“HARD ON FIGHT”野村直矢がシングル王座初戴冠 REAL BLOODに新メンバーも加入しマット界侵攻を開始
「このベルトを手にさまざまなマットにも進出していく」。初のシングル王座戴冠に成功した“HARD ON FIGHT”(真っ向勝負、激しい闘い)野村直矢が雄叫びを上げた。
野村直矢、スーパークラフターUと決勝で対戦
「このベルトを手にさまざまなマットにも進出していく」。初のシングル王座戴冠に成功した“HARD ON FIGHT”(真っ向勝負、激しい闘い)野村直矢が雄叫びを上げた。
キャプチャー・インターナショナルの5・8東京・ベースメントモンスター王子大会で争われたキャプチャー王座決定争奪トーナメント。8選手が参戦し、昼の部で1回戦、夜の部で準決勝、決勝のゴングが鳴った。
決勝に勝ち上がったのは、大和ヒロシ、不動力也を下した野村直矢と、佐藤孝亮、野村卓矢を退けたスーパークラフターU(スーパーU)だった。
2人ともキャプチャーマットらしい熱のこもった激しいファイトを、すでに闘い抜いている。中でも野村は不動のパワーに幾度も追い込まれていた。「交通事故に合ったような感じ」と振り返ったほどでダメージの蓄積は否定できないが、全日本プロレスを飛び出し、新たな戦場をキャプチャーに見い出したのだ。ここで負けるわけにはいかない。
大苦戦の準決勝から約30分後には決勝のマットでスーパーUと対峙していた。「無名の実力者」と言われるスーパーUだが、空手をベースにさまざまな団体で大暴れしている「真の実力者」。身長、体重は不明だが、185センチの野村と並んでも、見劣りしないどころか、大きい様子。体格にも恵まれている。
苦闘が予想された野村を後押ししたのがREAL BLOODのチームメイト、渡瀬瑞基だった。トーナメントでは1回戦で野村卓矢に敗れたが、決勝戦前のタッグマッチで、兼平大介と組み、佐藤、後藤恵介組と対決。渡瀬が後藤をフロントネックロックで破った。野村への無言のエールだった。決勝戦のゴング直後にマットサイドに駆け付けた渡瀬は、今度は野村に大声でアドバイスを送り続けた。
オープンフィンガーグローブ・ルールでの決勝戦。スリーパー、腕殺しを繰り出した野村だが、スーパーUのスリーパーに捕まりエスケープ。まずはポイントを失ってしまった。なおもスーパーUの鋭く重いキックにダウン。カウント9でかろうじて起き上がった。
スーパーUの連射キックを胸を突き出して耐え抜いた野村は、ついにスーパーUの蹴り足をキャッチ。デスロックからアキレス腱固め、ヒールホールドと攻め立て、エスケープポイントを奪い。さらにスーパーUをダウンさせた。
ラグビー仕込みのタックルを決める野村だったが、スーパーUのヒザに迎撃されてしまう。まさに肉弾の迫力に会場にはどよめきが渦巻き、悲鳴と歓声が交差した。
全日本時代からの熱心なファンが多数応援に駆けつけていたが、マスク越しの声援はOKとあって「野村ー! 野村ー!」と声を張り上げ、まるで一緒に闘っているかのようだ。
野村が強引なノド輪落としで、再びスーパーUをダウンさせた。一気呵成に前へ出たがノド輪落としをアームブリーカーに切り返された。強烈なアームバーにエスケープするしかなかった。
あと1回エスケープすると、3エスケープポイントでTKO裁定が下ってしまう。断崖に追い込まれた野村は、捨て身の前進。スーパーUのキック乱射を受けながらも、タイミングを見定めキャッチ。9分33秒で首、肩、腕など上半身の関節を複合的に極めるカタキトルで快勝。意地を炸裂させ、見事第16代キャプチャー王者に輝いた。
熱闘続きの大会を締めくくった決勝戦に、北原光騎キャプチャー代表からベルトを渡された野村。父のような厳しさと母のような温かさで野村を支えてきた北原は、何とも満足げな優しい表情。ベルトを巻いてもらった野村も、うれしそうに大きくうなずいた。