格闘技のメガイベント「THE MATCH 2022」（ABEMA独占完全生中継）は6月19日、東京ドームで開催される。キックボクシングの“神童”那須川天心と、“ナチュラル・ボーン・クラッシャー”武尊の「世紀の一戦」をメインに、RISE、K-1の両団体が誇るトップファイターがズラリと勢ぞろいする。「ENCOUNT」では出場選手へのインタビューを実施。カウントダウン連載で紹介する。第5回はRISEの“人獣”中村寛（BK GYM）。K-1の“石の拳”レオナ・ペタス（THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO）と62キロ契約で対戦する。

　野性味あふれるファイトスタイルでついた異名は“人獣”――。東京ドームで見せてくれるパフォーマンスが楽しみで仕方ない。

「勝つと、幸せホルモンがドバっと。対戦相手より自分の方が強いことを証明できた時が一番楽しい。鮮やかに倒して、相手の白目を見るとゾワッとする。たぎるものを感じる」。本番を思い描き、中村が瞳をぎらつかせた。

　まず試合に“外れ”がない激闘型。見るものは間違いなく手に汗握ることになる。

「みんな根性がないだけちゃいます？　お客さんも、非日常を見に来てるわけじゃないですか。生ぬるい試合はできない。これは僕の考えですけどね。いろいろな選手がいて、いろいろな考えあるから“色”があるんでしょうけど、思い切りいききらん選手がおるから、俺が目立つんちゃうかな。相手が逃げなければ俺は真っ向から。受けて立ってくれたら早く終わるやろうし」

“石の拳”との真っ向勝負を願ってやまない。

　相手のことは研究しないのが“人獣スタイル”だ。レオナ・ペタスについて、「長くてガリガリで攻撃力あるって言われてるっていう感じですね」。

　研究、分析するのは「僕の仕事じゃない、僕のチームがやることなので、僕は自分の練習して、あとは勝つこと」。さらに「どんな動きで来ても、紙一重でかわして、当てて倒すっていう。そのことだけを考えている。対策とか研究とか、そういうのはないですね。自分の練習だけしてたら、絶対勝てる。特に楽しんでやっているときは絶対勝てますね」と豪語した。

　空手がバックボーン。「4歳からやっていて、毎週試合がある。勝ち進むと1日7試合くらい。そうなるともう数えられない。相手を覚えない。単純にどっちが強いかしか考えない」。プロになってもスタイルは変わらない。「僕自身はあんまり考えない。試合前に1、2回は見るけど、直感で試合を楽しみます」。

　中村に、いわゆるセオリーは当てはまらない。東京ドームという大舞台にも「どこでもいいですよ」と興味を示さない。

　取材場所だったスタジオを指さし、「ここでもいいですよ」とニヤリ。「ほんまにリングが大事。穴が空いてたら嫌ですけど（笑）。どつきあえって言われたらいきなりでも始まる。それが一番いいですね」と言い切った。「声援なんかはプラスになりますけど、客がゼロであろうが気にしないタイプ。獲物は相手だけ。相手を倒せたら、それ以上の快楽はないですね」。

“人獣”が大観衆の前で獲物にどう立ち向かうのか。予告通りなら、会場を熱狂させることは間違いない。