原田龍二が裸一貫で世直しの旅に 令和のフーテン・ヤクザ役で明かす主役の“流儀”
俳優の原田龍二(51)が、裸一貫で世直しの旅に出る主人公を演じた娯楽任侠映画「虎の流儀」が9月30日から東京・池袋HUMAXシネマズほかで2作連続公開される。原田が演じるのは、令和のフーテン・ヤクザ車田清。原田が主役の“流儀”を語った。
娯楽任侠映画「虎の流儀」で主役「僕はこの作品を愛しています」
俳優の原田龍二(51)が、裸一貫で世直しの旅に出る主人公を演じた娯楽任侠映画「虎の流儀」が9月30日から東京・池袋HUMAXシネマズほかで2作連続公開される。原田が演じるのは、令和のフーテン・ヤクザ車田清。原田が主役の“流儀”を語った。(取材・文=平辻哲也)
「虎の流儀」は、ほれた女性にめっぽう弱いが、強きをくじくフーテンのヤクザ、車田清(原田)が主人公。組同士の抗争で殺された親分(清水昭博)の敵討ちに失敗し、逆に追われる身になった車田が裸一貫、再出発し、行く先々でトラブルに巻き込まれながらも、仁義を貫いていく無国籍風アクションだ。渥美清さん主演の「男はつらいよ」シリーズを軸に、昭和の任侠映画にオマージュを捧げている。
主人公の車田清は、寅さんの「車」寅次郎、原「田」龍二、渥美「清」を足した名前で、「足立区生まれ」という設定は原田自身の生い立ちを反映したものだろう。「寅さん」でおなじみの口上もある。
「名前が本当に象徴的で、寅さんのような人間的な魅力を始め、派手なアクションもある。この年になったからこそ、役を理解して楽しめましたね。役作りはいつも特別なものはないんです。自分の中から出てくるものを頼りにしていますが、それが逆に武器になるような気がしているんです。インの日と最終日では、絶対変わっているんですよ」
昭和感が漂っている本作だが、「令和の時代へのアンチテーゼというか、一つのテーマだと思うんですよ。ポスターも昭和テイスト。ちょっと古臭いというか、柔らかい、懐かしいというか。昭和を知らない若い世代も味わうことができると思います」と期待する。
原田の主役の流儀とは何か。
「まずは自分自身が楽しむことが大事だと思っています。どういうふうに見られるかどうかは二の次。現場では楽しい雰囲気がみんなに波及するように心がけています。初めて現場にいらっしゃる方たちは多分、緊張していますから、僕が声をかけることで、一つホッとされると思うんです。それって、僕自身も味わっていることなんです」
アクションシーンも見どころの一つだが、無理はしない。
「だいぶ体が動かなくなっていますけど、役者としてチャレンジという意味ではやりがいはありますね。今はけがしない程度にして、後はスペシャリストにお任せするようにしています。20代の頃は『吹き替えなしで、僕が全部できます』と言ったものですが、時代劇の撮影中に大けがをしてしまって、ご迷惑をかけてしまったことがあるんです。吹き替えが用意されているときは、それを判断した人を信頼すべきだな、と思っています」
撮影中、出番がない日も現場に「自然と愛着は沸きました」
撮影中、出番がない日も現場に顔を出すようにした。「行けない日も、現場にいる人に、様子を聞いたり、プロデューサーには現場の写真を送ってもらったりしましたので、自然と愛着は湧きました。僕はこの作品を愛しています」。
その愛は続編という形でかなった。第1作「虎の流儀~旅の始まりは尾張 東海死闘編~」は昨年11月に、2作「虎の流儀~激突! 燃える嵐の関門編~」は今年3月に撮影した。
「1本目の撮影のときには、プロデューサーと『この後どういった人生を歩むのかな』みたいな話はしていたことが結果的に2作目につながっていったんです。車田清は、こんな人がいたら面白いなと思わせる、とても魅力ある人物。周りの人は結構大変でしょうが、意外と人を惹きつけますよね」
2作目は北九州が舞台。続編ならでは、のお約束とサプライズがある。
「車田は普段はどんなところで寝ているのかな、1人でいるときには意外とシリアスな顔をしているのかな、地蔵さんに手を合わせるようなこともあるかな、と。そんないろいろな想像させてくれる人間を演じるのは好きですね。これがシリーズとして続けばいいと思いますが、とにかく今が大事。その連続が明日につながっていくわけですから」と謙虚に語った。
□原田龍二(はらだ・りゅうじ)1970年10月26日、東京都出身。第3回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」準グランプリを受賞後、俳優デビュー。以降、数々のドラマ、映画、CMなどで幅広く活躍。映画「日本一短い『母』への手紙」では、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。ドラマ「水戸黄門」の5代目“助さん“としても人気を集めた。2021年からはTOKYO MXの人気番組「バラいろダンディ」に金曜日MCとして出演中。また、YouTubeチャンネル原田龍二の「ニンゲンTV」も好評を博し、22年6月には小説家デビューも果たした。