新車時163万→7000万以上に高騰 国産の貴重中古車の“異常人気”が止まらない理由
中古車市場で希少性のある日本車の高騰が続いている。いったいなぜなのか、ビンテージカーを持つ複数のオーナーを取材して検証した。
エスカレートする取引「家まで来たもん。びっくりした」
中古車市場で希少性のある日本車の高騰が続いている。いったいなぜなのか、ビンテージカーを持つ複数のオーナーを取材して検証した。
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「今、なかなか買えないでしょ。旧車のイベントやると、人がすごいですよね。ギャラリーがすごく来る。この前、福島でやったら1万人以上来た。特に80年代、90年代の車はアメリカでも人気になって、25年以上たった車はかなり輸出されている。スカイラインGT-RのR32やR34、ハコスカとかね。日本が玉不足になって値段が上がっている」
ある日本車オーナーは、最近の旧車イベントの人気ぶりを触れつつ、日本の中古車の現状について明かした。
スカイラインは1969年に初代が登場後、3代目(ハコスカ)、4代目(ケンメリ)と愛称がつくほどの注目を浴びた。R32型と呼ばれるモデルは1989年から、より価値の高いR34型は99年から製造されたもの。日産の技術の粋を集めた名車で、多くのカーマニアにとって憧れのGT-Rとなっている。
「もう4000万、5000万、そんな世界。50年前の車が…すごいですよね。今の車より高くなっちゃっている。トヨタの2000GTは億の値段ついちゃう」
高騰の理由として挙げたのは、映画の影響だ。「2000GTはジェームズ・ボンドの映画に出て人気に火がついたし、スカイラインはワイルド・スピード。GT-Rは特に人気が高い」
米国の映画「ワイルド・スピード」シリーズで元警官のブライアン・オコナーの愛車がブルーのR34型スカイラインGT-Rだった。ブライアン役の俳優ポール・ウォーカーさんは、2013年に事故死。映画はその後も続編が制作されており、車もろとも神のような存在となっている。
また、1973年式のスカイラインGT-R(ケンメリ)を中古で入手した別の男性は「台数も少ないし、値段は上がっている。オークションで7000万くらいいっちゃって。ボロボロのヤツが9800万とか。異常だよ」と高騰ぶりに驚く。
「『売らないか』と声をかけてくる人はいっぱいいる。今まで50人くらいいたかな。家まで来たもん。びっくりした」と、エスカレートする取引希望者に困惑した様子だった。
旧車イベントのたびに、関係者に紛れて売買の交渉を持ちかけてくる人物もいる。ケンメリの新車時購入価格は163万円、生産台数は197台とされている。当時は大卒初任給が10万円に届かない時代だけに単純比較はできないものの、それを差し引いても、50年たってすさまじい高騰ぶり。もちろん、男性は「売らないよ。大事にしている」と、手放す気は全くない。
「ワイルド・スピードから人気が出ちゃったみたい。スカイラインは伝説で、日本からどんどん持っていかれちゃう」と、国産の激レア車の流出を嘆いていた。