女性週刊誌・作り手の本音 スキャンダルの言葉“使わない”、芸能人のSNS反論「フェアな時代」
日本で最初に創刊された女性週刊誌「週刊女性」(主婦と生活社)が、今年3月で創刊65周年を迎えた。女性読者を意識し、日々他社とニュースを競う中で、メディア業界を覆う紙媒体の落ち込みなど、試練を迎えている。世間からはネガティブな印象を持たれることも多い週刊誌の作り手は、何を考え、どう行動しているのか。雑誌の大きな売りとなる芸能ニュースのページでデスクを務める金丸俊樹さんを直撃した。
日本で最初に創刊され65周年を迎えた女性週刊誌「週刊女性」
日本で最初に創刊された女性週刊誌「週刊女性」(主婦と生活社)が、今年3月で創刊65周年を迎えた。女性読者を意識し、日々他社とニュースを競う中で、メディア業界を覆う紙媒体の落ち込みなど、試練を迎えている。世間からはネガティブな印象を持たれることも多い週刊誌の作り手は、何を考え、どう行動しているのか。雑誌の大きな売りとなる芸能ニュースのページでデスクを務める金丸俊樹さんを直撃した。(取材・文=吉原知也)
「紙媒体の危機は、もう危険水域に達しています。映像メディアの分野でも、ネットの配信サービスでは無制限に作品を見ることができます。携帯電話が1つあればあらゆる情報やコンテンツに触れられる中で、どう紙の雑誌を手に取ってもらうのか。日々考えながら取り組んでいますが、その正解になかなかたどり着けない。これが現状です」
同誌は「女性自身」(光文社)、「女性セブン」(小学館)を含めた女性週刊誌の大手3誌で、芸能スクープ、皇室や社会ニュース、暮らしに役立つ実用記事など幅広く網羅している。
芸能人にまつわるニュースを長年取材してきた金丸さん。マスコミ業界がウェブ全盛に移り変わる中で、ネット記事の可能性とネット時代の“変化”をまざまざと実感するという。
「1つの記事でアクセス数が1000万を超えるものがあります。ネットの影響力はすさまじいですね。かつて週刊誌が売れていた時代でも、1000万部という数字はなかった。ただ、SNSで自由に発信できる中で、昔だったら大きい問題にならなかった記事の書き方が今は通用しないこともあります。取材方法もそうです。芸能人がSNSで反論してきたり、記者の顔を撮影してアップするケースもあったり。これまでは、記事掲載を巡って事務所担当者とメディアとの間でさまざまなやりとりがあったわけですが、独立する芸能人も増えてきて、やりとりができにくいこともあります。でも今までは、書かれっぱなしだったタレントの方たちに反論する場があるというのは、ある意味フェアな時代になったのかなとも思いますね。それだけ僕たちも、しっかり取材を尽くして記事を書かなければならないということですから」
女性読者向けに作られている、女性週刊誌の存在意義についてはどう考えているのか。
「エンタメや芸能の話題について、知りたい、知ったことを誰かに話したいと思う欲求は女性は強いと考えています。日々のおしゃべりの中で、『聞いて聞いて、こんな話があってね』と何かを伝えたいと思うことは、普遍的なことなのではないでしょうか。毎週、女性読者に誰かに話したくなるような記事を紹介していきたいですし、誰も読んだことのない内容の記事を出したいとは思っています」