Netflix日本テレビ部門1位に「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」 制作費は破格の20億円
Netflixは3日(米国時間2日)、週間視聴時間グローバルTOP10(7月25~31日集計)を公式ホームページで発表した。日本のテレビ部門のTOP10は、先週2位だった韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」がTOP10入り4週目にしてついに1位を獲得した。地元韓国では配信直後に初登場2位となり、以降4週連続で1位を独走している。世界規模でみたグローバルTVランキング(非英語)でも同ドラマは7月初旬に初登場1位を記録、翌週も1位、翌々週は2位に後退したが、今回再び1位に返り咲いた。動画配信コンテンツ集計サイトのフリックスパトロールによると、同ドラマは2日基準でNetflixのTVショー部門世界7位にランクインしており、アジア、中東、中南米での人気が高い。
地元韓国では“ウ・ヨンウシンドローム” クジラ書籍の売上アップ
Netflixは3日(米国時間2日)、週間視聴時間グローバルTOP10(7月25~31日集計)を公式ホームページで発表した。日本のテレビ部門のTOP10は、先週2位だった韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」がTOP10入り4週目にしてついに1位を獲得した。地元韓国では配信直後に初登場2位となり、以降4週連続で1位を独走している。世界規模でみたグローバルTVランキング(非英語)でも同ドラマは7月初旬に初登場1位を記録、翌週も1位、翌々週は2位に後退したが、今回再び1位に返り咲いた。動画配信コンテンツ集計サイトのフリックスパトロールによると、同ドラマは2日基準でNetflixのTVショー部門世界7位にランクインしており、アジア、中東、中南米での人気が高い。
同ドラマは韓国初の自閉スペクトラム障害を持つIQ164の新米弁護士ウ・ヨンウが一流弁護士事務所に入所し、さまざまな裁判で大活躍する姿を描いたヒューマン法廷ドラマ。世の中に残る偏見や差別、家父長制や教育、環境問題に正面から問題提起をする一方、親子、友人、職場の同僚との温かい人間関係や恋愛をクジラのコンピューターグラフィクス(CG)を取り入れてほほえましく描くなど多彩な魅力で視聴者の心を引き付けている。韓国では毎週水曜と木曜夜に新興ケーブルチャンネルENAで新編が配信されるほか、日中にリピート編成、同時にNetflixでも配信されている。
驚くのは同ドラマの制作費。現地メディアによると、全16話で200億ウォン(約20億円)、1話あたり約1億2500万円をつぎ込んだといい、雄大なクジラのCGや細部にこだわった法律事務所と法廷セットが豪華なたたずまいを見せている。さらには共演者の報酬も手厚くしたという。しかもPPL(間接広告)を入れない方針のため無理な演出がないところが特徴となっている。日本の民放ドラマの場合、1話あたり2000~2500万円というからケタ違いだ。
同ドラマの初回視聴率(6月29日)はわずか0.9%だったものの、2話1.8%、3話4%、4話5.1%、5話9.1%、6話9.5%、7話11.6%、8話13.0%、そして7月27日放送の9話は15.7%を記録するなど驚異的な伸びを見せている。知名度がほとんどなかったENAチャンネルのドラマが毎話ごとに自己最高視聴率を更新する現象に地元メディアは“ウ・ヨンウシンドローム”と呼んで分析を急いでいる。ギャラップコリアによると、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」はこれまで韓国人が好きなテレビ番組1位だった「SKYキャッスル」(13%)や2位以下の「太陽の末裔」「トッケビ」を抜いて1位となった。
ウ・ヨンウの父親が切り盛りするキンパプ(のり巻き)店のロケ地には大勢のファンが集まり、クジラがドラマに登場することから国内自然科学書部門でクジラに関する書籍がランキング入り。またBTSやNCT127のメンバーがウ・ヨンウのあいさつを真似している動画がアップされている。一方、同ドラマの脚本を担当したムン・ジウォン氏は7月26日にソウル市内のホテルで行われた記者懇談会で「自閉症の当事者や周辺にいる方にはとても複雑な感情を抱く作品だと思う。ウ・ヨンウというキャラクターを好きになる理由がかわいそうだからというより、愛らしくてかっこいいからと思ってくれることを願っていた」などと内省的で慎重な姿勢を見せていた。ウ・ヨンウを演じている女優のパク・ウンビンは出演オファーを受けて1年悩んだといい、「障害を持つ方たちについて間違った方法で表現して間違った認識を植え付けてしまうかもしれないと思い専門家(大学教授)のアドバイスを聞いて演じました」と細心の注意を払ったことを明かしている。
これまで韓国では映画「マラソン」(2005)や「裸足のギボン」(2006)、ドラマでは「グッド・ドクター」(2013)、最近放送された「私たちのブルース」に障害を持つキャラクターが登場している。初期の頃は助けを必要とする人物造形だったが、近年は障害を持つ人を一方的に弱者に置いてしまうのではなく自立した存在として社会生活を営むことができる能動的な存在として描かれるようになった。
最近、単行本「韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか」(文春新書)を出版したソウル在住ジャーナリストの菅野朋子さんがこう話す。「韓国の視聴者は『見た後、久しぶりに温かな気持ちになるドラマに出会った』『優しい気持ちになりながらたくさんのことを考えさせられる』といった感想を漏らす人が多いようです。最近はドラマ界もNetflixなどの登場で熾烈な競争になっていて刺激的な内容のものが増えていましたから、『ウ・ヨンウ』の人気は今までのドラマの成功の法則とは違った側面を見せているのではないでしょうか。それにしても韓国ドラマの作品の幅の広さには驚かされます。これまでも韓国ドラマはさまざまな側面から社会問題を取り上げた作品を作ってきていますが、同じ障害者を取り上げたものでも切り口をかえてたゆまず挑戦しています。そうした問いかけの積み重ねがあってこその『ウ・ヨンウ』なのだと思います」。
日本でも「ウ・ヨンウ」にハマる視聴者が続出しており、俳優の佐藤健も自身のYouTubeチャンネルで「ウ・ヨンウ弁護士がすごくかわいい。とっても魅力的な主人公」と推している。3日夜には第11話がNetflixで配信される。主人公ウ・ヨンウ弁護士の仕事と恋、父親からの独立のほか、生後すぐにウ・ヨンウを捨てて出世の道を選んだ凄腕弁護士の母親との葛藤など目が離せない展開が続く。