直木賞・窪美澄氏 受賞作収録話にモデルがいたことを明かす マンション内で泣いていた男の子

第167回直木賞(日本文学振興会主催)を受賞した窪美澄(くぼ・みすみ)氏(56)が26日、都内のホテルで贈呈式に出席した。受賞作は短編集「夜に星を放つ」。

直木賞作家の窪美澄氏【写真:ENCOUNT編集部】
直木賞作家の窪美澄氏【写真:ENCOUNT編集部】

受賞作は婚活アプリなどを取り上げた短編集「夜に星を放つ」

 第167回直木賞(日本文学振興会主催)を受賞した窪美澄(くぼ・みすみ)氏(56)が26日、都内のホテルで贈呈式に出席した。受賞作は短編集「夜に星を放つ」。

 44歳でデビューした遅咲きの作家。家族小説を多く書いている。本作は新型コロナウイルス禍や婚活アプリなどを取り上げ、1人称のスタイルで現代性を盛り込んだ。

 普段は身の回りの人の出来事をそのまま小説に書くことはないが、本作収録の「星の随に」にはモデルがいることを明かした。実際に、コロナ禍の時期に以前住んでいたマンションのエントランスで泣いている男の子を見かけたことから始まるエピソードで、男の子から聞いた家族関係などから着想を得たという。

 そのうえで、「コロナが長引くと、ひずみみたいなものは、弱い人、女性、子ども、非正規の若者、日本に住む外国の人たちにしわ寄せがいってしまうような気がしています。私の作家の目は、どうしてもそういう人たちを見ずにはいられないです。これからもそういった人たちを描き続けたいと思っています」と、今後の創作意欲について語った。

 窪氏は東京都稲城市生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で、第8回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞しデビュー。11年、受賞作を収録した「ふがいない僕は空を見た」で第24回山本周五郎賞を受賞した。

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