“ものまね新世代”nanamiと松浦航大 若手シンガー2人がものまねの道へと進んだ転機
人々を笑顔にする「ものまね」。それを専門にする「ものまねタレント」は多くいるが、笑いよりも歌唱力とテクニックでうならせているのが、「ものまね新世代」と呼ばれるシンガーたちだ。今年2月25日放送のTBS系「中居正広の金スマ ものまねだらけの3時間SP」では、代表的な6人が紹介されたが、ENCOUNTはその中のnanami(25)と松浦航大(28)をインタビュー。2人の素顔に迫りながら、ものまねを始めた経緯とテクニックの一端を聞いた。
“ものまね新世代”の2人がものまねの道に進んだ理由
人々を笑顔にする「ものまね」。それを専門にする「ものまねタレント」は多くいるが、笑いよりも歌唱力とテクニックでうならせているのが、「ものまね新世代」と呼ばれるシンガーたちだ。今年2月25日放送のTBS系「中居正広の金スマ ものまねだらけの3時間SP」では、代表的な6人が紹介されたが、ENCOUNTはその中のnanami(25)と松浦航大(28)をインタビュー。2人の素顔に迫りながら、ものまねを始めた経緯とテクニックの一端を聞いた。(取材・文=柳田通斉)
身長差40センチの2人が並んで取材に応じた。ともにシンガーとして成功する志を持ち、ここまで歩んできた。
nanami「私は幼少期から歌が好きで、12歳のときに絢香さんの『みんな空の下』を聴いて背中を押されました。すぐに母に『絢香さんのように誰かを励ませる歌を歌いたい』と伝えました」
母は「恥ずかしがらずに歌えるなら、応援するよ」と言い、北谷町美浜の観覧車下でライブができるように準備。nanamiがアカペラで歌を披露するや、地元の芸能関係者が反応。音楽イベントへの出演が決まった。そして、沖縄をベースにした音楽活動を始め、高校在学中からキー局の「歌うま」番組に出演するようになった。
松浦「僕も子どもの頃から歌が好きで、高2で歌手になることを決めました。同級生が受験勉強を始める中、カラオケボックスに通い続け、卒業後に1人で上京しました」
何のコネもない東京で、オーディションを受けて不合格を繰り返した。レッスンを受ける資金はなく、生きるためのアルバイトをクビになる苦い経験もした。水道、ガス、電気が止まる生活の中、YouTubeを見ながら自宅で毎日のボイストレーニング。路上ライブを重ね、26歳で現在の事務所に声を掛けられたが、活路は「ものまね」だった。
「特に23歳の頃はカツカツでしたが、19歳の頃から平井堅さんのものまねをちょくちょくSNSでアップしていました。で、急に(日本テレビ系)『ものまねグランプリ』に出ることになり、番組の方から『ミスチルの桜井さん、できる?』と言われ、慌てて研究してやり切りました。その後、『平井堅さんの声だけでハモってみた』と、1人6役のコーラス付きハモり動画をツイッターでアップしたら、いきなり25万再生をいただきました」
これをきっかけに、松浦はものまねのレパートリーを一気に増やし、初出場のフジテレビ系「ものまね王座決定戦2020」で優勝を飾った。
nanamiも高校を卒業したタイミングで、東京の音楽関係者から勧められた「ものまね」を取り組み始めた。
「『絢香さんの声に似ているね。他の人のものまねもできるんじゃない?』と言っていただき、ドリカムの吉田美和さん、aikoさんやさまざまな方に挑戦して動画を送るうちに、(日本テレビ系)『ものまねグランプリ』に出させていただくことになりました」
ものまね活動の本格的な入口は、関係者からの“むちゃぶり”だった。では、どのようにまねてきたのか?
nanami「私の場合、曲を聴き込んでから練習すると私の歌い方になりがちなので、聴き立てですぐにまねをしてみます。それでも、『似ている』と評価されることもあります。あとは(アーティストの)口の動き見ています。唇のとんがり方、開き方、滑舌も意識し、動きもまねてみます。aikoさんだったら、首を振ったり、猫背になったりすると、脳が反応します」
松浦「僕はケースバイケースですが、ものまねメドレーの準備をする際は、聴き込まずにフィーリングを大事にします。メドレーで(まね)の切り替えは、やっぱり体の動きです。平井堅さんなら腕を上げる、コブクロの黒田さんなら屈伸して膝をカクカクするとかですが、最初に特徴をとらえ、関連付ければ喉のスイッチングができる感じです。もちろん、口は見ますし、舌の位置も確認します。ミスチルの桜井さんはすごく明るい声を出されますが、意外と口角が下がっていて、『こういう風にして声を出すんだ』と感じ取ったりします」
「ものまね」で活路…nanamiはアニメ「妖怪ウォッチ」主題歌
共通しているのは、優れた音楽性と歌唱力。「シンガーとしても成功したい」という意識は強くあり、その道も開き始めている。
松浦は昨年6月リリースの「オリジナリティ」を皮切りに、「七色」「アホウドリ」「カメレオンヒーロー」(produced by 川崎鷹也)とオリジナルのシングルを4曲配信。今年5月には、自身が書き下ろした楽曲「フィラメント」を1人26役で歌い繋つなぐYouTube動画を配信し、公演活動もしている。
松浦「今後もオリジナル曲を大事にしながら、ものまねを続けていきたいです。そして、ものまねをしていることで、『かっこいい』『すごい』と評価されるようになりたいです。将来的には、何も考えずにファンのために歌えるようになれたらと思っています」
nanamiは昨年10月1日付で都内の事務所に入り、アーティスト名を本名の山田七海からnanamiに改名。同年12月31日にはオリジナル曲「覚悟」を配信リリース。今年2月22日にはCD「うわっツラ」を出し、7月29日にはテレビ東京系アニメ「妖怪ウォッチ」(毎週金曜、午後6時25分)の主題歌「ギョロリング」を配信リリースした。そして、今日7日放送のテレビ東京系「THEカラオケ★バトル 芸能界最強歌うま王決定戦2022夏」(午後6時30分)に出演。高校時代からなじみの同番組で成長した姿を見せることになった。
「自分の声が主題歌として流れるなんてうれしすぎます。『妖怪ウォッチ』は、9歳下の弟が小学生の頃に大好きだったので、あの頃の弟に『将来、ねえねえが主題歌を歌うんだよ』と伝えたくなりました(笑)。ただ、私をステージアップしたのはものまねですし、丁寧に続けていきたいです。そして、私にとって絢香さんがそうだったように、歌で誰かの背中を押せるような存在になりたいです」
目指すは、ものまねでもオリジナル曲でも人々をうならせるシンガー。2人は今後もYouTubeを含めたSNSを駆使し、広く歌声を届けていく。
□nanami(ななみ)。1997年(平9)7月7日、沖縄県生まれ。12歳で路上ライブを始めたことをきっかけに、県内で開催のイベントに多数出演。2011年3月にはインディーズで初CD「natchy7」をリリースした。高校時代の14年4月には、テレビ朝日系「47都道府県対抗全国歌ウマ頂上決戦」で準優勝。昨年9月28日放送の日本テレビ系「ものまねグランプリ」では、「新世代ものまね歌姫No1決定戦」で優勝を飾った。今年2月22日には、CD「うわっツラ」をリリース。歌まねレパートリーは、Aimer、aiko、絢香、あいみょん、Ado、milet、中島美嘉ら。
□松浦航大(まつうら・こうだい)1993年(平5)10月22日、北海道生まれ。高校卒業後に上京し、オーディションを受けるも不合格を繰り返す。ものまねは19歳からで、平井堅の歌まね動画をSNSにアップ。2018年からは、複数の歌まねアカペラを多画面にした動画がYouTubeなどで話題になり、ものまね番組や歌うま番組に多数出演。テレビ東京「THEカラオケ★バトル」では現役歌手で最多の4回優勝。持論は「カラオケには得点がでやすい曲がある」。ものまねのレパートリーは、平井堅、藤井風、米津玄師、スキマスイッチ・大橋卓弥、安全地帯・玉置浩二、川崎鷹也、中島美嘉ら。