平本蓮「K-1時代はプロじゃなかった」 SNS駆使する“新世代の格闘家”が生まれるまで

11月6日に行われる格闘技イベント「ANGEL CHAMPAGNE presents RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA」(愛知・ドルフィンズアリーナ=ABEMAで全試合完全生中継)のメインイベントで弥益ドミネーター聡志(teamSOS)と対戦する平本蓮(ルーファスポーツ)。SNSでバズり続ける格闘技界の風雲児が持つ矜持(きょうじ)を探った。

平本蓮が明かした本音とは【写真:山口比佐夫】
平本蓮が明かした本音とは【写真:山口比佐夫】

SNSを巧みに操る平本の根底にあるものとは

 11月6日に行われる格闘技イベント「ANGEL CHAMPAGNE presents RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA」(愛知・ドルフィンズアリーナ=ABEMAで全試合完全生中継)のメインイベントで弥益ドミネーター聡志(teamSOS)と対戦する平本蓮(ルーファスポーツ)。SNSでバズり続ける格闘技界の風雲児が持つ矜持(きょうじ)を探った。(文・角野敬介)

 全身タトゥーのインパクトが強烈で、一見すると強面。さらにSNSでの歯に衣着せぬ発言。フロイド・メイウェザーの“通訳”としても大きな話題を集めた。平本蓮は個性派という枠には収まらない。今、最も面白いMMAファイターかもしれない。格闘家に対して、“面白い”という言葉が適切かはわからないが、試合を見たくなる、PPVを売れるファイターとしては必要不可欠な条件だ。

 SNSを巧みに使いこなし、ほかの格闘家をあの手この手で煽り倒す。誰彼構わず噛みつき、テキスト上でのバトルを繰り広げる。歯切れのいいワードで相手を“口撃”。何もないところから“因縁”や“遺恨”を作り出し、気付けばファンもアンチも平本ワールドにハマっていく。

 元々は将来を嘱望されたK-1ファイターだったが、2020年大みそかのMMAでのデビュー以降は1勝2敗。7月の「RIZIN.36」でようやく初勝利を挙げたばかりだが、その存在感は個性派がそろうRIZINの中でも群を抜いている。唯我独尊、唯一無二――。令和の格闘家としての一つの在り方かもしれない。

 面と向かって口を開けば、言葉の端々に力強さを感じる好青年。真摯に格闘技と向き合っていることが、随所に垣間見える。そしてインタビューでは自らの試合を通じて届けたい熱い思いも語ってくれた。

インタビュー中に爆笑する見せる平本蓮【写真:山口比佐夫】
インタビュー中に爆笑する見せる平本蓮【写真:山口比佐夫】

 優等生だったK-1時代から、なぜ今の“スタイル”へと変貌を遂げたのか。「K-1時代はプロじゃなかった」。その発言の真意を聞くと、平本の信念が垣間見えてきた。

「試合前にやっぱりこういう発言したらかっこいいなとか、こういう発言したらどうだっていう自分の中の理想像ってずっとあって、でもそれを試合前にやっていると負けた時にバッシングがやばいんだろうなって思って踏み込めてない自分がいたんですよね。一生懸命、練習もするし試合もするんですけど、『50-50』みたいな自分がすごく嫌いで、普通のやつだなって。

 でもあるときに、(プロとして)一生懸命やってないなって。そんな自分で思ったことができないようじゃ、一生たってもオレこのまんまだなって。だから本当に、今は今を一生懸命頑張れてます。だから頑張って盛り上げたりとか、エンターテインメントとして頑張ってやってるとかじゃなくて、自分のやりたいことやっている。だから自分を見て、嫌ってもいいし、応援してくれても嬉しいし、ってそういう感じです」

 誰かのために戦うわけじゃない。格闘技界を盛り上げるためでもない。平本はただ自らが信じた道を歩くために、今を、この瞬間を、懸命に生きているのだ。

 まだ24歳。本人は本気でUFCを目指している。誰もが認める打撃センスの一方で、グラウンドはまだまだ発展途上。ドミネーター戦も下馬評では不利だ。そんな中で何を見せてくれるのか。平本のファイトを、いや生き様を、目に焼き付けたい。

□平本蓮(ひらもと・れん)1998年6月27日、東京都足立区出身。K-1甲子園2014で高1にして優勝。15年にK-1でプロデビュー。17年にはK-1 WORLD GP 初代ライト級王座決定トーナメントに出場し、準決勝でゴンナパー・ウィラサクレック(タイ)を破る大番狂わせを演じ、翌年のK-1 WORLD GP 2018 JAPAN ~K’FESTA.1~ではゲーオ・ウィラサクレック(タイ)を2R・KOする大金星を挙げた。20年にMMA転向。173センチ、68キロ。

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