「不妊治療の延期を」声明に各クリニックが対応苦慮 迫る時間との闘い
日本生殖医学会が1日、公式サイト上に不妊治療を控えるよう通達する声明を発表した。
日本生殖医学会が声明発表も…
日本生殖医学会が1日、公式サイト上に不妊治療を控えるよう通達する声明を発表した。
妊婦が万一、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染してしまった場合、特効薬の1つと期待されるアビガンなどが使えないと報道されており、「妊婦においてCOVID-19感染の重症化の可能性が指摘されていることや、感染時に使用される治療薬として妊婦に禁忌の薬剤による治療が試行されていることから、不妊治療による妊娠が成立したあとのCOVID-19感染への対応に苦慮することが予想されます」と指摘した。
また、院内感染の可能性にも言及し、国内での感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、治療を延期するよう病院に推奨した。
これを受けて、各クリニックも「現時点での予定」とし、見解をサイト上にアップしている。
高度不妊治療で有名な東京・新宿の杉山産婦人科は「このご時世ですから、当然のコメント」と受け止めつつ、「治療の継続または一時延期は患者様のご判断でお願いいたします」と記した。また、東池袋の「松本レディースクリニック」も通常通りの診療を行うとし、「治療の継続、または一時延期は患者様ご自身でのご判断」とゆだねた。
恵比寿のファティリティクリニック東京は「新鮮胚移殖、凍結胚移殖、人工授精については妊娠中のリスクを考慮し、可能であれば延期をお勧めします。(ご希望があればお受けします。)」とした。
不妊治療は時間との闘いだけに、学会の声明を受けてもなお、その最終的な判断を巡って対応に苦慮している様子がうかがえる。
ネット上には、実際にクリニックから不妊治療延期を勧めるメールを受け取った患者もおり、「涙が出ます」「やっと決意したのに不妊治療するな!って酷すぎる」「不妊治療延期のメールきて怖い」「わかる、わかるけど…治療受けてる方は、簡単に気持ちを割り切れないと思います」「やはり時間は限られてるのでとても悩みます」「私は延期したくない」「不妊治療できる期間は限定されるのでこれはつらい」「ここで諦める夫婦が何組いるでしょうか?」などの声が続々と上がっている。