auデトネーション・ミル、3度目の大舞台で「誇れるプレイ」誓う 「積極的に仕掛けていきたい」

デジタルカードゲーム「Shadowverse」(以下、シャドウバース)の大型大会「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」のGRAND FINALSが9月23日(金・祝)、有明セントラルタワーホールで開催される。この大舞台にプロ選手から唯一参戦するのが、auデトネーションのミルだ。3度目となる大舞台への思い、プロ選手としての矜持など、その胸中に迫った。

「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」GRAND FINALSに出場するミル【写真:ENCOUNT編集部】
「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」GRAND FINALSに出場するミル【写真:ENCOUNT編集部】

「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」GRAND FINALSに唯一のプロ選手として臨む

 デジタルカードゲーム「Shadowverse」(以下、シャドウバース)の大型大会「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」のGRAND FINALSが9月23日(金・祝)、有明セントラルタワーホールで開催される。この大舞台にプロ選手から唯一参戦するのが、auデトネーションのミルだ。3度目となる大舞台への思い、プロ選手としての矜持など、その胸中に迫った。(取材・構成=片村光博)

 GRAND FINALS進出を懸けたプレーオフには、auデトネーションのミル、Spicies、ユーリを含む6人のプロ選手(※)が出場したが、勝ち上がったのはミルのみ。ミルはプロ入り前とプロ入り後に1回ずつGRAND FINALS進出経験があるが、優勝はまだない。今大会に懸ける思いも人一倍だ。

「3度目のファイナリストは、最多タイ記録と聞いています。ただ、まだ優勝していないということが負い目にもなっているんです。ファイナリストになれたことはうれしいですが、まずはその負い目を払拭したいという気持ちが強いですね。前回のGRAND FINALSでのプレイにも悔いが残っていて、今回は誇れるプレイをしたいと思っています

 プレーオフにはプロ選手が多く進出していて、auデトネーションからも3人出場していました。『一緒に行けたらいいね』と話していたんですが、結果として僕しか進出できなかった。プロ選手たちの思いを背負うということもありますし、プロ選手のRAGE初優勝も目指しています。純粋に僕より結果を残している人に追いつきたいということも含め、いろいろな思いがありますね」

 過去の経験を糧にして、導き出されたのは“誇れるプレイ”という言葉。そこに込められた意味は「難しい選択肢から逃げないこと」だという。

「前回のGRAND FINALSでは、環境トップのデッキ(ロキサスエルフ)のプレイ難度が高く、本番でも難しい場面に直面したんです。そのときに『こっちでもいいかな』という消極的な選択肢を選んだ結果、負け筋を生んでしまった場面がありました。練習通りに最大値を出すプレイをしていたら、負け筋を生むことなく勝てたとも思っています。そうした場面で逃げないというのは、今回の努力目標にしたいです。

 実際は緊張もありますし、強気な選択肢も用意しながら、1ターンに与えられた90秒を使って、無理そうならもう一つの選択肢を選ぶという形にできれば、一番いいと思います」

 プロ選手として“見られながらプレイする”機会の多いミルでも、GRAND FINALSという特別な場での緊張はやはりあるという。「緊張するものは緊張する」と受け入れて臨む一方で、有観客ならではの熱狂も楽しみにしている。

「RSPT(RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR)だとどうしても観客はカメラ越しで、直に感じるものがあまりありません。GRAND FINALSは、現場の熱がありますよね。2回目にGRAND FINALSに進出したときはコロナ禍でもあり、無観客でした。今回は有観客ということで、久々に目の前で見てもらえるのは緊張もしますが、うれしさもありますね」

※きょうま(よしもとゲーミング)、みずせ(横浜F・マリノスeスポーツ)、かゆ(福岡ソフトバンクホークス ゲーミング)もプレーオフに進出していた

GRAND FINALSでの強気なプレイングを誓った【写真:ENCOUNT編集部】
GRAND FINALSでの強気なプレイングを誓った【写真:ENCOUNT編集部】

「競技的に第一線で活躍し続けられるプレイヤーとして見てほしい」

 2018年からauデトネーションに在籍するミルは、今やシャドウバースのプロ選手の中でも古株だ。17年のRAGEでGRAND FINALSに進出しており、「プロリーグはレベルの高い場所になる。そこに身を置きたいと考えて、プロ選手の公募期間に応募しました」ときっかけを明かす。実際にプロとして4年以上、競争力の高い場での戦いを経験してきた。

「プロ選手ではないプレイヤーは、どうしても時間の関係でシャドウバースに100%打ち込むことは難しいです。プロ選手は、自分と同じ熱量を懸けてシャドウバースに挑んでいるプレイヤーと戦えることが楽しいです。プロ選手も半年や1年単位で入れ替わりがあり、競技意識が高く、実力も高い選手たちが常に在籍しています。そこで戦える満足感はありますね」

 時間の制約がないプロだからこそ、意識していることもある。

「どうしても自分にとって苦手な環境が来ることもありますが、そこで妥協しないことは心に留めています。シャドウバースでは、同じタイプのデッキが少しずつ形を変えて、いくつかの環境で存在し続けるということがある。1回最初に逃げてしまうと、後で負担になってしまうんです。だから、そこで逃げないことがポリシーですね。練習に時間をかけられるというのは、プロ選手だからこそのメリット。そのメリットをしっかり生かして、真摯に取り組みたいと思っています」

 シャドウバースのプロとして、常に妥協なくゲームと向き合うミル。一人のeスポーツ選手としては、“競技者”としての側面が強く出る存在だと自覚している。

「eスポーツ選手にもいろいろなタイプがいて、配信をはじめとするクリエイティブな活動を頑張っている方々もいますが、僕はそういうタイプではない。競技的に第一線で活躍し続けられるプレイヤーとして見てほしいですね」

 GRAND FINALSでは「プロ選手の代表として、自分のことを見てほしいと思います」とプロのプライドものぞかせる。そのためにも“攻めの姿勢”を貫くことを誓った。

「後手に回ってしまうと、相手に攻められて対応を迫られた結果、自分のやれることが少なくなってしまうんです。逆に自分から攻めていって対応を強いていけば、相手の選択肢を狭めていける。だからこそ、積極的に仕掛けていきたいですよね」

 決戦は9月23日(金・祝)、有明セントラルタワーホール。大観衆の熱狂を前に、ミルは王座に向かって攻め続ける。

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