ダルビッシュ翔、西成で炊き出し1年 次は子ども支援「ちょっと面積の広い土地を購入して…」
大リーグ・パドレスのダルビッシュ有投手の弟・ダルビッシュ翔さん(33)が大阪の西成で週1回、ボランティアの炊き出しを1年にわたり続けている。14日で通算50回目を開催。「人のために動くっていうのは一番になれる自信がある」と語る翔さんは、子ども食堂を運営する母を交えた子ども向けの支援活動にも意欲を示している。
「炊き出しがちょうど1年」新たな計画明かす
大リーグ・パドレスのダルビッシュ有投手の弟・ダルビッシュ翔さん(33)が大阪の西成で週1回、ボランティアの炊き出しを1年にわたり続けている。14日で通算50回目を開催。「人のために動くっていうのは一番になれる自信がある」と語る翔さんは、子ども食堂を運営する母を交えた子ども向けの支援活動にも意欲を示している。(取材・文=水沼一夫)
炊き出しは昨年7月に西成の三角公園で仲間とともに開始した。今では食材を提供してくれる協力スポンサーも増え、週1回の炊き出し日には多くの“西成住民”が集まり、交流の場となっている。
「みんなもう友達みたいな感じですね。『おはようございます』『今日もおいしかった、ありがとう』と言って。何も言わない人ももちろんいますけど、全然よくて、『また来週はシチューやるから来てね』という感じで、お祭りみたいな感じでみんなが声をかけていますね」
かねて人助けに興味があり、「やっぱりやったら気持ちいいですよ」と喜びを実感。「炊き出しを始めてからホームレスがいたら必ず車から降りて500円、1000円渡しに行くんですよ。それはもう自分のモットーにしてて。やっぱり気になりますもんね、大丈夫かなって。職業病みたいなもんでしょうね」と、慈善活動が日常の一部になっていることを明かした。
10年前は格闘家として金網の中で闘っていた。その頃から現在の姿は「想像もつかない」と話す。自分だけでなく、仲間も変わった。「徳を積むということがすごい大事なこと。何か人のためにやっていると、直接的には返ってこなくても、誰かが絶対応援してくれたりする。人間は支え合い、助け合いしかないと思うから。それはホンマに炊き出しをやって余計思うようになりましたね」と、志は熱い。
西成での炊き出しを続ける一方で、「日本一のボランティア」を目指している翔さんは、新たな奉仕活動も視野に入れている。
「炊き出しがちょうど1年たったので、これから『子どもの広場』というのを考えています。田舎のほうの一軒家とか、ちょっと面積の広い土地を購入して、1日キャンプ体験みたいな感じで子どもたちを連れて行きたいですね。基本的には支援施設とか子ども食堂とかやられてる方々と提携して、どのぐらいの頻度ができるか分からないですけど、企画として例えばカレーや焼きそばを作ったり、ちょっと遊んだりして終えるようなそういうこともやりたいなと思っています」
広がる社会貢献の輪 子どもたちを親子でサポート
仲間に加え、家族も巻き込む計画だ。「母親も子ども食堂をやっているんですよ。もう5年ぐらいじゃないかな。地元の羽曳野のほうなんですけど、こじんまりとやっていて、そういう輪が広い。(自分には)やっぱりSNSの力もあるし、母親がやっていることもシェアできるので話をしています」
母の郁代さんは2018年、子ども食堂を開設。NPO法人「ウィンウィン」の代表理事を務める。また、弟も炊き出しを手伝うことがある。西成で社会的弱者や困窮者を支援することに、家族が賛同している。子ども食堂や施設では家庭環境に恵まれなかったり、孤立している子どももいる。親子で力を合わせれば、サポートは手厚くなる。
構想では、建物の工事も可能な限り、DIYなどで進めていく方針だ。一方で、働いてくれる仲間のために、寄付を受けることも考えている。規模が大きくなれば、すべてをボランティアで行うことは無理が生じる可能性もある。「それはそれでまた違う形でちょっと応援してくださいって声をかけようと思っています」と話した。
炊き出しも西成のほか、必要とされる場所にゲリラ的に出向いて行いたい思いもある。災害で被災した地域での活動を、仲間同士で話すこともある。社会貢献の輪が広がることを望んでいる。今後はボランティアの持続可能性を考えた基盤作りにも取り組んでいくつもりだ。「協力する人が1人でも増えてくればうれしいです」と翔さんは結んだ。
□ダルビッシュ翔(だるびっしゅ・しょう)1989年3月12日、大阪・羽曳野市出身。父はイラン人。2012年、Dark翔のリングネームで総合格闘技デビュー。現在はYouTuberとしても活躍。大リーグ・パドレスのダルビッシュ有は実兄。炊き出しは「大阪租界」が運営。食材の提供はSNSで受け付けている。181センチ、110キロ。