大学新学期で対面授業徐々に再開 教員悩ます学生の“私語”「東大は別次元の静かさ」

新型コロナウイルスの感染確認者数が緩やかに減少する中、4月に新学期を迎える国内の各大学ではリモート授業から対面授業への転換が進んでいる。東京大学では昨年12月半ばから各キャンパスへの入構制限を緩和しており、現在では立ち入りがほぼ自由になっている。授業についても各教員は対面とリモートを同時に行うハイブリッド型授業のテストを繰り返すなど、新学期に向けた準備に余念がない。

対面授業が徐々に再開している東京大学【写真:ENCOUNT編集部】
対面授業が徐々に再開している東京大学【写真:ENCOUNT編集部】

大学によって学級崩壊 10分おきに「静かにしてください」

 新型コロナウイルスの感染確認者数が緩やかに減少する中、4月に新学期を迎える国内の各大学ではリモート授業から対面授業への転換が進んでいる。東京大学では昨年12月半ばから各キャンパスへの入構制限を緩和しており、現在では立ち入りがほぼ自由になっている。授業についても各教員は対面とリモートを同時に行うハイブリッド型授業のテストを繰り返すなど、新学期に向けた準備に余念がない。

 こうした中、各大学の教員の間で懸念されているのが、学生たちの受講態度だ。ほぼ2年にわたりオンライン上でビデオ通話ができる「Zoom」を利用した授業が続いてきたため、教員も学生もほぼ孤立状態で講義に参加してきた。しかし、対面授業が再開されれば教員、学生双方の会話が活発化する。

「対面授業が始まると学生たちは直接会うことができなかった級友らとの再会を喜び教室内で会話をする機会も増えるでしょうが、それを授業中にやられると困ります。コロナ終息からは程遠い状態ですし、教室内での会話が弾み過ぎると深刻な事態になりかねません。授業中にひそひそ話をするにしてもマスクだけは常時着用してほしい」(私大大学講師)

 教員の悩みの種は学生たちが授業中に発するこのような“私語”だ。多くの大学では着席する学生たちが授業とはまったく関係のない話題で盛り上がったり、笑い声を漏らしたりするなどの迷惑行為を繰り返しており、一部では“学級崩壊”と呼んだ方がいいほどの無法状態になっているという。

「MARCHクラスの有名大学でも授業中の私語に悩む教員は多いです。200人ほどが入る大教室でエンタメ系の講義を受け持った教員は、学生たちの私語が深刻で10分おきぐらいに『静かにしてください』『うるさい』などと呼びかけていましたが、効き目はほとんどありません。スマホの画面を見せ合ってゲラゲラ笑ったり体を突っつき合ったり。声が小さく真面目なタイプの教員ほど学生たちの受講態度が悪化する傾向があります。ある教員は『講義内容を理解できない学生が多すぎる』と嘆いていましたし、学生たちの受講態度の悪さに耐え切れず相談相手の前で泣き出す教員もいました。耳を疑いましたが、偏差値45前後のある大学の授業では後方の席で卓球をしている学生がいたという証言も聞いています。教室が広いと学生たちは後方の席に集まり、教員に近い黒板前の席には誰も座りません。そもそも授業に無関心なんです。何のために大学に来ているのか分かりません」(同)

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