古内東子が明かすラブソングの法則 時代に左右されない“ずっと大事にしてたもの”
シンガーソングライターの古内東子が1993年2月に大学生でメジャーデビューして今年30年目を迎えた。代表曲「誰より好きなのに」(96年)をはじめ、数多くのラブソングを世に送り出してきた「ラブソングの女王」が、これまでずっと大事にしてきたものとは? 30年のキャリアを振り返ってもらった。
私にとってラブソングは永遠のテーマ
シンガーソングライターの古内東子が1993年2月に大学生でメジャーデビューして今年30年目を迎えた。代表曲「誰より好きなのに」(96年)をはじめ、数多くのラブソングを世に送り出してきた「ラブソングの女王」が、これまでずっと大事にしてきたものとは? 30年のキャリアを振り返ってもらった。(取材・構成=福嶋剛)
デビューから30年ということで現在の心境を聞かれることが多いのですが、これまでは「あ、もう20年か」とか、私自身あまり意識してなかったんです。でもさすがに30年はあっという間じゃなかったですね(笑)。ちょっと重みがあります。限りなくマイペースでやってきたので「30年駆け抜けてきました!」という感じでもないんですが、振り返ってみるとそれなりにいろいろありました。それでも曲作りとライブという2つの柱だけは最後までこだわって、一生懸命やってきたような気がしています。
デビューの頃は大学生だったので今日1日を乗り切るので精一杯。先のことなんて何も考えられなかったです。とにかく大学の授業がハードで音楽との両立が本当に大変でした。初めの頃はちゃんと学校に行って授業が終わっても友達と一緒に図書館に残って分厚い本を翌日までに読んだりレポートを書いたり。でも音楽活動が忙しくなってくると勉強もなかなか追いつかなくなって思い描いていた学生生活とは違う景色がどんどん広がっていったんです。
結局、両方とも中途半端になってしまい、親の反対を押し切って大学を辞めました。音楽に専念すると決めてからは少し気持ちが楽になって順調に毎年アルバムを出してコンサートもやってという活動を続けていきました。
ラブソングは私にとって永遠のテーマです。私自身ラブソングしか書けないんですが、ファンの方から30年前に書いた私のラブソングと今のラブソングにそれほど大きなギャップを感じないという感想をいただくことがあります。
私が書くラブソングは、恋をしてそれが成就する喜びよりも、そこに至るまでの小さな葛藤、例えば相手の気持ちが分からなくて、自分の気持ちさえも分からないという意思疎通の難しさだったり、もどかしさだったり、相手を思いやるからこそのすれ違いやそこで生まれる切なさみたいな部分を描いていて、それはデビューの頃から今もずっと変わりません。だから時代によって恋愛の形が変わっても、私のラブソングは変わらないんだと思います。