二人三脚で駆け抜けた稽古期間 STU48コンビが語る「SEPT」最新作の見どころ
音楽・演劇・パフォーマンスをMIXした新世代エンターテインメント・ステージ「SEPT」は、6月8日から博品館劇場(東京都中央区)で「SEPT ReAnimation ARIARIUM(アリアリウム)」の上演がスタートした。
【インタビュー】今村美月&兵頭葵が「ARIARIUM」に込める思い
音楽・演劇・パフォーマンスをMIXした新世代エンターテインメント・ステージ「SEPT」は、6月8日から博品館劇場(東京都中央区)で「SEPT ReAnimation ARIARIUM(アリアリウム)」の上演がスタートした。
本作は、2020年、21年に上演した「ReAnimation」の世界観を継承する、今の時代を描いたサクセスエンターテインメントステージとなっている。
キャストインタビュー第2弾は、「SEPT」4作品目の参加となるHINA役の今村美月、初舞台で持ち前のピアノの腕前も披露する小湊美凪役の兵頭葵というSTU48コンビに話を聞いた。(取材・文=小田智史)
――今村さんは2019年6月の「FATALISM ≠ Another story」で舞台デビューを飾ってから「SEPT」は4作品目、しかも今回の会場は初舞台のときと同じ博品館劇場になります。
今村「私は19歳のときにこの博品館劇場で『SEPT』さんと出会い、初主演を務めさせていただきました。初舞台で(キャストの中で)最年少だったので、今回の(八城皇成役を務める)大山天さんと重なるところがあります。またこうして同じ場所でお芝居ができること、それに合わせるかのように“HINA回”でもあって、すごくうれしいです。同時に、もう自分も年下組ではなく、お芝居に関して駆け出しの顔をしていてはダメだな、もっと成長していかないといけないと、原点の地に戻って感じました」
――兵頭さんは今回の「ARIARIUM」が初舞台。音楽と演劇が融合した「SEPT」のコンセプトは、楽器を得意とする兵頭さんにピッタリな気がします。
兵頭「ピアニスト役をいただいて、ピアノをやっていて良かったと思いました。(ピアノを始めた)5歳の自分に感謝ですね。お芝居をずっとやりたくて、公式プロフィールに『チャレンジしたいお仕事:演技』と書き続けていたので、実現してうれしかったです。まだ手応えと言えるものはないですが、成長していけるように頑張ります」
――今村さんは稽古期間中、兵頭さんの演技に関して「新しい葵ちゃんが見れる」と話していました。
今村「葵ちゃんが演じる美凪は、どちらかと言うと不愛想で、怒るときは怒る、自分の意見を伝えるときは伝えるキャラクターです。普段の葵ちゃんは感情の起伏がなくて、俯瞰して物事を見るタイプなので、怒りで声を荒げる姿はこの舞台でしか見れないと思います(笑)」
兵頭「たしかに(笑)」
今村「そんな美凪だからこそ、グッとくる言葉があるよね」
兵頭「“キュンポイント”があるんだよね。(演出・青井役の)ウチクリ(内倉)さんからもそういうポイントにしてねと言われたの」
今村「葵ちゃんはその“キュンポイント”を演じられていて、すごいなと思った」
舞台初挑戦の兵頭にとって、気心知れた今村の存在は心の支えに
――普段の自分と違う役を演じる難しさを兵頭さんは感じましたか?
兵頭「私は普段、笑っている印象があると思います。でも、美凪はまったく笑顔がなくて、真逆すぎて難しかったです。舞台の袖で待っているときも無表情にしています(笑)」
今村「えー、そうなの? 徹底しているね(笑)。でも、美凪はそこがいいんだよね」
――舞台に初挑戦するなかで、同じSTU48のキャプテンであり、仲のいい今村さんがいることに安心感と心強さがあったのでは?
兵頭「間違いないです。私1人だったら、キャストのみなさんと仲良くなれていたかどうか(苦笑)。みちゅ(今村)は『みなさん、やさしいから大丈夫だよ』と言ってくれました」
今村「それで少しは気持ちが楽になった? 葵ちゃんは私よりも先に(東京での稽古に)行ったからね」
兵頭「『ここどうだった?』と聞いてくれたり、アドバイスをしてくれたり、すごく頼りになる」
今村「私も『SEPT』さんの舞台は4回目だから、少しずつ心の余裕が出てきたかな。葵ちゃんは私の意見を聞いて、受け入れてくれるからうれしい。お稽古のときに葵ちゃんが悩んでいるシーンがあって、2人でひも解いていった時間は素敵だったね」
――「ARIARIUM」の見どころを教えてください。
今村「今回はHINAが(同じ3羽鴉の)青井さん(ウチクリ内倉)にも黄経さん(杉浦タカオ)にも何も言わずに暴走して、運命の捻じれを自ら直しに行くことで始まる物語でもあります。Machicoさん演じる(七原)胡乃美、大山天さん演じる(八城)皇成という主役のほかにも、登場する全員のストーリーがしっかり見れますし、ライブシーンは一曲一曲ごとに思いが乗っかっていくようで、本当に内容が濃いと思います。舞台袖からみなさんのお芝居を見たり、聞いていたりするときもHINAの気持ちで感動しています」
兵頭「みちゅは稽古のときからいつも泣いてた(笑)」
今村「明るさと切ない気持ちの振り幅を見せられるように意識してる」
兵頭「今のHINAは(前作の)『ReUnion|ReVise』のときよりもすごく大人に見える」
今村「本当? ありがとう! あとはやっぱり、これまでで一番踊るところもポイントかな」
兵頭「美凪はBGMを含めてピアノを弾く以外に、人にバッと物事を強く言うシーンが多いから、普段の私とのギャップを見ていただきたい。きっと“新しい兵頭葵”が舞台にいるはず」
今村「自分の特技が生きているのが本当にすごい」
――会場、配信で観劇する方へメッセージをお願いします。
今村「この『ARIARIUM』は自分の人生と重ねられる物語。大きかれ小さかれ葛藤しているものがあるなかで、一歩を踏み出す勇気をもらえるような作品です。音楽と演技が融合して、歌詞の1つ1つに意味があって、歌詞を聞くだけで思い浮かぶシーンもあります。すべてが合わさって1つの作品になっているので、キャストのみなさんのお芝居すべてを見ていただけたらと思います」
兵頭「アイドルとして、これまで舞台は縁のないジャンルでした。発音の仕方をはじめ学ぶことが多くて、『舞台は人生を豊かにしてくれる』と思いました。もし何かつらいことがあっても、舞台を見に行きたいと思っていただけるような素敵な作品を作る一員になれるように頑張ります」