精神科医が教える“本当は怖い”五月病 適応障害やうつ発症につながることも
ゴールデンウイーク(GW)明け、仕事や学校が再開することに憂うつな思いを抱いている人も多いだろう。世間では五月病ともいわれるが、実際にこの時期に新社会人が離職したり、小中学校や高校では不登校となってしまう生徒も多い。放っておくと適応障害やうつ病の発症につながることもあるという“本当は怖い五月病”について、精神科医で月に30社以上を訪問する産業医でもある井上智介医師に聞いた。
年末年始後に表れる「二月病」や、欧米では「十月病」に当たるものも
ゴールデンウイーク(GW)明け、仕事や学校が再開することに憂うつな思いを抱いている人も多いだろう。世間では五月病ともいわれるが、実際にこの時期に新社会人が離職したり、小中学校や高校では不登校となってしまう生徒も多い。放っておくと適応障害やうつ病の発症につながることもあるという“本当は怖い五月病”について、精神科医で月に30社以上を訪問する産業医でもある井上智介医師に聞いた。
一口に五月病といってもその症状はさまざまだ。気分が落ち込む、やる気が起きないといった精神的なものから、食欲が出ない、夜に寝付けない、さらには微熱、倦怠感、頭痛、腹痛、動悸などの身体症状が伴う場合もある。
「原因は4月から始まる新生活のストレスと、GWの長期休みによる生活リズムの乱れの両方があります。慣れない環境そのものへのストレスというより、それに適応しようと頑張ってきた結果、ちょうどエネルギー切れになる時期と長期休みが重なって体調を崩す人が多い。何も5月に限った話ではなく、年末年始から約1か月後に表れる『二月病』や、9月に新年度が始まる欧米では『十月病』に当たるものもあります。GWがうれしいという人は多いでしょうが、あまりに休みが長いと、そこから日常に戻るときの方が仕事を続けたときよりダメージが大きい。GW明けは約2か月間祝日が1日もないですし、3連休を複数回のような取り方が精神的には好ましいです」
大抵の場合は時差ぼけのようなもので、時間の経過とともに自然と症状は収まっていくが、中には全身の倦怠感がひどく布団から出られない、職場に行けないなど、日常生活に支障をきたし適応障害と診断されるケースも。適応障害がさらに進行すると、うつ病を発症したり、最悪の場合、自死に至ってしまうこともあるという。五月病にならないため、また、もしなってしまった際にはどうすればいいのか。