人気声優・逢田梨香子が新曲に込めた思い 30歳になった今、「自分のペースで歩んでいきたい」
声優でソロ歌手としても活動する逢田梨香子が8月9日に3枚目のEP「ノスタルジー」をリリースした。爽やかな夏を感じる4曲を収録した作品について逢田は「みなさんの夏の思い出の1枚になれば」と思いを込めている。
「自分をさらけ出したい」、経験をもとにした歌詞に共感が広がる
声優でソロ歌手としても活動する逢田梨香子が8月9日に3枚目のEP「ノスタルジー」をリリースした。爽やかな夏を感じる4曲を収録した作品について逢田は「みなさんの夏の思い出の1枚になれば」と思いを込めている。(取材・文:西村綾乃)
ソロ歌手として3作目のEPのテーマは、タイトルと同じ「ノスタルジー」。夏の青空を感じるような爽やかな楽曲が並ぶ。
「大人になってから、子どもの時に聴いていた曲を聴くと、当時の記憶がよみがえって来ることってありますよね。懐かしい風景やにおいなど。私の曲に触れた人にも、そういう経験をして欲しいなと思って制作をしました」
1曲目に収録した「Adolescence」は5月に開いたライブで初披露した。ファンを喜ばせたいとサプライズで歌ったが、ファンの思わぬ行動に逆に驚かされたという。
「この曲は久々の新曲ということもあって、最初からライブで初披露することが決まっていました。ライブは1日だけの特別な時間。10年、20年経っても、曲を聴いたら『あの日、ライブで聴いた』とファンの方の思い出に残るものにしたいと考えていました。みなさんがとても楽しそうに聴いて下さったことが嬉しかったですし、『永遠の青』という歌詞に合わせて、手にしていたブレードの色を青色に変えて下さって。みなさんの団結力も感じました」
同曲は、自分の過去の経験や出会った仲間から受け取った力が、いまの自分を動かしてくれるというメッセージも込められている。
「“運命は自分の生き方で変わる”という歌詞には、私自身もすごく共感しました。子役やモデルの仕事をしていた時は、『誰のためにやっているのだろう』と不安になったことがありました。でも18、19歳の時にあるアニメを見て、『すごいな』と声優の仕事に興味を持ったんです。それまでの仕事とは全く違う世界だったので、勇気が必要でした。やらないで後悔するなら、挑戦してみよう。今のこの衝動を信じようと、声優の世界に飛び込みました。今まで色々な選択をしてきたと思うのですが、今いる場所が正解なのかは、まだ分からない。1人では見られなかった景色を見ることが出来た一方で、つらいなと感じることもあって。色んなことがあるけれど、その1つ1つに意味がある。最終的に『正解だ』と思うことができれば良いかなと考えています」
8月8日生まれも、夏は「苦手な季節」という理由は?
EPには、逢田自身が作詞をした作品「ノスタルジックに夏めいて」も収録した。
「自然が好きなので、海や山など私が見て来た『夏』のイメージを散りばめました。8月8日に生まれたので、『夏が大好きなんでしょう?』と思われがちなのですが、実は苦手な季節。暑いと、しんどいと感じがちで自由を奪われる気がするので、冬の方が好きなんです……。子どもの時は、花火をしたりイベントがたくさんあって、1日1日が長いと思っていたけれど、大人になってからは毎年あっという間に夏が終わってしまうと感じます。歌詞には夏が終わる時の寂しい気持ちも綴っています」
2015年に声優としてのキャリアをスタート。ユニットでの活動を経て2019年に、ソロ歌手としてメジャーデビューした。
「声優としては、任せていただいたキャラクターを演じていましたが、逢田梨香子として感じたことを伝えることができるソロ活動では、自分のことをさらけ出していきたいと思っています。自分のことを人に伝えることは苦手でしたが、口では言えないことも歌詞ならば言えるかなって。実はすごいマイナス思考なのですが、そういう自分もひっくるめて私ということをテーマにして『ブルーアワー』という曲の歌詞を書いたこともありました。表現の幅を広げられるように、色々なことに挑戦し続けたいと思います」
8月8日に30歳の誕生日を迎えた。今後の目標は。
「昔から早く大人になりたいと思っていました。思い描いていた未来に突き進めていると思うので、自分のペースで歩んでいきたいです。色々な人から30代、40代など、年を重ねてからの方が人生楽しいよと聞くので楽しみです。毎年夏には箱根に行って、自然薯料理を味わうことが出来る料理屋さんに足を運んでいたので、コロナ禍が落ち着いたらゆっくり旅行してみたいです」
□逢田梨香子(あいだ・りかこ)1992年8月8日、東京都生まれ。アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の桜内梨子役で2015年に声優デビュー。同作品のスクールアイドルユニット「Aqours」としても活動した。18年11月にはAqoursとして、東京ドームで2デイズ公演を経験。同年末の「NHK紅白歌合戦」にも出演した。2019年6月発売のEP「Principal」でソロ歌手としてメジャーデビューした。