元・魔界2号こと筑前りょう太、地元に戻って九州プロレス設立 NPO法人理事長の奮闘
「九州ば元気にするバイ!」NPO法人九州プロレスの筑前りょう太理事長が「DONTAKU VAI!」(5月1日、アクロス福岡イベントホール)大会に向け、魔界パワーでフル活動している。
東京でも開催するなど市場規模拡大にも手応え
「九州ば元気にするバイ!」NPO法人九州プロレスの筑前りょう太理事長が「DONTAKU VAI!」(5月1日、アクロス福岡イベントホール)大会に向け、魔界パワーでフル活動している。
5月1日には、全国区のメジャー団体、新日本プロレスが「WRESTLING DONTAKU 2022」を福岡PayPayドームで開催する。興行戦争で苦戦は免れないと思いきや「こちらは午後1時開始。新日本さんは午後5時にゴング。ハシゴ観戦できます」と逆手にとってアピールだ。
九州プロレスは2008年、九州に住む1300万人に元気を届け、地域への恩返しするために設立された団体。日本全国のローカル団体もそれぞれが経営意識を向上させ雇用を増し、プロレス界全体の市場規模拡大に貢献することを目標にしている。今年1月3日には東京に初進出。新宿FACEを満員にする大成功を収め「手応えをつかめた」と筑前は声を弾ませる。10月4日には聖地・後楽園ホール大会の開催も決定した。
東京での定期開催はほんの第一歩。「東京で成功事例を作り、日本各地で大会を開催する。九州の素晴らしさを日本中に、そして将来は世界中に伝えたい」と夢は膨らむ。決して平坦な道のりではないが、2つのリーグがあったバスケットボールが1つになりBリーグが誕生して人気を集めている。多くの流派が存在する空手が統一組織を結成し、五輪種目に採用されるなど、お手本はある。「プロレスにできないはずはない」と筑前の鼻息は荒い。
元より筑前のレスラー人生も山あり谷ありだった。福岡県に生まれ、九州産業大学で学生プロレスに熱中。185センチ、100キロと体格にも恵まれ、プロレスラーを目指した。メキシコに渡りデビューを果たし、全日本プロレスの日本武道館大会で凱旋マッチに臨んだ。メキシコでのスタイルそのままに、和太鼓の演奏に乗り入場したが、足は震えていた。「緊張のあまり、ちぐはぐなファイトになってしまった。やっちまった」と不評を買うことに……。
その後、さまざまな団体にあがり、新日本プロレスでは謎のマスクマン「魔界2号」として大暴れ。「全日本での失敗を少しは挽回できたかと。メジャーへのリベンジを少し果たせたかな」と振り返る。魔界倶楽部の故・星野勘太郎総裁には「プロレスのために全力投球されていた。僕にも本当によくしていただいた」と感謝している。
その後、紆余曲折もあり「地元に戻って、恩返ししたい」と九州に戻った。青少年健全育成、施設訪問、まちおこしなど、地道な活動に励んでいる。選手、スタッフ20人ほどを抱える組織に成長させた。「NPO法人って、特に日本では金銭と無縁のボランティアいうイメージが根強いですが、それを少しづつ変えていきたい。経済という仕組みを利用して雇用を生み、より持続性ある街おこし活動を展開していきたい」と理事長そして経営者の顔になる筑前である。
ただ5・1決戦に向けて、頭の痛い問題もある。みちのくプロレスから、グローガル・タッグトーナメントを制し、九州プロレスタッグ王座を保持するGAINA、のはしたろうの参戦が決まったのだが、GAINAが九州プロレス王者・玄海への挑戦を表明したのだ。
万が一にもシングル王座までみちのくプロレス勢に奪われてしまっては、九州プロレス存亡の危機に陥ってしまいかねない。「両タイトルがともに東北に流失してしまっては、九州のファンの皆様に申し訳が立たない」と頭を抱え込む。
「いずれ近いうちに」とグローガル・タッグトーナメントの開催を目指しているが、5月1日に、団体すべてのタイトルが他団体に渡りかねない危うい事態に陥ってしまった九州プロレス。起死回生の踏ん張りに期待したい。