「eスポーツジム」が目指す“寺子屋”スタイル 社会性を育む場を提供「全世代がウェルカム」
東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅3番出口を出てすぐにある「eスポーツジム」は、アクセスの良さと明るい店内が印象的な“日本初のeスポーツ専門のトレーニングジム”だ。ジムと聞くとストイックな鍛錬のイメージもあるが、eスポーツジムでは活発なコミュニケーションを重視し、初心者にも丁寧な指導を行っている。これから需要が増えていくであろう新たな“ジム”の理念や現在地について、eスポーツジムを運営するゲシピ株式会社代表取締役CEOの真鍋拓也氏と、コミュニティーマネージャーの鈴木聡氏に聞いた。
木目調の壁、日当たり良好…従来のeスポーツのイメージと異なる内装
東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅3番出口を出てすぐにある「eスポーツジム」は、アクセスの良さと明るい店内が印象的な“日本初のeスポーツ専門のトレーニングジム”だ。ジムと聞くとストイックな鍛錬のイメージもあるが、eスポーツジムでは活発なコミュニケーションを重視し、初心者にも丁寧な指導を行っている。これから需要が増えていくであろう新たな“ジム”の理念や現在地について、eスポーツジムを運営するゲシピ株式会社代表取締役CEOの真鍋拓也氏と、コミュニティーマネージャーの鈴木聡氏に聞いた。(取材・文=片村光博)
木目調の壁に、窓も全面開放で日当たりの良い立地、そして自由に栄養補給のできるフリースペース。ストレッチの方法を記した張り紙もある店内は、従来の“eスポーツ”の印象――暗い部屋でゲーミングPCがまばゆく光る――とは異なり、まさに健康的なジムそのもの。真鍋氏はこのデザインについて、次のように説明する。
「今までにない作りということもあり、eスポーツ界隈の方からは『どうなの?』と言われることもありました。明るいですし、陽が入って多少眩しいとも言われることもありますが、今では受け入れられています。確かに、暗いほうが画面は見やすいですし、eスポーツに適しているとも言われます。でも、健康にいいわけではないですし、われわれは単なる見やすさを優先度の一番上に置いているわけではないということですね」
eスポーツジムではゲームの上達を目標にはしつつも、最も優先される事項ではない。前述した明るく健康的な環境に加え、円滑にコミュニケーションが取れる適度な広さにより、“eスポーツ版の寺子屋”を一つの理想としている。「eスポーツを通した教育に必要なのはコミュニケーション」という理念のもと、成果も生まれつつあるという。
「誰でもジムに来て学べて、しかもコミュニケーションを取って仲間を作り、学びを得ることを目的にしています。まだ道半ばではあるんですけども、非常にいいサイクルが生まれつつあるかなとは思っています。その一つとして、いろいろな年代の方がいらっしゃっているんです。下は小学1年生、時には弟の幼稚園生も来たりしています。上は50代くらいで、これからシニアにも広げていきたいと思っています。非常に幅広い年代が、同じ場所でトレーニングしている。他のスポーツや勉強だと、なかなかない環境ですよね。そこでコミュニケーションが生まれつつある。
eスポーツがうまくなる、強くなる、勝てるということも取り組んでいますが、それが目標ではありません。ジム生の方々の目的も、コミュニティーマネージャーと話をする、他の仲間と一緒にプレイすることに変化しつつあって、手ごたえを感じているところです」(真鍋氏)