夏休みシーズンを迎え京都への旅行計画を立てている人は多いだろう。国内屈指の観光地とあって市内には多くのホテルが軒を連ね観光客を迎え入れている。ただ、コロナ禍前と比べると観光客の戻りは依然として鈍い。京都市観光協会が7月28日に発表した6月のデータ月報によると、市内主要ホテル107施設における6月の客室稼働率は51.0%。5月の49.9％から1.1ポイント増となり、昨年12月以来初めて稼働率が50％を超えた。しかし、コロナ禍前である19年同月の80.8％からは29.8ポイント減となり、外国人観光客不在の影響は大きい。稼働率、客室平均単価、客室収益指数すべての指数が前年同月から上昇したとはいえ、コロナ禍前を下回る状況が続いている。6月末時点で営業許可を受けた市内の宿泊施設数は8件である一方、観光客激減の影響などで25件が廃業となるなど現実は厳しいままだ。

　一方、明るい話題も。6月時点の客室稼働率は7月39.4％、8月46.1％、9月66.1％という予測。7月は祇園祭山鉾巡行が開催されたことなどで客室稼働率が予測値を上回り50%程度にまで上昇する見込み。8月は五山の送り火、9月は2週連続で3連休があるためか各宿泊施設で予約が埋まり始めているという。7月中旬から新型コロナウイルス感染症が再び急拡大している中、観光業は経済を回す大きな動力と言える。

　旅行客にとってうれしいのは京都市内のビジネスホテルが安価であること。ホステルの中には1000円台半ばから提供されており値崩れと言ってよいほどのバーゲンセールも見られる。海外系大手旅行サイトで検索すると、20年末に中京区にオープンした大型ビジネスホテルは館内レストラン、エアコン、薄型テレビ、電気ポット、冷蔵庫、浴槽付バスルーム、スリッパ、ヘアドライヤー、無料Wi-Fiが備えられており、最寄り駅から徒歩5分と交通至便。これで料金は1人1泊3000円を切っている。

　ビジネスホテルにありがちな狭苦しいバスタブではなく広々とした浴槽となっているところ、またオープンしてから日が浅いため館内が清潔に保たれているところがこのホテルの“ウリ”でもあるようだ。現地でフロントの係員に聞くと「コロナ禍前と比べて1000円から2000円は安くなっています」と複雑な表情が返って来た。ドミトリー形式のゲストハウスは多く1500～2000円の予算でも容易に見つけられるが、他人と同室になることに不安がある人は3000円前後のビジネスホテルを探してみるのが良いだろう。

　京都への旅行に追い風となりそうなのが「にち・とま」キャンペーン。これは「日曜に泊まってお得に過ごそう」をキャッチフレーズに京都市が提供する宿泊補助だ。閑散期の宿泊観光を促進し地域経済を活性化させることが目的で、翌日が平日となる日曜日または祝日に対象ホテルや旅館に宿泊する観光を対象に飲食店や小売店で利用できる3000円分の電子地域クーポンを配布する。具体的には8月21、28日、9月4、11、19、25日限定で各施設ごとのクーポン上限数に達し次第、受付を終了する。1人1泊あたり3000円以上の宿泊が対象で、宿泊料金が発生しない乳幼児や修学旅行生は対象外。

　うれしいことに対象者は全国民となっており、京都府民や府外在住者も利用可能。割引を受けるには本人確認書類とワクチン3回接種証明または陰性証明の提示が必要。利用方法はキャンペーン対象のホテルや旅館等を予約しチェックイン時にクーポン引換券を受け取る仕組み。京都市観光協会の公式LINEに登録しクーポン引換券に記載のコードを入力することで、電子地域クーポンが利用できるようになる。「京都にち・とまキャンペーン」の対象施設は今月上旬発表予定だが、すでに旅行サイトの楽天トラベルやじゃらんにキャンペーンプランが次々とアップされている。試しにじゃらんを開き、「8月21日宿泊、1部屋、大人1名」で絞り込み検索すると計47件のプランがヒットした（1日午後5時現在）。最安値はノク京都、静鉄ホテルプレジオ京都四条、コンフォートホテル京都東寺、コンフォートイン京都四条烏丸で税込み5000円。ホテルによって朝食無料、大浴場、チェックアウト正午というサービスもある。上記ホテルのうち1件に電話したところ「3000円分のクーポンは宿泊費には使えません。近所の飲食店などでご利用可能です」との返事だった。

「京都にちとまキャンペーン」に青春18きっぷを組み合わせるとさらにリーズナブルな旅が楽しめる。全国のJR線普通列車などが1日中乗り降り放題となる青春18きっぷ。夏は7月1日から8月31日までが発売期間で、利用期間は7月20日から9月10日まで。発売額は1万2050円で1枚で5回分利用できる。1回分に換算すると2410円のため、青春18きっぷを利用して普通列車で東京～京都間を移動すれば、時間はかかるもののかなり格安となる。行動制限のないこの夏、コロナ対策に十分気を付けつつ夏の旅行プランを立ててほしい。