青山テルマ「そばにいるね」が教えてくれたこと 毎日祈った「神様もう1回だけチャンスを!」
デビュー15周年を迎えた歌手の青山テルマが新曲「いつまでも feat. SoulJa」をリリースした。SoulJaとのコラボ曲といえば2008年の大ヒット曲「そばにいるね feat. SoulJa」が挙げられるが、新曲ではあれから15年後の今の思い、受け入れることや信じ続けることの大切さをSoulJaが描いている。そこでENCOUNTでは青山テルマの15周年を記念して2回にわたってインタビューを紹介。1回目は彼女をトップスターへと押し上げた1曲「そばにいるね」そして新曲「いつまでも」について語ってもらった。
過去の自分から今の自分へとバトンタッチができた15年
デビュー15周年を迎えた歌手の青山テルマが新曲「いつまでも feat. SoulJa」をリリースした。SoulJaとのコラボ曲といえば2008年の大ヒット曲「そばにいるね feat. SoulJa」が挙げられるが、新曲ではあれから15年後の今の思い、受け入れることや信じ続けることの大切さをSoulJaが描いている。そこでENCOUNTでは青山テルマの15周年を記念して2回にわたってインタビューを紹介。1回目は彼女をトップスターへと押し上げた1曲「そばにいるね」そして新曲「いつまでも」について語ってもらった。(取材・文=福嶋剛)
――ひと言では言い表せないと思いますが青山テルマにとって15年という時間とは?
「“山あり谷あり”って感じでしたね。みんな同じなのかもしれないけれど、やっぱり楽しいことって一瞬なんですよ。そのあとに待っている次の壁をどうやって乗り越えていくか、自分がやりたい好きなことをどれだけ純粋に好きでいられるか、そんなチャレンジをすごく楽しめた15年だったと思います」
――壁を乗り越える瞬間は何度もあったと思いますが、それがあったからこそ今があると?
「そう思います。『そばにいるね feat. SoulJa』(2008年)という曲がヒットして、ものすごく大きな経験をさせていただいたことで、そこにすがってしまい、それからしばらく『もう1回あの瞬間に出会いたい!』って後ろ向きに歩いていたんです」
――後ろ向き?
「10代の頃は家で音楽番組を見ながら『私の方が上手い』っていう根拠のない自信があったんです。だけどデビューするまでにすごい時間かかって、ようやくセカンドシングルの『そばにいるね』が大ヒットして『やった!』って喜んだんですけど、それだけ苦労してたどり着いたので、『ここにいて当たり前だ』って勘違いしちゃったんです」
――天狗になってしまった?
「まさにその通りです(笑)。19、20歳の世の中のことなんて何も知らない大学生が突然忙しくなって目まぐるしい毎日についていくことで精いっぱいでしたから。振り返ると心の底から周りの人たちに感謝できていなかったし、それよりも『毎朝ちゃんと起きられるかな?』ってそれが心配で自分のことしかフォーカスできてなかったんです」
――20歳の頃のテルマさんには重たかった?
「重すぎた部分はありました。大学4年ぐらいだったかな? ファーストアルバムを出したあと曲が売れなくなっていって世の中の人たちが描く青山テルマ像と自分が思っている青山テルマ像のギャップがどんどんと離れていったんです」
――つらかったでしょうね。
「苦痛でした。『もうすぐ忘れられちゃう』っていう不安もあったし、電車に乗ったら『あいつオワコンだ』って誰かに指をさされている気がして電車に乗れなくなっちゃったり。外に出るのも辛かったですね。当時はバラードの曲が多かったので、その曲の世界観に入り込みやすいような自分の中のキャラクターで歌っていたんですが、それも徐々に息苦しくなっていって……」
「私は何がしたくてここにいるの?」答え探しの旅で見つけたもの
――それをどうやって乗り越えたのでしょう?
「自分は音楽が好きで音楽を届けたいし、自分の言葉を届けたいっていうのは変わらなかったんです。だから『私は何がしたくてここにいるの?』って自分に問いかけてみたんです。そこで出た答えが『人のせいにしないで全部自分の責任でやってみよう』でした」
――自分のせいにする?
「そう。振り返ると『この人がいいって言ったからやってみたのに』とか『あなたがやってほしいと言ったから』って相手のせいにしたり、誰かに期待しすぎちゃっていた自分がいて。私自身に期待することを忘れていたんです。『なんで私は幸せじゃないの?』『なぜこんなに私は病んでるの?』。それをすべて自分のせいにして、『じゃああなたがやりたいことって何?』っていうのを探すために2、3か月、1人でロスに行かせてもらって考えました」
――ロサンゼルスに行って何が変わりましたか?
「音楽を届けたいっていう根本的なものは変わらなかったんです。でも届けるという意味、私を応援してくれるすべての人にちゃんと愛と感謝を届けたいっていう気持ちが強くなりました。もしもふたたびスポットライトを浴びる瞬間が訪れたら、今度はその光をたくさんの人にシェアしたいなって。だから『神様、もしふたたび私がこの世に必要とされるときがきたら、そのときは必ずみんなのために生きるから、もう1回だけチャンスをください!』って毎日祈っていました(笑)」
――新曲「いつまでも feat. SoulJa」は、SoulJaさんとの12年ぶりのコラボ作で「そばにいるね」とつながる楽曲です。あらためて今、「そばにいるね」と向き合ってみた感想は?
「『そばにいるね』は今でもライブで必ず歌いますし、定期的にテレビでも歌わせていただく機会もあるので、自分の中では、その曲とともに成長してきた感じがあって、ネガティブな気持ちとか違和感はまったくないです。新曲が出ても『そばにいるね』が求められるなら、これからも歌っていきたいし、むしろこれからも求められる曲であってほしい。やっぱり歌い続けてきたから今回の『いつまでも feat. SoulJa』にちゃんとバトンタッチができたんだと思っているんです」
――バトンタッチができた?
「『そばにいるね』はあの時代、あの瞬間だったからこそみなさんに届けられたんです。そんな経験に感謝しつつ、やっぱりそれにずっとすがって後ろ向きに歩いていたら転んでしまい後悔したことや傷付いたこと、やり直したいって思ったことがたくさんありました。でもよく考えてみたらそれって全部私にしか経験できないことばかりだったんです。
もしあの頃、『もうこの曲を歌いたくない』とか、『過去の栄光は嫌』っていう変なプライドを持っていたら、きっとあの曲ってあそこで終わっていた気がするんです。やっぱり歌い続けるってすごく意味があって、1人でも多くの人にこの曲の良さを伝えることが私の使命だし、それをやってきたからこそ、過去の自分から今の自分へとバトンタッチがちゃんとできたんです。だから今は『そばにいるね』という楽曲やSoulJaをはじめ、出会ったみなさんに感謝しながら青山テルマだからこそできることにこれからもたくさん挑戦していきたいって思っています。
□青山テルマ 1987年10月27日、奈良県出身。B型。小学校6年生までインターナショナルスクールで過ごしたのち、家族と共にロサンゼルスへ移住。2002年夏、日本に一時帰国した際に音楽関係者から声をかけられたことを機に日本でのメジャーデビューを夢見る。07年9月5日にシングル「ONE WAY」でメジャーデビューを果たす。キュートな容姿を備えつつ、鮮明かつパワフル、そして感情豊かな歌声を絶妙にコントロールする実力派シンガーである。また、ファッションや写真、アートと多趣味であり、そのセンスは同年代の女性から支持されており、バラエティー番組等各メディアで見せるその飾らないパーソナリティーに幅広い世代からの共感も集めている。22年10月シングル「いつまでも feat. SoulJa」をリリース。11月4日、自身初となる日本武道館公演を開催する。
青山テルマ公式HP:https://thelma.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/thelmaaoyama/