5年間沈黙を貫き続けた綾部祐二の“お笑い愛” 「ピース」再始動の可能性は「ある」

お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二(44)が「ハリウッドスターになる」という目標を掲げ、日本を離れてからはや5年。これまで沈黙を貫き続けてきたが、2022年7月16日に初エッセー集「HI, HOW ARE YOU?」(KADOKAWA)を発売し、アメリカでの生活を赤裸々に明かした。そんな綾部にとってお笑いやピースはどういった存在となっているのか。現在の率直な思いを語ってもらった。

「ピース」への思いを語った綾部祐二
「ピース」への思いを語った綾部祐二

又吉直樹と交わした“ピースの在り方”とは

 お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二(44)が「ハリウッドスターになる」という目標を掲げ、日本を離れてからはや5年。これまで沈黙を貫き続けてきたが、2022年7月16日に初エッセー集「HI, HOW ARE YOU?」(KADOKAWA)を発売し、アメリカでの生活を赤裸々に明かした。そんな綾部にとってお笑いやピースはどういった存在となっているのか。現在の率直な思いを語ってもらった。(取材・文=中村彰洋)

 17年10月にニューヨークに渡米した綾部だが、又吉直樹とのお笑いコンビ「ピース」を解散することはなかった。コンビが離れ離れとなるが、当時も解散の文字が頭をよぎることは「なかった」と断言する。そんな綾部には独自の考え方があった。

「解散はまだ分かりますが、引退って言う必要あるの? って思っていました。芸能界は期間で出ているわけじゃない。離れていても呼ばれたら出られるわけです。それをなんでわざわざ『もうテレビ出ない』って宣言するんだろうと思っているんです。

 解散についても、僕たちがもし解散するときがあったとしても、しれーっと消えていく感じでしょうね。ただ、それだとファンの方々への申し訳なさもあるので、言わなきゃなとは思ってはいますけどね。でも、感覚的には僕とアイツ(又吉)の中で解散と決まっていても『まぁいいよな、何かでこうやってまたできたらいいもんな』ぐらいの感覚で発表しないと思いますね」

 又吉とも今後の“コンビの在り方”について会話を交わすこともあるという。一見すると正反対のような2人だが、価値観など似た部分を持ち合わせているからこその距離感があるようだ。

「よくしゃべったりしますよ。僕らはどちらかが辞めるって言ったら『あ、分かった」って絶対に言うと思います。『なんでなん?』と理由は聞くけど止めることはないですね。アイツ(又吉)が僕のことを止めることもないし、僕がアメリカ行くことについて、やめろって言うこともない。ずーっと2人でそんな感覚を持っていますね」

 今後、コンビで漫才やコントをやる可能性については「以前のようにテレビに出てやったりすることは今のところないと思います」とキッパリ。一方で「日本に戻ったときにコンビとして『ピースです』ってやったりすることはあるとは思います。ライブをやったり、そのときに何が面白いかにもよるとは思います。『ピースで番組やってください』って言われたらやるのかもしれないですしね」と含みを持たせた。

エンタメへの熱い思いを語ったピース・綾部祐二
エンタメへの熱い思いを語ったピース・綾部祐二

アメリカでのお笑いライブは目標の1つ「みんながWin-Winになるシステム」

 現在も綾部は吉本興業に所属し続けている。渡米時には退社するという選択肢もあったが選ぶことはしなかった。

「相方が日本にいますし、(明石家)さんまさんやダウンタウンさんのような存在でもないので『僕が消えることで何かあります?』って感覚でした。もし『辞めろ』って会社に言われていたら辞めるつもりでしたし、それは伝えていました。芸能界に憧れていて、すごい大好きなんですけど、そういうドライなところもある世界だということは分かっています」

 当時、芸能界の第一線で活躍を続けていた綾部の渡米宣言は衝撃だった。レギュラー番組を全て降板しての決断。しかし、周りの芸人仲間は口をそろえて「おもろいことやったな」と絶賛だった。

「すぐ戻ってきても、半年後に『つらかった』って戻ってきても面白い。10年たって、本当にスターになっていても面白い。中途半端に何もしないで戻ってきても面白い。『なんでもありやん』って言ってくれましたね」

 現在では後輩の渡辺直美、さらに今後はたむらけんじもアメリカに拠点を移すことを宣言している。このような動きについても「ネット時代ですから、皆さん単純に海外に出たいと思っていたら、絶対に行ったほうがいいと思いますね。直美は俺なんかとは桁違いにいろんなことを世界でやっていましたしね」と肯定的だ。

 コロナ禍以前はアメリカに芸人を招き、ライブを開催することを計画していた。しかし、新型コロナの登場によって計画は頓挫してしまった。

「やることはライブなのでトークやネタをやることには問題ないと思うんです。だけど、コロナが落ち着いて、世の中の動きが戻ったってなってからでないと、何かあったときにリスクが大きいので動きづらいなと思っています。せっかく来てもらって変な感じに巻き添えにしてしまっても申し訳ないです。

 日本で活躍している人気芸人たちがライブでこっちに来るというシステムができたら、芸人さんにも『ライブでアメリカに呼んでくれるんだ』って喜んでもらえると思うんです。みんながWin-Winになるシステムだと思うので、これを現実のものにしたいです。僕がアメリカに来なかったら起きなかったことだと思うので、これは日本人として、自分の夢とは別でかなえたい目標の1つです。かっこいいことを言うわけではないですけど、人を何かしらの形でハッピーにすることができるのが芸人だと思うので、それをいろんな形でできたらなって思います」

 お笑いという世界に人一倍憧れ、エンターテインメントをこよなく愛する綾部だからこそ、その実現への思いは強い。

□綾部祐二(あやべ・ゆうじ)1977年12月13日、茨城県出身。2003年に又吉直樹とお笑いコンビ「ピース」を結成。17年10月から活動拠点を米ニューヨークに移す。22年5月にYouTubeチャンネル「YUJI AYABE from AMERICA」を開設。7月16日には初エッセー集「HI, HOW ARE YOU?」(KADOKAWA)を発売。

「HI, HOW ARE YOU?」
「HI, HOW ARE YOU?」

□「HI, HOW ARE YOU?」(7月16日発売/税込み1650円)
綾部祐二の初エッセー集。2016年に拠点をアメリカに移した綾部は現在に至るまで、取材に応じることなく、また帰国することもなかった。そんな綾部が渡米から5年経過した節目に沈黙を破った。綾部の人生哲学が詰まった1冊は正解の見えない世の中に1つの指針を示す人生の書とも言えるだろう。
販売サイト:https://www.kadokawa.co.jp/product/322203002354/

この記事に戻るトップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください