開成のすご過ぎる“早慶蹴り” 東大合格者数全国1位、進学実績から見えた傾向とは?
大学受験の結果が出そろい、新聞社系週刊誌は東大、京大、早稲田、慶応など国内再難関大学を突破した合格者数の高校別ランキングを特集している。「週刊朝日」(22年4月1日号)と「サンデー毎日」(同4月3日号)によると、東大合格者数1位は開成(東京)の193人(うち現役138人)で82年以来、41年連続でトップの座を維持。早稲田と慶応の合格者数ランキング1位も開成で、それぞれ255人(うち現役143人)、200人(同112人)となっている。数だけ見ればすさまじい合格ラッシュだが、1人で複数の大学や学部を受験するケースが多いためその高校の実力を知るためには卒業生数に占める現役合格率や実際にどこの大学を選んだのかが分かる進学実績を精査する必要がある。
目立つ国公立大医学部進学者、「合格=入学」という傾向
大学受験の結果が出そろい、新聞社系週刊誌は東大、京大、早稲田、慶応など国内再難関大学を突破した合格者数の高校別ランキングを特集している。「週刊朝日」(22年4月1日号)と「サンデー毎日」(同4月3日号)によると、東大合格者数1位は開成(東京)の193人(うち現役138人)で82年以来、41年連続でトップの座を維持。早稲田と慶応の合格者数ランキング1位も開成で、それぞれ255人(うち現役143人)、200人(同112人)となっている。数だけ見ればすさまじい合格ラッシュだが、1人で複数の大学や学部を受験するケースが多いためその高校の実力を知るためには卒業生数に占める現役合格率や実際にどこの大学を選んだのかが分かる進学実績を精査する必要がある。
開成の場合、今年の卒業生数は405人で東大現役合格率は約34%。残りの3分の2近くは他大学に進学したり卒業後に浪人して東大に再チャレンジしたりする。東大合格者数ランキング入りの常連校はホームページで自校の大学合格者数を発表しているが、進学実績まで明かしている高校はそれほど多くはない。そんな中、開成は「大学入試結果」を毎年公表しており、そこには国内外の大学合格者数と進学者数が現役、OB(浪人)別で掲載されている。今年のデータはまだ上がっていないが(4月以降の予定)、昨年公開された「2021(令和3)年度大学入試結果」によると、東大合格者数は計146人で進学者数は145人。理科二類に現役合格した生徒が1人入学を辞退したことが分かる。一橋大学と東京工業大学には計10人ずつ合格し辞退することなく全員が入学した。
一方、一橋、東工大級の超難関大学である早慶はどうなっていただろうか。早稲田の看板である政経学部合格者は現役15人、OB20人の計35人。ところが進学者数はそれぞれ3人と2人で5人しか入学していない。同じく法学部は42人(現役とOBの合計)のうち3人。先進理工学部は34人中、6人だった。社会科学は計12人、人間科学は計5人、文化構想は計8人、国際教養は計3人が合格したが、実際の進学者はゼロだった。早稲田全体の合格者数は213人で進学者数は29人。進学率はわずか13.6%という結果だった。
続いて慶応を見ると、経済学部には現役24人、OB20人計44人が合格しているが、進学者はそれぞれ5人と5人で計10人に過ぎなかった。法学部は計11人中、4人。理工学部は計69人中、14人。東大理科三類に近い難易度の医学部は現役19人、OB2人の計21人が合格したが、進学者数は現役3人、OBはゼロだった。慶応全体の合格者数は173人で進学者数は36人、進学率は20.8%だった。開成高生はすべり止めとして早慶を受験しながらも大多数が合格を手にしても蹴ってしまうという現状が浮かび上がる。法政、青山学院、日大、駒沢、明治学院の合格者もごくわずかながらいたが、いずれも進学者はゼロだった。
逆に合格した大学を蹴ることなくそのまま進学した生徒数を見ると、北大医学部1人、東北大医学部2人、秋田大医学部2人、筑波大医学部1人、群馬大医学部1人、千葉大医学部10人、新潟大医学部1人、金沢大医学部1人、山梨大医学部3人、浜松医科大2人、名古屋大医学部1人、京都大医学部2人、大阪大医学部1人、神戸大医学部1人、横浜市大医学部1人などとなっており、国公立大学の医学部の場合は「合格=入学」という傾向があるようだ。
それにしてもすさまじい開成高生の早慶蹴り。大手予備校講師がこう話す。「早慶合格者の大部分がごっそり抜けて東大に進学したのでしょう。昨年の東大合格者数は146人ですから全員が早慶を2~3学部ずつ受験して合格したとしたら数は合います。彼らの学力からすればとくに驚くことではありませんが、早慶を第1志望としている受験生からすればあ然とする事態でしょうね。開成に限らず東大合格者数ランキングの常連となっている超難関中高一貫校でも同じ状況です。ただし、地方の旧帝大の合格者の中には早慶を選ぶ受験生が目立ちます。阪大や神戸大でも早慶はすべり止めにするには難し過ぎて関西学院や同志社を受験すると言われていますし、東京医科歯科大を蹴って慶応医学部に進んだ生徒もいます。東大は別格としても早慶が超難関であることに変わりはありません」。
ある開成高OBは「学校の先生から『東大を狙いなさい』と言われたことは1度もありませんし、何が何でも東大という空気でもありません。実力テストの上位100人に入れば東大合格圏と言われますが、私はそのずっと下位でも現役合格できました。ふだんから同級生と英単語を覚えるゲームをするなど楽しみながら勉強を競い合う日々を送ったことが良かったのだと思います」と明かす。
東大と早慶の差はまだまだ大きいということのようだ。