ウクライナの歌姫、会見で子守歌を生披露「現在一番の悲劇は子どもの死です」
ウクライナの国民的歌手のチーナ・カーロリさんが16日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で会見した。ロシアの侵攻で亡くなった子どものために子守歌を生披露し、戦争の終結と平和への思いを訴えた。
日本外国特派員協会で会見
ウクライナの国民的歌手のチーナ・カーロリさんが16日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で会見した。ロシアの侵攻で亡くなった子どものために子守歌を生披露し、戦争の終結と平和への思いを訴えた。
カーロリさんはSNS総フォロワー数300万人を誇り、雑誌の企画で「ウクライナで最も美しい女性」に3回選出されたこともあるウクライナの歌姫だ。楽天の三木谷浩史会長兼社長の招へいで来日し、滞在中はイベント出演や広島の原爆ドームを訪問した。
黒のノースリーブドレス姿で会見場に現れたカーロリさんは、「戦争のことは、昔自分のおじいちゃんから聞いたことはありますが、まさかの私の世代にも戦争が起こるとは考えてもいませんでした。ロシアは私たちの街を破壊したり、民間人を殺したり、ものを略奪したり、女性や子どもをレイプしています。全世界に支援していただきたいと訴えたいです」とロシアの横暴を非難した。
広島訪問を振り返り、「そこで非常に悲惨な当時の光景を見ました。日本人はよく知っているように、こんなことは二度と起こってはいけない」と、核兵器で脅すロシアにクギを刺した。
そして、「現在一番の悲劇は子どもの死です。この子どものために子守歌は流れません。ウクライナの歌はとてもきれいで、できるのであればここで一つの子守歌を歌いたいと思います」と話し、その場で子守歌を生歌で披露した。
「私の武器は言葉、私の武器は音楽です」というカーロリさんは、ウクライナ軍のソロ歌手として活動を始めた。「昔からウクライナ軍と一緒にいろんな前線で歌を歌いました。イラク戦争があったときに、そこの前線でも歌を歌いました」
2014年、ロシアがクリミアに侵攻すると、命の危険と隣り合わせの中で活動を続けた。
「前線で歌うのは非常に危険なことで、防弾チョッキもつけたり、軍の指示に従わなければいけません。一番怖いことは飛行機に乗ることで、相手に気づかれないように低い高さで飛ぶのは怖いです」
ロシアが侵攻して2か月が過ぎ、東部戦線を中心に、戦闘は激化している。一刻も早いロシアの撤退を願うカーロリさんは「私たちは小さい国です。何十倍大きいロシアと闘っています。自分の国をロシアには渡しません。ウクライナは必ず勝利します」と力を込めた。