清水尋也&磯村勇斗、声優として“でこぼこコンビ”熱演「いつもと違う疲労感があった」
長い脚を持ったフラミンゴ、長い鼻のゾウなど、動物たちの身体の特徴を人間に置き換えたアニメーション映画「カメの甲羅はあばら骨」が10月28日から公開される。主人公のカメ、その親友のカエル役は、映画「東京リベンジャーズ」などの話題作でも共演してきた俳優の清水尋也(23)と声優初挑戦の磯村勇斗(30)が務める。清水と磯村へのインタビューで、アフレコでのエピソードや、身に付けたい動物の特殊能力について、また互いへの思いなどを聞いた。
声優初挑戦の磯村 絶妙な緩さは「しゃべりながら、オナラをしている自分をイメージ」
長い脚を持ったフラミンゴ、長い鼻のゾウなど、動物たちの身体の特徴を人間に置き換えたアニメーション映画「カメの甲羅はあばら骨」が10月28日から公開される。主人公のカメ、その親友のカエル役は、映画「東京リベンジャーズ」などの話題作でも共演してきた俳優の清水尋也(23)と声優初挑戦の磯村勇斗(30)が務める。清水と磯村へのインタビューで、アフレコでのエピソードや、身に付けたい動物の特殊能力について、また互いへの思いなどを聞いた。(取材・文=西村綾乃)
映画の原作は生物などのイラストを手掛ける川崎悟司が2019年に出版した図鑑「カメの甲羅はあばら骨」。インパクト抜群の“動物人間”はすぐに注目され、累計発行部数3万部を突破。図鑑ジャンルでは異色のヒットとなっている。
高校を舞台にした物語では、清水が本音をあばら骨にしまってしまう引っ込み思案な主人公・カメ田カメ郎に。磯村は強じんなスネを持つ、明るい男子高生・カエル川エル隆に扮している。映画には美脚を活かし読者モデルをするフラミンゴ塚フラ美や、御曹司のライオン寺ライ王など、さまざまなキャラクターが登場する。もし特殊能力を身に付けられるとしたら、何を身に付けたいだろうか。
磯村「どっちに行くかだよね。シカとかヤギみたいにノビノビと暮らすのか。クマとかのようにアグレッシブに生きるのか。クマになったら、腕とか凄そうじゃない? レスリングのチャンピオンになれるね。きっと」
清水「うん。クマに勝てるとしたら、ゾウかなぁ……。僕は動物の能力を得られるとしたら、『鳥』が良いです。空を飛びたいです。自分の力で。羽がほしい」
磯村「飛びたいね」
清水「うん。(マンガの)『クローズ』が好きなので、カラス(登場する不良少年や学校をカラスに例えている)が良いな」
磯村「カラスだと、ご飯が残飯とかになっちゃうんじゃない」
清水「僕なんか、それぐらいで十分です」
清水は21年公開の劇場アニメ「映画大好きポンポさん」で主人公を務めて以来、磯村は初の声優挑戦だ。声のみでの演技。配慮した点は。
清水「演じたカメ田は、実際のせりふと、心の中の声が1つの場面の中に混在しています。目線を動かすなど身体を使って表現することができないので、声でその二面性を見せられるよう、コントラストを出すことを意識しました。監督からは『アニメっぽくとか考えず、普段のお芝居のようにやって』と言われていたので、感情の波を表現することを大事にしました。後半、カメ田が押し込めていた感情を出す場面では、中途半端にならないようギアを入れ替えました」
磯村「僕は明るさを意識しました。カエル川は骨のあることを口にするときもありますが、全く頭に入ってこないんです。動きもカエルのようにピョンピョン跳んでいるし、常にフワフワ浮いている感じをイメージしてと監督からも言われていたので、そこは意識しましたね。滑舌がうまく回らない感じ。それが愛されるポイントでもあると思います。カエル川の絶妙なしゃべり方は、“しゃべりながら、オナラをしているような感じ”をイメージしました。その緩さをつかむまでは難しかったですね」
清水「確かに、しゃべりながらも『ブー、ブー』いっちゃってる感じでしたよね(笑)。僕は声優のお仕事は2度目でしたが、いつも使っていない筋肉を使うというか、変な筋肉を使っているなと。いつもと違う疲労感がありました」
磯村「そうだね。いまの尋也くんの言葉は、全くその通り。僕も納得しました。言いたかったことを、ひと言で表してくれました」
映画の中では「歌」にも挑戦した。
磯村「楽しかったですね。『♪跳躍力に嫉妬して~』と尋也くんと歌うのですが、1回で合ったよね」
清水「そうなんです。最初はアドリブのつもりで、歌の合間に試してみた感じだったけど」
磯村「尋也くんは、とにかくよく聞いてくれるんです。聞くことに長けている。だからピタっと合わせることができたんだと思います」
清水「(磯村)先輩は、伝えることに長けているじゃないですか」
磯村勇斗、清水尋也は「周りに左右をされない、真の俳優」
来年は清水が半間修二役、磯村が千堂敦役を務める映画「東京リベンジャーズ2」の公開が予定されている。お互いの存在をどのように思っているのだろうか。
磯村「尋也くんとは、7歳違うんだよね。でも先輩とか後輩とかは関係なく、応援したいという気持ちがあります。そうやって全体の力を底上げして行きたい。尋也くんは俳優として、素晴らしい才能を持っている人です。たくさんの作品で共演したいと思いますし、良い作品を一緒に残していきたいと思っています」
清水「僕は後輩なのであまり偉そうなことは言えないのですが、磯村くんのような存在はとても刺激になるし、もっと頑張ってまた共演できるようにと励みにもなっています。良い意味で人に左右されないように。人に引っ張って行ってもらうよりも、自分の足で立ち上がれるような人間になれるように。作品は、その結果として残し、先輩たちに成長した姿を見せたいです」
磯村「いまの尋也くんの発言からも『骨太さ』を感じます。人と比較されることが多い世界にいて、自分に目を向け続けられる。周りに左右をされない、真の俳優だと思います」
清水「骨太……。実際はガリガリなんですけどね(笑)」
磯村「肉付けよっか。プロテインとか飲んでトレーニングして」
映画の最後に「好きなことを好きでいるために」というせりふがある。ふたりが好きなことを好きでいるために心がけていることは。
清水「楽しむことです。楽しいからやっているんだということです。このお仕事でお金をいただき、食べて行けるようになったことはとてもありがたいこと。でも変化がたくさんある中では、つらいなと思うこともやっぱりあって。沈んだときには、映画や芝居が好きだという気持ち。楽しいという原点を忘れてはいけないと思っています」
磯村「好きなことは、何も考えなくても『好き』だと思うので、『好きでいるために』と考えてしまったら、もう好きじゃなくなっているのかなって思いました。例えば僕は、小学校のときから、サッカーが好きで、うまくなりたかったから、リフティングとかシュートの練習をしていました。誰かに言われたからじゃなくて、好きだからそうしていたんですよね。俳優の仕事も同じかなって。魅力的な存在に心を揺さぶられて、いまの僕があるように。、僕自身も魅力的だと思ってもらえるような存在になれるよう、経験を重ねていきたいです」
□清水尋也(しみず・ひろや)1999年6月9日、東京都生まれ。2014年の映画「渇き。」で壮絶ないじめを受ける役で注目を集めた。主な出演作に映画「ソロモンの偽証 前編・事件/後編・裁判」「ちはやふる 上の句・下の句・結び」「さがす」「東京リベンジャーズ」、ドラマ「アノニマス~警視庁”指殺人”対策室~」、連続テレビ小説「おかえりモネ」、「となりのチカラ」、など。劇場アニメ「映画大好きポンポさん」では声優初挑戦で主演を務めた。186センチ、O型。映画「東京リベンジャーズ2」の公開を2023年に控えている。
□磯村勇斗(いそむら・はやと)1992年9月11日、静岡県生まれ。2014年に俳優デビュー。翌年出演したドラマ「仮面ライダーゴースト」で務めたアラン役で注目を集めた。17年には、NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」でヒロインの夫となる役を好演。映画「ヤクザと家族 The Family」、「劇場版 きのう何食べた?」での演技が評価され「第45回日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞した。176センチ、A型。映画「東京リベンジャーズ2」の公開を2023年に控えている。
【スタッフクレジット】
清水尋也
ヘアメイク 須賀元子
スタイリスト Shohei Kashima(W)
磯村勇斗
ヘアメイク 佐藤友勝
スタイリスト 笠井時夢