「ONE PIECE FILM RED」大ヒット要因は“物語と歌の融合” Adoがウタを演じる意味

8月6日の公開から72日間で興行収入171億円を突破した映画「ONE PIECE FILM RED」。本作は人気キャラの1人でもある赤髪のシャンクスの“娘”ウタにスポットをあてたストーリー。シリーズ最高記録を続々と塗り替える大ヒット作となった。ストーリーもさることながら、その人気の要因となったのは、ウタの歌唱キャストを務めたAdoの存在もあったと言えるだろう。中田ヤスタカ、Vaundyらまさに今、日本の音楽シーンをけん引する名だたるアーティストたちから提供された楽曲による、ミュージカル要素をふんだんに取り入れた新鮮な一作に仕上がっている。

Adoはウタの歌唱パートを担当
Adoはウタの歌唱パートを担当

映画の中の楽曲という枠組みに収まらぬ完成度

 8月6日の公開から72日間で興行収入171億円を突破した映画「ONE PIECE FILM RED」。本作は人気キャラの1人でもある赤髪のシャンクスの“娘”ウタにスポットをあてたストーリー。シリーズ最高記録を続々と塗り替える大ヒット作となった。ストーリーもさることながら、その人気の要因となったのは、ウタの歌唱キャストを務めたAdoの存在もあったと言えるだろう。中田ヤスタカ、Vaundyらまさに今、日本の音楽シーンをけん引する名だたるアーティストたちから提供された楽曲による、ミュージカル要素をふんだんに取り入れた新鮮な一作に仕上がっている。

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 同作は、世界で最も愛されている歌姫“シャンクスの娘”ウタにまつわるストーリー。冒頭では、素性を隠しながら歌声を発信していたウタが、初の顔出しのライブを開催。そこにルフィ率いる麦わらの一味が訪れる場面からスタートする。何も知らずに訪れたルフィだったが、ウタとは実は旧知の仲。出会いは12年前のフーシャ村までさかのぼり、赤髪海賊団への憧れを共感し合う2人だった。

 ウタは“悪魔の実”の「ウタウタの実」を食べた能力者で歌を聞かせた者をウタウタの世界(ウタワールド)へ引きずりこむことができる。「世界を歌で幸せにしたい」と願うウタの過去から現在に至るまでが丁寧に描かれている。

 そんなウタの歌唱シーンを担当したのがAdoだ。Adoといえば「うっせぇわ」で社会現象を巻き起こすほどのブレーク。若者を中心に多くのリスナーからの支持を集めた。そんなAdoの「ONE PIECE」への出演は、音楽好きとしても知られるワンピース原作者の尾田栄一郎と担当スタッフとの雑談の中で、オファーする流れとなり実現した。

 物語の幕開けは、同映画の主題歌でもある「新時代」の歌唱シーンから始まる。まず驚かされるのがライブシーンが非常に丁寧に描かれている点だ。Adoらしさを残しつつも「ONE PIECE」の世界観にマッチさせた楽曲。どこか懐かしさを感じさせるビートがすっと観客の耳になじむ。映画館を後にしてから、すぐに楽曲を再生した人も多いだろう。

 作詞・作曲を中田ヤスタカ、名だたるアーティストの振り付けを手掛けてきた演出振付家・MIKIKO主宰のELEVENPLAYがダンスを担当ということもあり、総じて映画のワンシーンという枠組みに収まることのない、完成度に仕上がっている。

 それを証明するかのように国内の各音楽チャートで軒並み1位を獲得し、いまや100冠を達成。YouTubeで配信されたミュージックビデオは再生数7500万回を突破し、今年の音楽シーンを代表する1曲となった。

 ほかにも、Vaundyによる「逆光」、Mrs. GREEN APPLEの「私は最強」など名だたるアーティストたちが提供した7つの楽曲を歌唱している。物語の重要なシーンで流れるAdoの楽曲たち。パワフル、ときにシリアス、そしてダークな一面……その場面ごとにマッチした歌声を操り、観客をより、映画の世界に引き込んでいく。

 ウタがこれまで顔出しをしない歌姫だったこと、また電伝虫(通信アイテム)によって歌声が世界に広がっていった点など、Adoのサクセスストーリーと重なる部分も多い。著名なアーティストが歌唱を担当した場合、どうしてもそのアーティスト自身の姿がウタの背後に見え隠れしてしまうが、Adoだからこそ、より一層、ウタというキャラクターへの没入感を高めていると言えよう。

 これまでの「ONE PIECE」映画には見られなかったミュージカル要素をふんだんに盛り込んだ今作。今作は「世界観に引き込まれた」「ストーリーと音楽がマッチした」といったユーザーの声が大多数を占めている。

 また、同映画の魅力を120%で堪能したいのであれば、映画館で見るべきだと断言できる。近年、音楽ライブのパブリックビューイングが開催されるなど、抜群の音響を兼ね備えている映画館。そんな音響を最大限に活かしたライブシーンが同映画にはふんだんに盛り込まれており、テレビやスマホの映像では体験できない感動体験を味わうことができるだろう。この点もリピートするユーザーが多い理由の1つともなっていると言えよう。

 まだまだ勢いに乗り続ける「ONE PIECE FILM RED」。ストーリーもさることながら、Adoの歌声の魅力を存分に描いた同作。上映期間のみ体感することのできる没入感を映画館で楽しんでみてはいかがだろうか。

次のページへ (2/2) 【動画】Ado「新時代」ミュージックビデオ
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