3歳児がトラックにはねられ死亡 自転車の“親子乗り”、安全管理を専門家に聞いた
大阪府東大阪市の国道で11日、母親と自転車に乗っていた3歳の男の子がトラックにはねられ死亡した。事故当時、自転車には母親と死亡した男の子の他、5歳の長男も乗っており、親子3人乗りの状態だった。法律上は認められている“親子乗り”だが、どんなことに注意すべきなのか。専門家に聞いた。
近年は自動車と自転車の事故で自転車側に過失が認められることも
大阪府東大阪市の国道で11日、母親と自転車に乗っていた3歳の男の子がトラックにはねられ死亡した。事故当時、自転車には母親と死亡した男の子の他、5歳の長男も乗っており、親子3人乗りの状態だった。法律上は認められている“親子乗り”だが、どんなことに注意すべきなのか。専門家に聞いた。
報道によると、11日午前9時ごろ、東大阪市善根寺町の国道170号線で親子3人が乗った自転車が転倒。このはずみで3歳の男の子が道路に投げ出され、後ろから来たトラックにはねられた。男の子は病院に運ばれるも約1時間半後に亡くなり、トラックを運転していた22歳の建設作業員の男性は過失運転致傷の疑いでその場で逮捕された。母親は当時男の子を前に、5歳の長男を後ろに乗せていたが、チャイルドシートの安全ベルトやヘルメットはしていなかったという。
警視庁が公開している自転車の交通ルールでは、一定の安全基準を満たした自転車に限り、小学校入学前の幼児2人までの同乗を認めているが、いたましい事故をなくすために、“親子乗り”をする上ではどんなことに注意すべきなのか。
自動車安全利用研究会の谷田貝一男氏は「まずは必ずサドルを両足のかかとがつく高さまで下げることです。また、同乗に関わらず13歳未満ではヘルメット着用が努力義務とされています。幼児用のチャイルドシートに乗せる場合には、両肩や股の間にもベルトを通す必要もあります」と指摘する。谷田貝氏が以前、日常的に幼児2人を同乗させている母親を対象にアンケート調査を行ったところ、約半数が直線道路でふらついた経験があると回答、交差点では全員がふらついた経験があると回答したという。
近年は自動車と自転車の事故でも自転車側に過失が認められたり、自転車と歩行者の事故で多額の賠償責任が生じるケースも増えている。谷田貝氏も「電動アシスト自転車であれば車体自体が35キロほどあり、前方のチャイルドシートに上限の15キロ、後方に上限22キロの幼児を乗せ、運転者本人の体重も合わせると総重量はゆうに120キロを超える。時速24キロまではアシスト機能が働くため、その衝撃は相当なもの。自治体ごとに義務化が進んでいる保険加入はぜひともしていただきたい」と訴える。
幼児2人同乗用自転車は2009年の道路交通法改正で解禁された。電動アシスト自転車に関する規制は特にないのが現状だ。今後、何らかの規制が設けられたり、車体三輪化などの改良の可能性はないのか。
「警察も長らく同乗を認めない方針を取っていましたが、世間の批判的な声から解禁となりました。最近では同乗の条件が6歳未満から小学校入学前とされるなど、利用実態に則した緩和の動きも広がっています。メーカーも車体の重心を下げたり、前輪と後輪の間隔を伸ばしたりと転倒しにくいよう改良はしていますが、駐輪場の利用のしづらさや見てくれの悪さから、補助輪や三輪化の開発は現実的ではないですね。お子さんの体重や保護者の運転技術、バランス感覚など、個人差が多く難しい部分もある。結局は一人ひとりが慎重に乗るしかないのが現状です」
子育て世代の自転車利用をめぐっては安全な利用環境が整っていないことも大きい。いたましい事故を減らすためにも、各方面からの議論が必要だ。