日本マット界の暮れの風物詩は不滅 全日本プロレス「世界最強タッグ決定リーグ戦」
マット界の暮れの風物詩である全日本プロレス「世界最強タッグ決定リーグ戦」(11月13日、東京・後楽園ホール~12月7日、後楽園ホール)が迫っている。出場チームも発表された。テーマ曲・オリンピアの調べが早くも聞こえてくる。
毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.115】
マット界の暮れの風物詩である全日本プロレス「世界最強タッグ決定リーグ戦」(11月13日、東京・後楽園ホール~12月7日、後楽園ホール)が迫っている。出場チームも発表された。テーマ曲・オリンピアの調べが早くも聞こえてくる。
今年は8チームが参加。全日本50周年記念大会(9・18日本武道館)で、復活し大きな拍手を浴びたGET WILDと、ジェイク・リーを秒殺したREAL BLOOD・野村直矢がエントリーされなかったのは残念だが、過酷なサバイバルレースが展開されるのは間違いない。
興味深いチームが出そろった。現世界タッグ王者・芦野祥太郎、本田竜輝組はまだまだ発展途上で、どこまで強くなるのか。チャンピオンチームとしての出陣は、他チームから徹底マークを受けるのが宿命とあって、注目される。10月23日、大阪府立体育会館第2競技場大会で、諏訪魔、KONO組の挑戦を退け、勢いをつけたいところだ。
タッグ屋として一番完成されたのは土肥羆こと土肥こうじ、羆嵐組。好勝負を連発するものの、なかなか結果が出せずにいる2人は、今度こそと死に物狂いで優勝を狙っているはず。
石川修司、サイラス組の日米超大型コンビは、重戦車のようなパワーファイトで暴れまくりそうだ。諏訪魔、KONO組の大型で極悪なブードゥーマーダーズは、暴走ファイトでかき回してくるだろう。10・23大阪決戦でベルトを奪って、王者コンビとして乗り込めば盤石だろう。セコンド陣のちょっかいも見ものだ。
凱旋(がいせん)帰国を果たしたと思ったら、まさかのブードゥーマーダーズ入りしたジュンとレイの斉藤兄弟は、間違いなく台風の目となる。諏訪魔をして「デカいな、オイ」と言わしめた大型双子コンビ。息もピッタリの極悪連携を見せてくるだろう。最強タッグで大化けするかも知れない。
期待の新人・安齊勇馬は、新日本プロレスの永田裕志と組んでの出陣だ。安齊のデビュー戦の相手を務めた永田はもはや師匠。全日本期待の新星と新日本のベテラン選手の組み合わせは異色だ。
ジェイク・リーと青柳優馬のチームも目を離せない。青柳は2020年の最強タッグ戦で、宮原健斗と組んでジェイク組を破って優勝。リング上から「ジェイクのファン、ざまーみろ!」とアピールした青柳とそのジェイク。一体どんなタッグになるのか。連携はスムーズに行くのか、期待と不安が入り混じる。
3冠王者・宮原健斗と大日本プロレスの野村卓矢という越境タッグには驚きの声が上がった。宮原はなぜかこれといったタッグパートナーが定まらない。野村は阿部史典とのアストロノーツでは息の合った連携を披露しているが、どちらかと言えばシングルプレイヤー。
「俺はスーパーメジャー。太陽というジャンルでは新日本の棚橋弘至を超えた」と豪語する自信満々な「太陽」宮原と、冷酷な「月」のイメージの野村。相反するような2人のタッグが果たしてうまく機能するのか、はたまた想像を絶する化学反応を見せるのか、想像もつかない。
全日本といえば、春の本場所・チャンピオンカーニバルと世界最強タッグが目玉シリーズ。入場式の乱闘から、数々の名レスラー、たくさんの名勝負が頭をよぎる。
かつて昭和の時代には「タッグ」は全日本の得意分野で、最強タッグを観戦しないと「年が越せない」と楽しみにしているファンも大勢いた。創立50周年イヤーを締めくくるにふさわしい名勝負を期待してやまない。