定期代月7万円、往復4時間の新幹線通学 超難関校に通う高2女子のポジティブ思考
受験シーズンが終わり多くの生徒が志望校での新学期を迎えた。地方の超難関校に合格し、遠距離通学を決めた生徒も多いだろう。昨年埼玉県内の超難関校に進学した生徒は往復4時間かけて新幹線で通学している。4時間と聞くと通学というより“痛”学という字を使いたくなるが、生徒は意外にも抵抗感はあまりないようだ。長女が新幹線通学している神奈川県在住の執筆業の母親に話を聞いた。
母親「予備校の学費不要。トータルすればトントン」
受験シーズンが終わり多くの生徒が志望校での新学期を迎えた。地方の超難関校に合格し、遠距離通学を決めた生徒も多いだろう。昨年埼玉県内の超難関校に進学した生徒は往復4時間かけて新幹線で通学している。4時間と聞くと通学というより“痛”学という字を使いたくなるが、生徒は意外にも抵抗感はあまりないようだ。長女が新幹線通学している神奈川県在住の執筆業の母親に話を聞いた。
昨年、超難関高校を相次いで受験した長女は関東でトップクラスの私立高校に合格した。公立中学時代は通学時間が10分ほどだったが、昨年4月から往復4時間という新幹線通学に切り替わった。それに伴い生活のリズムもガラリと変わった。起床は午前5時半。通学準備と朝食を終えて同6時半に自宅を出て在来線と新幹線を乗り継ぎ同8時半ごろ学校に到着する。授業が終わると部活に参加し、逆ルートで午後8時半ごろ帰宅する。この母親は「私も朝5時起きで平日はほぼ毎日、娘の弁当を作っています。通学定期代は月7万円ほどかかります。夏休み、冬休み、春休みはそれぞれ1か月くらい通学しなくていいのでこの時期は定期代が浮きますが、それでも年間60万円以上かかります。通学時間が30分で済む都心の難関私立高校にも合格しましたが、娘の強い希望もあって今の高校を選びました」と明かす。
関東には有名私立大学付属の中高がたくさんあり、附属高校に合格した場合は大学受験にかかるコストが大幅に減るという。大学受験する際は塾や予備校の学費の他、大学受験料など多額の費用が必要となるからだ。都心の難関高校の生徒のほとんどは鉄緑会や河合塾、駿台予備学校、代々木ゼミナールなどに通い難関大学に合格するため勉強の日々を送る。「娘は現在、塾には通っていません。自宅から遠い学校に新幹線通学したとしても予備校の学費は必要ないのでトータルすれば最終的に大学受験までにかかる費用はあまり変わりません。プラスマイナス、トントンになると考えました」(同)。
ところで、新幹線通学している生徒は“往復4時間”という人生の貴重な時間をどう捉えているのだろうか。高2女子は「片道2時間に抵抗はあまりありませんでした。新幹線に他の人が一生かけても乗らないであろう回数乗れます。その分、旅行などで乗った時の特別感はなくなりますが」と苦笑い。ただ、メリットも多いという。「新幹線の車窓から田んぼの田植えの時期、刈り入れの時期など都会にはない光景を見ることができます。また、渋谷、原宿、新宿、池袋、大宮はすべて定期券路線内なので出かけ放題で楽しい」と若者らしくポジティブだ。
別の高2女子も「新幹線の寝心地は最高です。定期が遠いから県をまたいで遊びに行けます。いろんな県に住んでいる人と学校でかかわることができるので文化の違いが分かって楽しいですし、学校まで遠いのに通学する人がいるから周りのレベルが高くて勉強しなきゃって思います」と遠距離通学の効果を明かした。
ただ、そうはいっても遠距離通学にはやはり負担がかかる。長女の友人らの通学時間は遠距離の場合、往復2時間半から4時間。「地元は晴れだったのに学校周辺は雪といったように天気や気温の違いで登下校の途中で体調を崩す学生が多発しています」「スキーのシーズンになると新幹線車内にスキー民が増えてうるさい」などのほか、「帰る時間が遅いからアルバイトができない」などの声が上がっている。また、新幹線車内でしていることについては「寝る」「読書」「勉強」「動画」「(学友と)おしゃべり」「座禅」などそれぞれの過ごし方があるようだ。
都心に向かう通勤通学ラッシュに比べると新幹線は高い確率で座れることも確か。車窓から田園風景を楽しみ、座席で友人と語らい、勉強にも打ち込める。往復4時間かけても通学する価値がある高校だと判断したからこその遠距離通学というわけだ。往復に4時間かけた通学経験が将来いい思い出になることを祈りたい。