「シン・ウルトラマン」で注目の公安調査庁を独占取材 盗聴器の気配に「安心してください」
大ヒット上映中の映画「シン・ウルトラマン」公開初日の5月13日、ある投稿がSNS上を賑わせた。「本日公開の #シンウルトラマン @shin_ultramanで #長澤まさみ さん扮する浅見弘子分析官は #公安調査庁 からの出向者とのこと! 浅見分析官の情報収集・分析能力が禍特対でどう発揮されるのか楽しみです!」。投稿したのはなんと公安調査庁の公式アカウントで、続く投稿では「最近は創作の世界でも公安調査庁を題材としていただく機会が増え、驚きつつも興味深く拝見しています。御取材等の御相談がございましたら、まずは広報室まで御連絡ください。」と取材を募る一文も。それならばと早速アポイント、かくして霞が関の公安調査庁に潜入した一部始終をレポートする。
長澤まさみ演じる禍特対の浅見弘子分析官は公安調査庁からの出向者という設定
大ヒット上映中の映画「シン・ウルトラマン」公開初日の5月13日、ある投稿がSNS上を賑わせた。「本日公開の #シンウルトラマン @shin_ultramanで #長澤まさみ さん扮する浅見弘子分析官は #公安調査庁 からの出向者とのこと! 浅見分析官の情報収集・分析能力が禍特対でどう発揮されるのか楽しみです!」。投稿したのはなんと公安調査庁の公式アカウントで、続く投稿では「最近は創作の世界でも公安調査庁を題材としていただく機会が増え、驚きつつも興味深く拝見しています。御取材等の御相談がございましたら、まずは広報室まで御連絡ください。」と取材を募る一文も。それならばと早速アポイント、かくして霞が関の公安調査庁に潜入した一部始終をレポートする。(取材・文=佐藤佑輔)
電話で取材内容や日時を調整し、千代田区霞が関の法務省庁舎を訪れたのは5月某日。警備員に取材の旨を伝え、手荷物の検査を受けて入館ゲートを通過する。1階ロビーで担当者を待つ間、壁に貼られたポスターを撮ろうとカメラを取り出すと「庁舎内の撮影は一切禁止です!」と警備員に制止されてしまった。
程なくすると、電話口で応対していただいていた浅見分析官さながらの女性調査官が姿を表した。エレベーターで8階へ向かい、あらためて渉外広報担当の男性調査官と名刺交換。見たところごく普通の、どこにでもいそうな公務員といった風貌だ。テーブルと革張りのソファーが4脚あるだけの、灰緑色の壁に囲まれた窓のない応接室に通される。いかにも盗聴器がありそうな部屋だなと思った矢先、「安心してください、隠しカメラも盗聴器もありませんから」と“公安ジョーク”を飛ばされた。
いただいた名詞をまじまじと見つつ「こちらは偽名ではないんですか?」と率直な疑問をぶつけると、「私の名刺はまったくの本名ですよ。もちろん、家族や子どもにも公安調査官という仕事は隠していません」と少々拍子抜けな答えが返ってきた。聞けば、確かに業務の遂行上偽名を名乗ることはあるものの、必ずしも全員が身分を隠さなくてはいけないものではないらしい。ただ、中には家族や恋人にさえ素性を明かさない調査官もいるという。
「公安調査庁の業務は大きく2つあります。1つ目はそもそもの設立のきっかけとなった団体規制。一部の右翼や左翼、テロ組織など、破壊活動を行う危険があるとされる団体の調査です。もう1つが政府や関係機関への情報貢献。国内国外問わず、社会、政治、外交などあらゆる分野で収集した情報を、犯罪情報なら警察庁、国防に関わる情報なら防衛省と、各機関に提供する仕事です。近年はサイバー攻撃や経済安全保障も含め、後者の割合が多くなってきています」