多発するランクル盗難 犯行時間3分、「簡単には防げない」手口に専門家が警鐘
トヨタのランドクルーザーを標的にした盗難事件が全国各地で多発している。一般社団法人日本損害保険協会による自動車盗難事故実態調査では、2021年にランドクルーザーがプリウスを抜き盗難車種1位に。中でも愛知県では昨年8月に名古屋市緑区で一晩に4台のランドクルーザー プラドが盗まれるなど被害が多発、愛知県警が自動車関連窃盗の情報提供に報奨金制度を設けるなど深刻な問題となっている。
2021年にランドクルーザーがプリウスを抜き盗難車種1位に
トヨタのランドクルーザーを標的にした盗難事件が全国各地で多発している。一般社団法人日本損害保険協会による自動車盗難事故実態調査では、2021年にランドクルーザーがプリウスを抜き盗難車種1位に。中でも愛知県では昨年8月に名古屋市緑区で一晩に4台のランドクルーザー プラドが盗まれるなど被害が多発、愛知県警が自動車関連窃盗の情報提供に報奨金制度を設けるなど深刻な問題となっている。
ツイッターで「#ランクル盗難」「#プラド盗難」で検索をかけると、盗難被害を訴えるアカウントが次々とヒットする。今月15日の夜、名古屋市内で納車2か月のプラドの盗難被害にあったnana@naak38さんもその一人だ。
「購入時期は去年の10月頃で、600万円でしたが下取りの車を出して400万円程で購入しました。半導体不足やロックダウンの影響もあり納期は未定と言われ、半年経った今年の4月にやっと納車されました」
14日18時頃、友人のマンション近くのコインパーキングへ駐車。翌朝15日7時頃、仕事へ向かおうとした時に盗難に気付いたという。すぐに警察や保険会社、ディーラー、コインパーキングの管理会社に連絡。調べたところ、15日深夜1時14分に不正出庫され、盗難されたことがわかったという。
「鍵はもちろんかけていました。ハンドルロックは車に積んであったのですが、その時はしていなかったです」
トヨタのお膝元でトヨタ関連企業が多い愛知県はそもそものトヨタ・レクサス車の登録台数が多く、盗んだ車を海外に輸出するための港も近いため、特に被害が深刻な地域だ。その中でもなぜランドクルーザー、とりわけプラドが狙われるのか。全国8拠点に展開するカーセキュリティー・ホームセキュリティー専門店「プロテクタ」の担当者は、ここ数年で車両盗難の手口が変わったことを理由に挙げる。
「2年程前から急増しているのが、フロントバンパーを外してコネクターをいじり車のコンピューターに直接アクセスする『CANインベーダー』という手口です。この手口で多数被害にあっている車種がランドクルーザーやレクサスLX。中でもプラドは登録台数が多く標的にされやすい。より高級車のLXは愛知県では約5台に1台が盗難被害にあってます。慣れていれば3~4分で外部からロックを解除し、エンジンをかけることが可能です。プラドやLXに乗っている以上、まず盗まれると思った方がいい」
昨年まで盗難車種ランキング1位だったプリウスが犯行に使われる例も
昨年まで盗難車種ランキング1位だったプリウスも、狙われやすい車種に変わりはないという。さらに、近年増えているのが盗んだプリウスを次の犯行に使うという例だ。
「防犯カメラの映像や、直接犯行を目撃した人の話では、プリウスが走り去っていったという証言も多いです。高級車と比べると防犯意識が高くないユーザーが多くセキュリティー装着率も低い。また登録台数が桁違いに多いため、盗難手口を熟知した犯人も盗みやすい。盗難車で街中を走っていても怪しまれにくい上、EVモードで静かに走行できて燃費もいいので、盗んだプリウスで別の車を盗みにいくという話も耳にします」
愛車を守るためにはどんな対策を講じればいいのだろうか。
「CANインベーダー自体は構造上簡単には防げないので、仮にやられても盗まれないような対策が必要です。ハンドルロックやホイールロックなどの簡易的なものはプロの窃盗グループ相手にはあまり役に立ちません。効果的な対策はメーカー純正以外のイモビライザーやセンサー付きの警報が鳴る電子セキュリティーを装着しLED等でアピールすること。犯行時間はせいぜい10分以内なので、それよりも時間がかかりそうだというだと思わせることが重要です」
ランドクルーザーやレクサス、プリウスなどに乗る以上、純正のみならず追加のセキュリティーを検討することが必要なようだ。