新生・野村直矢がいよいよベールを脱ぐ キャプチャー3・23東京・王子大会に舞い降りる
2021年12月16日のラストマッチで全日本プロレスとケジメをつけた野村。13年10月に入門、14年4月にデビューし将来を期待され順調に成長していたが、実は19年末をもって契約満了、その後はフリーとしての参戦だった。
“不死鳥”野村直矢のレスラー人生が、いよいよ新ステージ
2021年12月16日のラストマッチで全日本プロレスとケジメをつけた野村。13年10月に入門、14年4月にデビューし将来を期待され順調に成長していたが、実は19年末をもって契約満了、その後はフリーとしての参戦だった。
20年2月に首を負傷し長期欠場。発表のタイミングを逸したまま時間が過ぎたが、1年10か月後に復帰し、全日本からの「退団」を正式表明した。
全日本入門2年目からキャプチャーの北原光騎に師事していた。北原は空手、シューティングなど格闘技を習得した後に全日本、SWSなどで活躍した先輩。もともと格闘スタイル志向の強かった野村は“北原道場”に足しげく通った。技術の習得、体作りはもちろん、レスラーとしての心構え、プロレス哲学などを学び、北原一家とも家族ぐるみの付き合いを深めていった。
欠場中もリハビリ、トレーニングを北原の元で進めていたが今回、キャプチャーを主催する(株)キットジャパンに就職し、キャプチャーの大会を中心にファイトしていくことになった。
キャプチャーのリングに上がっている同志たちとユニット「野村軍(仮)」を結成し、他団体への乗り込みも考えている。「北原さんからサブミッションを教わった。キック、スープレックスも鍛えてもらう」と前向きそのもの。何よりプロレス哲学を伝授されたことが大きい。トレーニング中はもちろん、北原一家との食事中にも様々な話を聞かせてもらった。
北原は空手道場から、初代タイガーマスクこと佐山聡のシューティングに加わり、スーパータイガージムのインストラクターを務めた。この際に、佐山の師である“神様”カール・ゴッチの指導も受けている。
「僕も佐山さん、ゴッチさんから色んなことを聞き、教わった。プロレスラーになって、天龍(源一郎)さんや冬木(弘道)さんからもプロレスの奥深さ、普通なら思いもつかないやり方でファンを楽しませる方法……プロレス頭の大切さを仕込まれた。それを野村たちに伝えていくのが僕の役目だと思っている」と笑顔がこぼれる。その人徳や優れた指導能力に、北原を慕う若いレスラーも多い。
野村も「これまではロボットのようだった。ただ戦うだけのマシーン。北原さんの教えを少しづつ理解してやっと人間になった。魂のこもった戦士になりたい」と意気込む。
本人は「ただの機械だった」と振り返るが、赤々と燃える瞳、体全体から醸し出される迫力、魂のエルボー、マキシマム(変型エメラルドフロウジョン)、ラグビー仕込みのタックル……真正面から立ち向かい、前へ前へと胸を突き出し逃げることを知らない真っ向ファイトは迫力満点で評価が高く、その名の通り、真っすぐに飛んでくる矢のような鋭さは、鶴龍決戦、四天王対決を思い出させる王道スタイルといえたのではないか。
それだけに“戦士”と自覚できるようになった新生・野村直矢の登場がいよいよ楽しみになってくる。
お披露目はキャプチャー3月23日「ダンジョンファイト東京大会(ベースメントモンスター王子)」となる。赤を基調としてきたコスチュームも一新されるかも知れない。
野村には熱心なファンが多い。長期欠場中もずっと待っていた人、退団を聞き「もうプロレスは見ない」と嘆き悲しんだ人、ラストマッチで涙した人……それら野村のことで胸を痛めた人たちは、キャプチャー参戦の知らせに歓喜した。
久しぶりの試合だった退団マッチでけがが悪化したのではと心配していたが大丈夫、またあの素晴らしいファイトを目にできる。春よ、来い。春にはまた野村に会える。
コンディションも戻り、精神面でも吹っ切れた“不死鳥”がリングに舞い降りる日が待ちきれない。(文中敬称略)