【緊急提言】ミニシアターを潰してはいけない理由、欧米のような早急な救済を
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、安倍晋三首相が7日、7都府県に対して「緊急事態宣言」を出す。緊急事態宣言下では、欧米で起こっているような都市封鎖(ロックダウン)は行わないため、日常生活においては支障がないとするものの、映画館やライブハウスなど娯楽施設に対しては使用制限を要請。法的な拘束力はないが、従わない事業者に対しては事業者名を公表して指示する方針。このため、休館を決断する映画館が多いと見込まれ、資金力のないミニシアターは休館、そのまま廃業という危機に立たされている。
緊急事態宣言で映画界は100億円以上の減収も
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、安倍晋三首相が7日、7都府県に対して「緊急事態宣言」を出す。緊急事態宣言下では、欧米で起こっているような都市封鎖(ロックダウン)は行わないため、日常生活においては支障がないとするものの、映画館やライブハウスなど娯楽施設に対しては使用制限を要請。法的な拘束力はないが、従わない事業者に対しては事業者名を公表して指示する方針。このため、休館を決断する映画館が多いと見込まれ、資金力のないミニシアターは休館、そのまま廃業という危機に立たされている。
緊急事態宣言の対象となるのは、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は大型連休明けの5月6日までの約1か月間にも及ぶ見込み。状況次第ではその期間が延びる可能性もある。一般社団法人日本映画製作者連盟のホームページによれば、全国のスクリーン数(2019年12月末現在)は3583。うち今回の対象地域は東京(392)、神奈川(193)、埼玉(209)、千葉(220)、大阪(224)、兵庫(122)、福岡(174)となり、計1534スクリーンに相当する。約4割の映画館が営業自粛を余儀なくされそうだ。
映画界は2019年、過去最高の興収約2611億円を記録。これを12か月で単純に割ると、月当たり217億6500万円で、その4割は約87億円に相当。既に2、3月は4~8割程度の前年比ダウンとも言われており、5月上旬までだけで、映画界全体で100億円以上の減収となるだろう。
それでも、大手チェーンはなんとか乗り切ってもらえると信じているが、対象地域のミニシアターの状況は厳しい状況に置かれることになる。ミニシアターは入場料の売り上げを主な収入源にする一方、支出は人件費、水道光熱費など。さらには、ミニシアターの多くは家賃の支払いがあり、営業ができなくても、それを支払わなければいけない。さらにはDCP(デジタル・シネマ・パッケージの略)などの高価な上映機材を購入した場合は、その月々の返済もある。
中には、「ミニシアターがなくなっても困らない」「もう映画館自体が時代遅れ。Netflixやアマゾンプライムといったネット配信で十分」という人もいるかもしれないが、ミニシアターがなければ、公開される作品の本数が減り、それに伴いネット配信の本数も減ることになる。たとえ、コロナが終息しても、良質な映画がなくなってしまったら、つまらない世の中になってしまう。桜の花見は今年、見に行けなくても、来年も桜は咲くが、ミニシアターはこのままなら、来春、何館も閉館しているだろう。