駒大生の就活「学歴フィルターそれほど感じない」 一方で「子会社が現実的」と割り切るワケ

来年卒業予定の大学生の就職活動が本格化している。現行の就活ルールでは大学3年の3月に新卒採用活動の企業広報(情報)を解禁。以降、大学4年の6月に選考解禁、同10月に内定解禁となっているが、水面下ではすでに面接・選考がハイペースで進んでおりすでに4割ほどの学生が内定を勝ち取っている、という。就活でクローズアップされるのがいわゆる“学歴フィルター”の存在だ。東大など難関国立、早慶、GMARCH、成成明学、日東駒専、大東亜帝国など大学グループの偏差値に準じて書類選考で足切りされた、とする声が多数報告されている。実際のところそれらの壁は存在するのか――。就活で多忙な日々を送る駒沢大生に聞いた。

有名企業への就職実績を残している駒澤大学=東京・世田谷区【写真:ENCOUNT編集部】
有名企業への就職実績を残している駒澤大学=東京・世田谷区【写真:ENCOUNT編集部】

「駒大生は無駄に向上心がない」努力次第で大手にも内定

 来年卒業予定の大学生の就職活動が本格化している。現行の就活ルールでは大学3年の3月に新卒採用活動の企業広報(情報)を解禁。以降、大学4年の6月に選考解禁、同10月に内定解禁となっているが、水面下ではすでに面接・選考がハイペースで進んでおりすでに4割ほどの学生が内定を勝ち取っている、という。就活でクローズアップされるのがいわゆる“学歴フィルター”の存在だ。東大など難関国立、早慶、GMARCH、成成明学、日東駒専、大東亜帝国など大学グループの偏差値に準じて書類選考で足切りされた、とする声が多数報告されている。実際のところそれらの壁は存在するのか――。就活で多忙な日々を送る駒沢大生に聞いた。

 駒大4年の村上実さん(仮名)は、企業が採用を行う際に利用する適性検査「SPI」(能力検査と性格検査)の参考書を持参して首都圏のファミリーレストランに現れた。「基本的な学力や性格を調べるテストです。受験勉強のように頭に詰め込むようなものではありませんので目を通しておけば大丈夫です」。村上さんは就職活動を本格的に始めており、すでにある中堅企業から内定をもらっている。

 村上さんが事実上の就活を始めたのは学部3年生だった昨年6月で、マイナビ主催の企業合同説明会に出席した。気に入った会社の受付で自身の名前を登録すれば後にインターンの案内が届くという。「インターンといっても私の場合、1日だけの説明会に参加しただけでした。ただ、このインターンを確保することで内定をもらう学生もいます。たいていの企業が夏からすでにインターンを始めていて、秋・冬のインターンは選考直結型が多くなります。東京海上日動火災保険や伊藤忠商事、三菱商事、損保ジャパン、ソニーなど超人気企業になると学生が殺到しますので、採用担当者が学生から届いたエントリーシート全部に目を通すとは考えにくいです。インターンの案内が東大生や早慶生には来るけどGMRACH以下には来ない、といった学歴フィルターの話はよく聞きます。もう一度大学受験ができるならせめてGMARCHに合格できるよう一生懸命勉強したいです」。

 では、駒大生の就活事情はどうなのだろうか。「大量のテレビCMを放映している食品トップクラスや情報処理大手に就職した先輩もいますからそれほど学歴フィルターが強くかかっているとは感じませんし、本人の努力次第だと思います。ただ、実際のところトヨタ自動車、NTT、KDDIなどの超大手親会社は無理かもしれません。これらの大企業には見切りを付けて子会社あたりを受けていくのが駒大生には現実的かな、と思います」。

 となると、やはりそこには厳然とした“学歴フィルター”があるということか。「就活をしていて実感するのは早慶とGMARCHの間、GMARCHと日東駒専の間に大きな壁がある、ということです。超大手の親会社なら圧倒的に東大、一橋、早慶の学生が内定を取りやすい。経団連ルールに縛られない外資系や大手IT系ベンチャーは大学3年の1、2月くらいから選考を本格化させるのでここを積極的に狙うという手はありますし、小売大手や中小企業で比較的福利厚生が良いところを探す駒大生も多いです」。

 経団連ルールだと面接解禁は6月だが、「大企業のほとんどはそれまでに新卒の人材を確保していて、一部だけかもしれませんが、6月からの面接は形式だけ、という話も聞きます」と明かす。自身が就職したい会社をたずねると、「有給休暇や家族手当、自己研さんのための研修費補助など福利厚生が良くて勤務地が実家から近いところ、そしてやりがい、ですかね。給与は世間並みあればいいです。なぜその会社に入社したいのか、といった志望動機や理由、そして自分という人材を採用すれば将来こういう事業展開が見込めるいう具体的な提案を面接でしっかりとアピールできればおのずからいい結果が出ると思います」と力みはない。

「駒大生は無駄に向上心がない代わりに悲観しないで楽しく考えるというところが良い点です。GMARCHにコンプレックスを持っている学生は多いですが、深刻過ぎるほどのコンプレックスではないかな。割り切ってますからその分、選択の幅を広くとって余裕を持って生きていけます。私自身、他の人から信頼される社会人になりたい、と思っているので私を必要としてくれる会社と出会うことができればそちらで頑張りたいです」

 一方、大学側の就活支援については不満があるようだ。「友人の法政大生から聞いた話ですが、法政のキャリアセンターではOB・OGを1日10人、週最大50人まで紹介してくれるそうですが、駒沢は1日3人、週最大15人までだったと思います。先輩に関する情報はその企業がどういう人材を求めているのか、入社後のキャリアはどうなのか、そういったことを知る絶好の機会です。情報量が少ないと他大生と比べて圧倒的な差がついてしまいますし、キャリアプランに響きます。大学側にはぜひ改善してもらいたいですね」。

 学歴フィルターの存在を感じながらも、余裕を持った就活を進めている村上さん。コロナ禍の反動で今年度は学生優位の売り手市場が広がるとの見方が多い。村上さんに朗報が舞い込むことを願いたい。

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