「eスポーツジム」に見出す“教育”の側面 競技経験からの学びに深まる理解
東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅3番出口を出てすぐにある「eスポーツジム」は、“日本初のeスポーツ専門のトレーニングジム”だ。健康的な内装は世代を問わず好印象を与えるが、事業内容自体への理解も、時代とともに深まっているようだ。“親世代”のeスポーツへの理解の変化や実際の声などについて、eスポーツジムを運営するゲシピ株式会社代表取締役CEOの真鍋拓也氏と、コミュニティーマネージャーの鈴木聡氏に聞いた。
保護者の間でも高まるeスポーツへの評価「礼儀やスポーツマンシップを期待している」
東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅3番出口を出てすぐにある「eスポーツジム」は、“日本初のeスポーツ専門のトレーニングジム”だ。健康的な内装は世代を問わず好印象を与えるが、事業内容自体への理解も、時代とともに深まっているようだ。“親世代”のeスポーツへの理解の変化や実際の声などについて、eスポーツジムを運営するゲシピ株式会社代表取締役CEOの真鍋拓也氏と、コミュニティーマネージャーの鈴木聡氏に聞いた。(取材・構成=片村光博)
“eスポーツ版の寺子屋”を目指し、明るく健康的な環境と、円滑なコミュニケーションを促す適度な広さを提供するeスポーツジム。駅を出てすぐという立地も含め、子どもを預ける親にとっても安心できる場所となっているのは、従来のeスポーツ施設と一線を画すところだろう。
ただ、そうした“入りやすさ”だけでなく、近年のeスポーツの認知度向上とともに、保護者層からかけられる言葉も変化してきている。真鍋氏は次のように現状を語る。
「お子さんを連れてこられる親御さんの変化をすごく感じています。最初の頃はお子さんが『行きたい』と言って、親御さんとしては『よく分からないけど見学に来ました』というパターンが多かった。でも、ここ半年くらいは親御さんがeスポーツを理解されていて、『教育的側面もあるから賛成して連れてきました』という方が多い。そこはすごく変わったなと思いますね」
さらには、スタッフ以上にeスポーツの“価値”を高く認識する保護者の存在は、真鍋氏にも驚きを与えたという。
「私たち以上にeスポーツの教育的価値を確信されていらっしゃる方もいます。とある方に言われたことで、『eスポーツは柔道や剣道と一緒だ』と。意味を聞いたら、柔道や剣道を親が子どもに教わらせるとき、強くなって将来日本一になることを求めているわけじゃなくて、そこで教わる礼儀やスポーツマンシップを期待していると。それはeスポーツでも全く一緒だとおっしゃっていました。子どもがプロゲーマーを夢見ていたとして、応援はするけど別に(プロゲーマーに)なれるとは思っていない。eスポーツ競技をやる中で、ゲームやオンラインにおけるスポーツマンシップ、マナー、礼儀が身についてくれるとうれしいし、社会でも使えるものになるからやらせているという方がいらっしゃったんです」
オンライン対戦ゲームでは味方や相手への暴言などが問題視されることもあるが、「そこから守るためにスタッフがいる面もあります」と真鍋氏。“悪い例”に染まるのではなく、ジム生をしっかり守り、保護者も安心できる環境でオンラインのマナーを身につけることが可能だ。
また、eスポーツジムでは他施設との対抗戦も実施している。コミュニティーマネージャーの鈴木氏はそこで目にした光景として、「負けて嫌になるのではなく、悔しいから絶対に勝ちたいと、終わった瞬間から練習し始めたときは感動しました」とエピソードを披露。悔しさをバネに、自分からさらなる努力に進んでいく姿勢は、努力の対象に関係なく財産となることは間違いない。