投稿に込めた意図を渋谷さんに聞いた。
脊髄損傷で車いす生活を送る登録者数10万人のYouTuberが疑問を投稿
「車椅子はエレベーターしか手段ない。歩ける人は階段もエレベーターも手段としてある。そっち使ってほしいなぁ。って言うのはわがままなのかな?」。10月下旬、一人の車いす利用者の投稿がネット上で大きな話題を呼んだ。投稿を行ったのは脊髄損傷で車いす生活を送る登録者数10万人のYouTuber、渋谷真子さん。投稿に込めた意図を渋谷さんに聞いた。
「2階から1階に降りたいだけなのに 人が多くて乗れなくて何機も見送って15分位待ってた。トイレにも行きたくて、障害があって我慢出来ないから漏れとの戦い。車椅子はエレベーターしか手段ない。歩ける人は階段もエレベーターも手段としてある。そっち使ってほしいなぁ。って言うのはわがままなのかな?」
不満そうな表情でエレベーターを待つ渋谷さんの画像が添えられた投稿は、1.5万リツイート、7.7万いいねを集めるなど大きな話題となっている。
「投稿の内容は10月9日の博多駅、夜9時くらいの出来事です。友人と食事して、博多から電車で福岡の家に帰る途中でした。エレベーターでは日常的にあのくらい待つんですが、このときは友人が一緒だったので、こんなに待つんだと様子を撮ってくれた。一人のときはああいう写真も撮れない。やっぱり写真があったほうが伝わりやすいと思って投稿しました」
渋谷さんの投稿には「こーゆーツイートありがたいです!自分は気がつけないので、、、以後気をつけます!!」「恥ずかしながら気づいてなかった。気づかせてくれてありがとうございます」という声の他、「何故だれも譲らないのか不思議。日本国内ですよね・・・・・」「ベビーカーでも似たような状況になることが何度もあって本当に困る」とエレベーターの乗客を非難する声、「『代わって頂けませんか?』と声をかけられない限り気づかない」「お気持ちはわかりますが、その場で自分からアピールしなければなにも解決・改善はしません」と車いす利用者側から声をかけるべきだという意見など、さまざまな反応が寄せられた。
渋谷さんも続く投稿で「『察して』『わかって』じゃなくて、車椅子ユーザー側から『乗りたいです』って声をかける事も必要なんだと。皆さんのコメントを拝見して思いました! 一時的なバズりで終わるのではなく、お互いにとって何かキッカケとなる投稿であってくれたら嬉しいです」とつづっている。
渋谷さんの発信内容が話題となったのは今回が初めてではない。2020年2月には東京メトロ永田町駅の階段で昇降機の使用をめぐる不満をYouTubeに投稿。車いす利用者を取り巻く現実が大きくクローズアップされた一方で、「わがままだ」「エレベーターがあるか事前に調べてから来い」など、批判的な声も多く寄せられた。
「本当に言い方ひとつだと思います。自分の気持ちだけで話すと反感を買ってしまうことも学びました。善しあしは別にして、もっと申し訳ない感じを出した方が健全な議論にはつながるのかなと。私が悪目立ちすると、障がい者全員がわがままだとくくられてしまう。こちらからの一方的な主張にならないよう気をつけています」
今回の投稿が大きな話題を集めたように、障がい者や車いす利用者をめぐる議論はまだまだ不十分なのが現状だ。健常者と障がい者、その二者に分けられないさまざまな事情を抱えた人も含め、お互いを知るためにもさらなる議論が必要なようだ。