10・2世界タッグ戦は元W-1戦士4人が思いが交錯 「背水の陣」で挑む“土肥羆コンビ”の意地
全日本プロレス10月2日、東京・後楽園ホール大会で、世界タッグ王者・芦野祥太郎、本田竜輝組に挑戦する土肥こうじ、羆嵐の“土肥羆コンビ”が「背水の陣で挑む」と気合を入れた。
世界タッグ王者・芦野祥太郎、本田竜輝組に挑戦する“土肥羆コンビ”
全日本プロレス10月2日、東京・後楽園ホール大会で、世界タッグ王者・芦野祥太郎、本田竜輝組に挑戦する土肥こうじ、羆嵐の“土肥羆コンビ”が「背水の陣で挑む」と気合を入れた。
土肥羆として4回目の挑戦で、羆嵐は個人では5回目となる。ここまでのタイトル戦では、コンビネーションプレーも冴え、ベルトに片手をかけながらも無念の敗退を重ねてきた2人。「今回、取れなければいつ取るんだ、の思い。必ずいただく」と口を揃える。
これまでになく熱くなっているが、それもわかる。王者コンビも土肥羆も実は元WRESTLE-1(W-1)戦士。いわば「はぐれW-1」もしくは「W-1血盟軍」なのだ。
W-1は全日本プロレスから武藤敬司らが独立して2013年に設立した団体。20年4月1日に活動を停止し、土肥、羆嵐、芦野、本田はフリーとなった。
全日本マットに登場するようになった4人だが、本田は21年1月1日付で、芦野は22年1月1日付で入団。かたや土肥と羆嵐はフリー参戦のまま。胸の内を明かさない土肥羆だが、複雑な思いを抱いているかも知れない。
11年にSMASHでデビューした土肥は、WNCから14年にW-1に移籍。他の3人はW-1の生え抜きで、4人の中では土肥はキャリアを積んでいる。17年にはW-1リザルト王座の初代王者に輝いており実績もある。
羆嵐も同王座の第7代王者となったが、王座をはく奪されてしまった。その後、新王者決定戦は行われず、W-1が活動を停止しベルトは封印されている。
土肥羆はW-1リザルト王座の初代王者の土肥と最後の王者・羆嵐によるチームであり、ある意味W-1の歴史を背負っている。
かたや世界タッグ王者・芦野はW-1の最高峰王座であるW-1チャンピオンシップに2度、君臨している。ともにデビュー戦だった羆嵐との一戦で芦野が勝利。それがその後の2人の“格”を決定づけたようだ。
「俺たちはフリー。どこのリングでも上がりたい。どこでも誰が相手でも、自信はある」
18年にプロレスラーの第一歩を歩みだした本田は、スピード出世を遂げている。
芦野と本田は、児玉裕輔、立花誠吾の元W-1勢とユニット「GUNGNIR OF ANARCHY」(グングニルオブアナーキー)を結成している。今ではノア・金剛で活躍する元W-1戦士の征矢学に「長いし、よくわからない。『元W-1』でいいじゃないですか」と指摘されてしまった。
いずれにせよ、世界タッグ王座を争う4人が、元W-1戦士としてのプライドと自負を大切にしているのは間違いない。ただし、全日本での立ち位置は王者組と挑戦者組では天と地ほどの違いがある。
不退転の決意で臨む土肥羆はいわば「タッグ屋」でバランスが取れたタッグチーム。パワフルで突進力、破壊力があり、頑丈。ブ厚くガッチリした体は、いかにもプロレスラーという感じで、目で見ただけで「強そうだ」と思える魅力あふれる2人の合体は、1+1が2ではなく4にも5にもなる。女性人気も高い土肥に、愛嬌があってちびっ子ファンも多い羆嵐。まさに補い合っている。
7月には北原光騎が主宰するキャプチャーの東京・王子大会に初参戦。初めてのリングでも全く気おくれすることなく、思う存分、実力を発揮し、その存在感を見せつけた。
「俺たちはフリー。どこのリングでも上がりたい。どこでも誰が相手でも、自信はある」とキッパリ。フリー戦士の意地とプライドもある。土肥のキャリアに、明るく元気な羆嵐の咆哮は、雨雲さえも吹き飛ばしそうな勢いがある。生命力の強さを感じさせる。
数々の名タッグが日本マットを彩って来たが、土肥羆の2人も世界タッグ王座奪取を果たせば、一気に突き抜けるはず。土肥羆が10・2後楽園決戦を大噴火メモリアルデーとするのか。目が離せない。